ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

文字の大きさ
上 下
34 / 193
くるぶしマネージャー誕生

1

しおりを挟む
 部活に行けば、土浦先生の紹介で部員全員への挨拶することとなる。
 そして、宮久土先輩のマネージャーになるはずだったのに、なぜか私は陸上部のマネージャーになってしまっていた。

「馳だけマネージャーがいるなんて、贅沢すぎるじゃん。俺の面倒も見てよ、うらちゃん」
 航先輩からの軽い声がけがあった。
 そうだそうだ、とさらなる声がかかり、私は少々げんなりする。

 土浦先生は無理言うなよ、と言うけれど、じゃあ他にもマネージャー募集かけてくださいよ、と部員たちがめいめいに口出しはじめたので、収拾がつかなくなった。

「タイムの測定やデータ管理、練習フォームの撮影くらいの仕事はします。けど私は宮久土先輩のマネージャーなんです!くれぐれもお忘れなく」

 一応声を大にして宣言しておく。久々にマネージャーが戻ってきた、と騒いでいる先輩達とマネージャーなんていたんですか?と聞いている後輩部員の対比が見事だ。

 マネージャーにいいイメージがない、と宮久土先輩が言っていたことを思い出していた。


 宮久土先輩は短距離と中距離を得意とする選手らしい。
 素人目に見ても、ピカイチの瞬発力だ。タイム測定に立ち会って間近で見ていたら、その踵からふくらはぎのしなりの美しさに見ほれてしまう。

 スタートの練習時に、スターティングブロックにおかれる足を見れば自然とくるぶしに視線がいく。見るにつれじゅるり、と垂涎の私は明らかに変人だ。

 宮久土先輩がスタートを切ると、呼吸をするのすらもったいない気分になる。速筋の躍動を見ていると、ああ、風になる人っているんだ、と圧倒されるのだ。

 宮久土先輩は天然で「走る人」なんだろうな、と思う。
 私がマネージメントするまでもなく、記録をやすやすと更新していきそうだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

処理中です...