ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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私のヤバい視線

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 駅のホームでぼんやりと目の前を眺めていたら、光が一閃するのを見る。
 当然幻覚で私だけが感じた光のようなものなのだけれど。凛々しく伸びた背筋と、そしてめくりあげた裾から覗く引き締まったアキレス腱。

 見た瞬間にヤバい、と思う。するすると近づいていき、間近で眺めたい衝動に駆られる。

「あ、うらちゃん?」

 それこそ、現行犯逮捕される犯人のように私は喉が絞めつけられた。瞬時に呼吸を奪われたところで、航先輩がそばに来て肩を叩いてくる。

 上背のある先輩が近づいてくると私は影に入ってしまった。

「おはよう、ございます」
 片言で挨拶したらなんだよぉ、それーと笑う。真っ白な歯が日焼けした肌とのコントラストで映えた。
 その流れで先輩は前方に向かって手を振る。

「馳、おはよ」
「おは」
 挨拶をし合う先輩同士を見ていたら、宮久土先輩の視線がこちらに向いた。

「芦野さんも、おはよう」
 声がかかったので、
「おはようございます、宮久土先輩。じゃあまた」
 とこちらも丁重に答える。

 え、またってなんだよ、航先輩が言う。マズい、変なことをしでかす前に逃げなくては、と思うのだ。
「別の車両行くね」
 逃げの一手を繰り出す。
「なんで?」
「混んでない車両に行く」
 視線を遠方の車両に向けて見せた。

「あ、痴漢対策?俺たちが囲んどこうか?」
 モテ男の無自覚な気づかいで逃げにくくなる。

「い、いやそうじゃなくて」
 宮久土先輩が近いのは困るのだ。

「囲んどくから一緒に乗ろう」
 そんな風に強引に誘導されてしまい、二人と一緒に乗り込んだ。

 私の左脇に立つ宮久土先輩の足元についつい視線を落としてしまう。ライトグリーンのネオンカラークルーソックスが目につく。

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