ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

無から有へ

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　宮久土先輩のマネージャーもとい、陸上部のマネージャーは面白いしやりがいがある。
　唯一の問題は土浦先生から託された資料が膨大になってくることだ。

　家に持ち帰れば自分の部屋が窮屈になってくる。土浦先生は体のいい預け先を見つけたとでも思っているようだ。

　毎回毎回渡される姿を目撃していた航先輩が、
「うらちゃん荷物すごくない？家まで持ってあげようか？」
　と言ってくれる。

　そうする度に、宮久土先輩がそばにやって来て、
「先生ズルいな。芦野さんを通して、無言の圧力かけてるんだと思う」
　と言う。
　芦野さん経由ならオレが持ち帰ると思うんじゃないかな、と言うのだった。宮久土先輩は、
「オレのトロフィーとか盾、賞状は持ち帰るよ、仕方ない」
　と言う。

「既に持ち帰っていた分は、どうしますか？」
　私が聞いたら、今度休みの日に取りに言ってもいい？と聞かれた。学校に持っていくのは骨が折れるし、そっちの方がありがたかったのでお願いすることにする。
　じゃ、今度取りに行くね、約束。と宮久土先輩は言うのだった。

　土浦先生は他の部員のトロフィーや賞状の保管も買って出ていたようだ。
　私が部員に声をかけたら、それぞれ肩をすくめながらも、分かった、諦める、と言って持ち帰っていく。

　誇らしく思う人がいる一方で、毎回入賞している人は場所に困る、という本音もあるようだ。特に宮久土先輩はその数が膨大なので、困っているらしい。

　航先輩は預けてはいなかったようだけれど、資料関係は預けてるから、ゆくゆくは渡されると思う、と言うのだった。