ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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彼氏ができたらしい

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「上書き完了、オレは今が初めてってことにする」
「宮久土先輩も、初めてって大事なんですね?」

「うん、何度も強引に取られかけたから。好きな人とがいい」
 宮久土先輩がなぜかこちらをじぃぃっと見てくるので、私は不思議に思う。

「えと。初めては結婚する人とって、前に言ってましたけど」
「結婚は遠すぎるから、妥協することにした」
 妥協?気になる人が出来たから、と言うことなのかな。

「芦野さん、明日は部活行くね」
「は、はい」

「芦野さん、オレと付き合って」
「は、は……ええっ!?」

「服喪期間、ずっと芦野さんに会いたかった。一緒にご飯食べたかった」
「な、何を言ってるんですか!?そんな冗談」

「一歩前でも一歩後でもなくて。今ちょうど、芦野さんが好きみたいだ。付き合ってくれる?」
 いつものトーンで告げてくる宮久土先輩。私はあんぐりと口を開けたまま止まってしまった。

 ――――ちょうど、好き?

「み、宮久土先輩っ。冗談にしては悪趣味です」
 戸惑う私をよそに、宮久土先輩は、
「付き合います、付き合いません、今はダメ、永久にダメ。の四択」
 右手の人差し指、中指、左での人差し指、中指の順で指を立てて見せる。

 どれかタッチして、と言うのだ。
「覚えられないです」
 と言ったら、宮久土先輩は三回同じ流れで指を立ててくる。

 私は頬が熱くなるのを感じながら、自分の胸に聞く。

 ――――どれを選びたい?
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