ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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二度目のてきとーなキス

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 そして今、私のトラウマの根源たるベッドを横目に、私はかける先輩に組み敷かれていた。

「浮気現場を見て、別れない感覚は分かんない」

 今度は足を振りあげて蹴りあげようとしたら、骨盤の部分に乗ってこられて、ドキっとして足がさがった。
 ボトムスの布地が触れる気配と、骨盤の部分に先輩の尾骨がぶつかる感覚があって、ひっ、と身体が緊張する。

「身体はさ、ときどき裏切るけど。心は裏切らないよ。心は動いてないから浮気じゃない」
 かける先輩は私の手を取って、手の平を胸に触れされるようにした。

「うらといると、ちゃんと心臓が動いてる感じがする」
 かける先輩の神妙な動作に驚くけれど、言っていたことは理解できない。胸の辺りの体温を感じて、むず痒い感覚になる。

「かける先輩にとって私はたくさんいるうちの一人でも、私にはかける先輩しかいなかったよ」
「俺だって、うらしかいない」
 甘いトーンで言うかける先輩の表情が柔らかい。あまり似ていないと思ったけれど、構成するパーツは宮久土先輩と似ていた。

 ただ、表情を彩るトーンが違うのだ。明るく華やかだ。全体的に薄めの大きな手のひらで額を撫でられたら、心を持っていかれそうになる。

「かける先輩はそうやって嘘つく。釣り合わないなら、そうハッキリと言ってくれればよかったよ。私は単純だから、勘違いしちゃう」

 告白に答えてくれたから、私のことを好きになってくれたって思いこんでしまった。
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