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11.ティモルト王国の計画
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「ピクニックー♪ ピクニックー♪ ツリアーヌ様とピクニックー♪」
「ふふ、メルティーヌ様はご機嫌ね?」
「迷惑ばかりかけられて、ボレアースには何か請求しようか」
「もう、ヤリアント様。でも、最近詰め込みすぎでしたもの。息抜きも必要ですわ」
最近はバタバタしていたので、旧ミリュー王国にいた頃のように働いておりました。情勢が安定するまでは仕方ありませんけども。
「しかし、こんな国境沿いの地は、危険すぎないだろうか?」
「きっとこんな場所でピクニックをするなんて、周辺諸国も思いませんわ」
ティモルト王国の国境付近の野原でピクニックです。美しい花々が咲き誇り、本当にピクニック日和になりましたわ。
「ピクニックといえば、球技ですわー!」
突然何を言い出すのでしょう。メルティーヌ様は。球技なんてしませんわ。ボレアース王国では、ピクニックに球技がつきものなのかしら?
「しません。せっかくのお花が散ってしまうでしょう?」
「僕としては、あなたと全力で争うことには賛成だけど」
ヤリアント様とメルティーヌ様がばちばちとしていらっしゃいます。おやめになって、わたくしのために! ……いえ、本気で球技なんてやめましょう。どうしてもやるとおっしゃるのなら……。
「わたくしは参加いたしません。こちらで見ておりますわ」
「なんでですか!」
「せっかくの機会だ。僕に守らせてくれるかい?」
メルティーヌ様とヤリアント様が息ぴったりにわたくしを誘いにきました。いやですわ! 絶対! いやーーー!
なぜかわたくしも参加することになりました。その代わり内容としては、安全にボールを投げて渡し合う遊びです。それの何が楽しいのでしょう。
「いくぞ!」
ばしっ。
「大丈夫ですの?!」
「大丈夫か!?」
顔面でキャッチしただけですもの。大丈夫ですわ。
「ヤリアント様! きちんととりやすいように投げないなんてひどいですわ!」
「いや、とりやすいように投げたつもりだったが……。ごめん。本当に大丈夫かい?」
「次はわたくしが見本を見せて差し上げますわ!」
ばしっ。
「「……」」
べ、べべべ別に今回も股の間をすり抜けさせただけですわ。
「もしかして、運動は……苦手かい?」
「そ、そんなこと! ありませんわ!」
そう叫んだわたくしは、走ってボールを拾いに行きます。
「ヤリアント様」
「なんだい?」
「これは、ツリアーヌ様への接待プレイをいたしましょうか?」
「奇遇だね。僕も同じことを提案しようかと思っていた」
わたくしがボールを拾いに行っている間に、メルティーヌ様とヤリアント様が何か話していたなんて知りませんわ!
「いきますわよー!」
「えーい!」
なぜかわたくしがボールを投げて、ヤリアント様とメルティーヌ様が拾いに行く遊びに変わりましたわ。拾いに行かせるのはひどいですって? わ、わわわ、わたくしはきちんと胸元を狙って投げておりますもの。お二方が受け止めるのがお下手なのではなくて?
「ぜぇぜえ、なかなか、やるな」
「ぜぇぜぇ、ヤリアント様こそ」
二人が何か理解しあっていらっしゃいますわ。
「いきますわよー!」
さぁ次はメルティーヌ様に投げますわ! ……あ、大きく投げすぎましたわね。
「ごめんなさい! 投げすぎましたわー!」
「国境を越える前に拾ってくるんだ!」
「わ、わかっていますわよ~!」
メルティーヌ様はそう言って、ボールを追いかけて行ったまま戻ってきませんでしたわ。
「あの二人のうちどちらかがツリアーヌ・フェイジョアだ」
「どっちだと思う?」
「書類によると美しく、大抵のことをなんでもこなす天才と書いてある」
「では、あの運動音痴の方ではないだろう」
「奇遇だな。俺もそう思った」
「お、ちょうどいい。こっちにくるぞ」
「眠りの魔法陣を設置しておけ」
「わかった」
黒装束の男たちのそんな言葉が近くで交わされているなど知らずに。
「ふふ、メルティーヌ様はご機嫌ね?」
「迷惑ばかりかけられて、ボレアースには何か請求しようか」
「もう、ヤリアント様。でも、最近詰め込みすぎでしたもの。息抜きも必要ですわ」
最近はバタバタしていたので、旧ミリュー王国にいた頃のように働いておりました。情勢が安定するまでは仕方ありませんけども。
「しかし、こんな国境沿いの地は、危険すぎないだろうか?」
「きっとこんな場所でピクニックをするなんて、周辺諸国も思いませんわ」
ティモルト王国の国境付近の野原でピクニックです。美しい花々が咲き誇り、本当にピクニック日和になりましたわ。
「ピクニックといえば、球技ですわー!」
突然何を言い出すのでしょう。メルティーヌ様は。球技なんてしませんわ。ボレアース王国では、ピクニックに球技がつきものなのかしら?
「しません。せっかくのお花が散ってしまうでしょう?」
「僕としては、あなたと全力で争うことには賛成だけど」
ヤリアント様とメルティーヌ様がばちばちとしていらっしゃいます。おやめになって、わたくしのために! ……いえ、本気で球技なんてやめましょう。どうしてもやるとおっしゃるのなら……。
「わたくしは参加いたしません。こちらで見ておりますわ」
「なんでですか!」
「せっかくの機会だ。僕に守らせてくれるかい?」
メルティーヌ様とヤリアント様が息ぴったりにわたくしを誘いにきました。いやですわ! 絶対! いやーーー!
なぜかわたくしも参加することになりました。その代わり内容としては、安全にボールを投げて渡し合う遊びです。それの何が楽しいのでしょう。
「いくぞ!」
ばしっ。
「大丈夫ですの?!」
「大丈夫か!?」
顔面でキャッチしただけですもの。大丈夫ですわ。
「ヤリアント様! きちんととりやすいように投げないなんてひどいですわ!」
「いや、とりやすいように投げたつもりだったが……。ごめん。本当に大丈夫かい?」
「次はわたくしが見本を見せて差し上げますわ!」
ばしっ。
「「……」」
べ、べべべ別に今回も股の間をすり抜けさせただけですわ。
「もしかして、運動は……苦手かい?」
「そ、そんなこと! ありませんわ!」
そう叫んだわたくしは、走ってボールを拾いに行きます。
「ヤリアント様」
「なんだい?」
「これは、ツリアーヌ様への接待プレイをいたしましょうか?」
「奇遇だね。僕も同じことを提案しようかと思っていた」
わたくしがボールを拾いに行っている間に、メルティーヌ様とヤリアント様が何か話していたなんて知りませんわ!
「いきますわよー!」
「えーい!」
なぜかわたくしがボールを投げて、ヤリアント様とメルティーヌ様が拾いに行く遊びに変わりましたわ。拾いに行かせるのはひどいですって? わ、わわわ、わたくしはきちんと胸元を狙って投げておりますもの。お二方が受け止めるのがお下手なのではなくて?
「ぜぇぜえ、なかなか、やるな」
「ぜぇぜぇ、ヤリアント様こそ」
二人が何か理解しあっていらっしゃいますわ。
「いきますわよー!」
さぁ次はメルティーヌ様に投げますわ! ……あ、大きく投げすぎましたわね。
「ごめんなさい! 投げすぎましたわー!」
「国境を越える前に拾ってくるんだ!」
「わ、わかっていますわよ~!」
メルティーヌ様はそう言って、ボールを追いかけて行ったまま戻ってきませんでしたわ。
「あの二人のうちどちらかがツリアーヌ・フェイジョアだ」
「どっちだと思う?」
「書類によると美しく、大抵のことをなんでもこなす天才と書いてある」
「では、あの運動音痴の方ではないだろう」
「奇遇だな。俺もそう思った」
「お、ちょうどいい。こっちにくるぞ」
「眠りの魔法陣を設置しておけ」
「わかった」
黒装束の男たちのそんな言葉が近くで交わされているなど知らずに。
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