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くるぶしマネージャー誕生
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「お疲れさまです」
何本か走り終わった宮久土先輩に、タオルとドリンクボトルを手渡す。
タイムを告げても、
「うん、わかった」
と流すだけだ。
足を振るって筋肉をほぐす仕草で、くるぶしが見えてじっと見つめてしまう。
その視線を辿るようにして、見すぎだよ、と宮久土先輩は笑う。
「す、すみません」
「いいよ、齧るためのマネージャーだもんね?」
「それは他の人には言っちゃだめです、恥ずかしいし。変人だとバレるし」
「そっか。じゃあ二人の秘密だね」
「秘密です」
こそっと話していたら、
「なにいちゃいちゃしてんの。俺の練習も見てよ、マネージャーさん?」
航先輩に見つかってしまった。
航先輩は高跳びの選手だ。
五本分くらい見学したところで、どう?と聞いてきた。航先輩の助走の速さと屈伸したときのふくらはぎのしなりを見る。
けれど、ときめきはない。単純に綺麗なフォームだし見事な跳びだ、と思うだけだ。
「航先輩、フォームが綺麗ですね」
面白味もない感想を平板な口調で言ったら、
「もっと興味持ってよ」
と苦笑しながら言われてしまった。
馳はさぁ、マネージャーにいいイメージないと思うんだよね、と航先輩は何気なく言う。
「なんでですか?」
横目で先輩の練習光景を見やった。ちょうどスタートを切るところだ。気張りのない雰囲気なのに、瞬発性が高いので驚いてしまう。
「初恋相手がマネージャーだったんだってさ」
さらっとそれだけ言って、詳しい話は本人からじゃないと、と航先輩は言うのだ。
――――初恋?なんでいい思い出がないんだろう?
何本か走り終わった宮久土先輩に、タオルとドリンクボトルを手渡す。
タイムを告げても、
「うん、わかった」
と流すだけだ。
足を振るって筋肉をほぐす仕草で、くるぶしが見えてじっと見つめてしまう。
その視線を辿るようにして、見すぎだよ、と宮久土先輩は笑う。
「す、すみません」
「いいよ、齧るためのマネージャーだもんね?」
「それは他の人には言っちゃだめです、恥ずかしいし。変人だとバレるし」
「そっか。じゃあ二人の秘密だね」
「秘密です」
こそっと話していたら、
「なにいちゃいちゃしてんの。俺の練習も見てよ、マネージャーさん?」
航先輩に見つかってしまった。
航先輩は高跳びの選手だ。
五本分くらい見学したところで、どう?と聞いてきた。航先輩の助走の速さと屈伸したときのふくらはぎのしなりを見る。
けれど、ときめきはない。単純に綺麗なフォームだし見事な跳びだ、と思うだけだ。
「航先輩、フォームが綺麗ですね」
面白味もない感想を平板な口調で言ったら、
「もっと興味持ってよ」
と苦笑しながら言われてしまった。
馳はさぁ、マネージャーにいいイメージないと思うんだよね、と航先輩は何気なく言う。
「なんでですか?」
横目で先輩の練習光景を見やった。ちょうどスタートを切るところだ。気張りのない雰囲気なのに、瞬発性が高いので驚いてしまう。
「初恋相手がマネージャーだったんだってさ」
さらっとそれだけ言って、詳しい話は本人からじゃないと、と航先輩は言うのだ。
――――初恋?なんでいい思い出がないんだろう?
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