ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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マネージャーになりました

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 宮久土先輩の教室に行ったら、まずは航先輩が私を見つけてくれた。

 ドアのところにやって来た航先輩は、
「うらちゃん?ひょうは今いないよ」
 そう声をかけてくれるけれど、お兄ちゃんに用はない。

「お兄ちゃんには用ないから、宮久土先輩呼んでくれる?」
 航先輩は、え、と短く声を出した。

「なんで馳?」
「宮久土先輩のマネージャーになったの」

 航先輩の後ろに宮久土先輩の姿が見える。クラスの男子と話をしていたようだったけれど、頭をさげたら、こちらに気づいて近づいてきた。

「土浦先生から託されました。改めてよろしくお願いします」
 そう告げたら、やる気すごいね、と宮久土先輩はのんびりと言う。

 航先輩は、
「何だそれ、うらちゃん。馳のマネージャー?それはまた……」
 と何やら物言いたげだ。

「今日の部活から参加します」
「芦野さん、部活は?」

「私は同好会なんで、融通が利くんです」
 と言ったら「へぇ」と宮久土先輩は言う。そんなに関心がなさそうだな、と思った。それ以上に航先輩の視線が痛い。

「二人は付き合うわけじゃ、ないんだよね?」と念を押してくるのだ。

「何言ってんの、付き合うわけないじゃん。航先輩はそういう目線での発言ばっかり。いっつもあちこち声かけてると、信用されないよ?」

 そう言ったら、航先輩は笑う。

「知らぬは、本人ばかりなりって感じだね。ひょうとつや先輩がうらちゃんのこと心配してるわけが分かるな」

 意味の分からない話をしてくる。

「じゃ、また後で。宮久土先輩」

 私はそう告げて、教室を去った。
 宮久土先輩のマネージャーをすると発言したことには、予想外の反響がある。
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