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兄の威光
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「え。付き合ってなくて、手出した?」
反鳥の顔を下から覗き込んで問う仕草は、我が兄ながら柄が悪い。
ひぃぃごめんなさいっと反鳥は悲鳴のような声をあげる。
「お兄ちゃん、脅さないで。ていうか教室に二度と来ないでっ!」
そう言って背中を押して追い出していく。クラスメイトの眼差しが痛い。
「うら、お前ボケッとしてんだから、気をつけろよ。来年はオレもいないんだしさぁ。つやが卒業して二年もなれば、その威光も薄れるだろうし」
と兄は言う。
「正直邪魔、お兄ちゃんは同じ校内にいなくっていいっ!」
みんなの視線が注がれるのを感じながら、クラスから押し出してドアを閉めてた。
手を振って強引に帰す。あれが兄だとクラスメイトに認識されてしまったことが、悲しい。
「あれが芦野ひょう先輩の圧力ってやつかぁ。うらのお兄ちゃん過保護だもんね」
和華奈が納得したような声を出す。
「過保護っていうか、ただの邪魔」
けれど、「半年は手を出すな?」なんだそれ。そんなの聞いたこともなかった。
すっかり怯えてしまっているクラスメイトには、
「ごめんね、もう二度と来させないから」
と声をかける。
この日、兄が来訪したことで、宮久土先輩関係の噂は落ち着いたのだった。
反鳥の顔を下から覗き込んで問う仕草は、我が兄ながら柄が悪い。
ひぃぃごめんなさいっと反鳥は悲鳴のような声をあげる。
「お兄ちゃん、脅さないで。ていうか教室に二度と来ないでっ!」
そう言って背中を押して追い出していく。クラスメイトの眼差しが痛い。
「うら、お前ボケッとしてんだから、気をつけろよ。来年はオレもいないんだしさぁ。つやが卒業して二年もなれば、その威光も薄れるだろうし」
と兄は言う。
「正直邪魔、お兄ちゃんは同じ校内にいなくっていいっ!」
みんなの視線が注がれるのを感じながら、クラスから押し出してドアを閉めてた。
手を振って強引に帰す。あれが兄だとクラスメイトに認識されてしまったことが、悲しい。
「あれが芦野ひょう先輩の圧力ってやつかぁ。うらのお兄ちゃん過保護だもんね」
和華奈が納得したような声を出す。
「過保護っていうか、ただの邪魔」
けれど、「半年は手を出すな?」なんだそれ。そんなの聞いたこともなかった。
すっかり怯えてしまっているクラスメイトには、
「ごめんね、もう二度と来させないから」
と声をかける。
この日、兄が来訪したことで、宮久土先輩関係の噂は落ち着いたのだった。
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