36 / 193
手頃で悪かったな
1
しおりを挟む
一見何にもこだわりのなさそうに見える宮久土先輩でも、恋愛するんだ、と新鮮に思う。同時に少しだけがっかりした。
宮久土先輩には恋愛に無縁でいて欲しい、なんて思うのは我がままなんだろうな。
宮久土先輩はビジュアル面でも、能力面でも明らかに引く手あまただ。入れ代わり立ち代わり女の子が陸上部の見学に来ている。
誰かの特別になれそうにない私は、もう恋愛をやめた。
「馳がかける先輩の弟だって知らなかったっていうのは、驚きだけど」
「もう、言わないでよ!」
「この前泣いてたのは、かける先輩関係?」
屈伸体操をしながら、航先輩は言う。今はいつもみたいなからかう気配はなかった。うん、とだけ言う。
「俺なら泣かせないけどな」
しかし、軽薄男はまたそういうことを言うのだった。
「航先輩の歴代彼女のこと、お兄ちゃんから聞いてるから。泣かせまくりじゃん、絶対嘘だ~」
と私も返しておく。
「うわぁ、ひょうの奴、自分こそなのに。足引っ張んなよ」
「モテ一軍はモテ一軍同士がいいんだよ。先輩も下手な匂わせやめた方がいいよ。誤解されたら面倒じゃん」
自嘲や自戒もこもっている。私は身の程を知らなかったんだな、と思うのだ。
私がモテ男のかける先輩に相手にされるわけがなかったのに。
宮久土先輩には恋愛に無縁でいて欲しい、なんて思うのは我がままなんだろうな。
宮久土先輩はビジュアル面でも、能力面でも明らかに引く手あまただ。入れ代わり立ち代わり女の子が陸上部の見学に来ている。
誰かの特別になれそうにない私は、もう恋愛をやめた。
「馳がかける先輩の弟だって知らなかったっていうのは、驚きだけど」
「もう、言わないでよ!」
「この前泣いてたのは、かける先輩関係?」
屈伸体操をしながら、航先輩は言う。今はいつもみたいなからかう気配はなかった。うん、とだけ言う。
「俺なら泣かせないけどな」
しかし、軽薄男はまたそういうことを言うのだった。
「航先輩の歴代彼女のこと、お兄ちゃんから聞いてるから。泣かせまくりじゃん、絶対嘘だ~」
と私も返しておく。
「うわぁ、ひょうの奴、自分こそなのに。足引っ張んなよ」
「モテ一軍はモテ一軍同士がいいんだよ。先輩も下手な匂わせやめた方がいいよ。誤解されたら面倒じゃん」
自嘲や自戒もこもっている。私は身の程を知らなかったんだな、と思うのだ。
私がモテ男のかける先輩に相手にされるわけがなかったのに。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる