ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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好きになってよ

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「はい、あーん」
 おもむろに目の前にスプーンが差し出されて、私は首を横にふった。

「い、いやっ、宮久土先輩。私はっ」
 半ば強引に口にパフェを詰め込まれる。思いのほかマイルドな甘みだったので、食べやすく喉に流れていった。

「おいひい」
 と呟いたら宮久土先輩が微笑む。かわいい、と言われて、ええぇっを大袈裟にのけ反ってしまった。

 宮久土先輩が目を丸くする。どうしたの?と言うけれど、驚きがひとしおだ。
「可愛いなんて、初めて言われました」
「それはさすがに嘘だと思う」

「褒められたことなんてほとんどないので。お姉ちゃんお兄ちゃんと比べて、どうだとかそういう感じで」
「あ、それは分かるよ。オレは昔からずっと、兄さんと比べると愛想悪い、可愛げがないって言われてたから」

 先ほどの様子を引きずる気配もなく、けろっとして宮久土先輩は言う。

「でも見た目がクールなだけで、話しやすいですね。宮久土先輩」
「それは初めて言われたなぁ。何考えてるか分からないってよく言われるし」

「何考えてるかは、分からないけど。そもそも私には誰の考えも、あんまり分かんないですけど」

 宮久土先輩はじっとこちらを見てくる。こうして見つめてくるところは、かける先輩と似ているかもしれない。

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