ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

間が悪い私の恋愛事情

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　小学校、中学と好きな相手にはすぐに好きと告げる。

　そうすると、
「芦野はさぁ、なんですぐに好きって言って来るの？」
　と言われるのだ。

「なんでって言われても。好きだから好きって言っただけなんだけど」
「もう少し時間かけてから、こっちから言いたかったんだけど」

　そんな風に、毎回ダメ出しを受ける。
　早めの告白は結果、相手を萎えさせて終わるらしい。好きだと言われるとどう振る舞っていいか分からない、自然に出来なくなると言われる。
　嫌いじゃないけど、タイミングが悪い、とふられてきていた。

　好きだと言って、受け入れてくれた初めての人がかける先輩だ。それだけで、十分嬉しかった。
　結果として私では渡り合えないレベルのモテ男で、浮気男だったけれど。

　――――気持ちをそのままぶつけたら、宮久土先輩もきっと困るんだろうな。

　その日、もし学校の入り口近くで、かける先輩といる一乃を見ていなければ。私は奇妙な提案を宮久土先輩にしてはいなかったと思う。