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皇后と教師の面談
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家臣は誰にも気に留められることもなく処刑され、相談役は投獄されたが、浮気者元第一皇子と浮気相手メルルはどうなったのだろうか。
“…………王立経営学園と帝国男子学園にそれぞれ短期留学してもらいます”という、皇后の言葉の通り、元第一皇子は帝国男子学園へ、メルルは王立経営学園へ短期留学することとなった。短期といっても、個人に合わせたすべてのプログラムを終了しないといけないため、人によってかかる期間に差はあるが。
2人とも、通っていた王立学園での卒業の要件は満たしていたので、騒動を起こしたと言う名目で留年という措置が取られた上で、王立学園帝国支部に籍を残した状態での留学だ。
ーーーー
皇后が牢獄の面会室に現れる。メルルの父親も一緒だ。
「ふぇぇ。メルル、怖い学校なんていやですぅ」
「それなら、不敬罪で即刻投獄して差し上げましょうか? せっかく王立経営学園へ行くという執行猶予をつけてあげたのに」
「メルル、お願いだ! 王立経営学園へ行くと言ってくれ! 投獄なんてされたら、お前は絶対生きていけない。皇后陛下の恩寵をありがたく受けるんだ!」
「お父さん……わかった! そうしたら、メルル、運命のオズ様と結婚できるかもしれないもんね!」
「お前はまだそんなこと言って……本当にうちの馬鹿娘が申し訳ございませんが、なにとぞよろしくお願いします」
メルルの父がそう頭を下げる横でメルルが運命と騒ぐのを、冷たい視線で皇后は見ていた。
「絶対に反省してもらわないと、刑を科すだけじゃ無意味だわ」
皇后は、マリーへの申し訳なさから、メルルと第一皇子を厳しい学園へ別々に行かせて、罪悪感は絶対抱かせたいと考えていた。
ーーーー
「母上! マリーが悪いとわかってくださったんですか?」
元第一皇子が一応王族として捕えられている部屋に、皇后が顔を出した。
「あなたもあの女も本当に反省しないのね。あの女は運命だとか、いまだにのたまってらっしゃるわ。もちろん後継権を失わせた上でどのような環境に置くかを考える猶予期間として、帝国男子学園に行かせるのであって、許したわけじゃないのよ? せいぜい鍛えられてらっしゃい」
「母上ぇ」
冷たく言い放った皇后は、元第一皇子の叫びを無視して、部屋を出ていった。
ーーーー
「ハノン様。突然のことになってしまい、本当に申し訳ありませんわ。2人の様子を見て、留学を受けていただけるか、どのような方向性にした方がいいのか判断していただいてもよろしいでしょうか。もし、受けていただけないと判断されたら、即刻不敬罪での獄中生活と砂漠の領地での領主生活が始まるだけですわ」
皇后は、王立経営学園と帝国男子学園で特殊授業の教鞭を執っているハノンを呼び出し、相談された。
「未来ある若者を1人でも活躍できる人材にすることが私の喜びですので、お任せください。皇后陛下」
優しそうな老紳士であるハノンの笑顔に釣られ、メルルも元第一皇子もペラペラと身上を話したようだ。
「彼らには、反省の色が全くなくて驚きました。なぜ、マリー様がすべて悪いこととなっているのでしょう? あぁ、メルル嬢はオズベルト様のためならきっとどんな技術も習得してくれると思いますので、帝国のために使えるお二人に育て上げて見せますよ」
「まぁまぁ! じゃあ、上手くいったらあの2人には、マリーとフェルを支える歯車になってもらおうかしら? マリーの意見も大切だけどね。あの女の言う通り、それこそ“真実の愛”だわ……ところで、学園ではいったいどのような教育を施されるのかしら?」
「企業秘密、ですかな?」
ここまでの手続きが終わった時、皇后は心労で倒れた。マリーへの罪悪感、息子の裏切り、自責の念、支えとしていた相談役や家臣の裏切り……多くのものに負けてしまったのだろう。
「私がマリーをいじめてしまったのだから、因果応報よ。そんなことより、マリーへの贖罪がまだまだ済んでいないわ」
“…………王立経営学園と帝国男子学園にそれぞれ短期留学してもらいます”という、皇后の言葉の通り、元第一皇子は帝国男子学園へ、メルルは王立経営学園へ短期留学することとなった。短期といっても、個人に合わせたすべてのプログラムを終了しないといけないため、人によってかかる期間に差はあるが。
2人とも、通っていた王立学園での卒業の要件は満たしていたので、騒動を起こしたと言う名目で留年という措置が取られた上で、王立学園帝国支部に籍を残した状態での留学だ。
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皇后が牢獄の面会室に現れる。メルルの父親も一緒だ。
「ふぇぇ。メルル、怖い学校なんていやですぅ」
「それなら、不敬罪で即刻投獄して差し上げましょうか? せっかく王立経営学園へ行くという執行猶予をつけてあげたのに」
「メルル、お願いだ! 王立経営学園へ行くと言ってくれ! 投獄なんてされたら、お前は絶対生きていけない。皇后陛下の恩寵をありがたく受けるんだ!」
「お父さん……わかった! そうしたら、メルル、運命のオズ様と結婚できるかもしれないもんね!」
「お前はまだそんなこと言って……本当にうちの馬鹿娘が申し訳ございませんが、なにとぞよろしくお願いします」
メルルの父がそう頭を下げる横でメルルが運命と騒ぐのを、冷たい視線で皇后は見ていた。
「絶対に反省してもらわないと、刑を科すだけじゃ無意味だわ」
皇后は、マリーへの申し訳なさから、メルルと第一皇子を厳しい学園へ別々に行かせて、罪悪感は絶対抱かせたいと考えていた。
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「母上! マリーが悪いとわかってくださったんですか?」
元第一皇子が一応王族として捕えられている部屋に、皇后が顔を出した。
「あなたもあの女も本当に反省しないのね。あの女は運命だとか、いまだにのたまってらっしゃるわ。もちろん後継権を失わせた上でどのような環境に置くかを考える猶予期間として、帝国男子学園に行かせるのであって、許したわけじゃないのよ? せいぜい鍛えられてらっしゃい」
「母上ぇ」
冷たく言い放った皇后は、元第一皇子の叫びを無視して、部屋を出ていった。
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「ハノン様。突然のことになってしまい、本当に申し訳ありませんわ。2人の様子を見て、留学を受けていただけるか、どのような方向性にした方がいいのか判断していただいてもよろしいでしょうか。もし、受けていただけないと判断されたら、即刻不敬罪での獄中生活と砂漠の領地での領主生活が始まるだけですわ」
皇后は、王立経営学園と帝国男子学園で特殊授業の教鞭を執っているハノンを呼び出し、相談された。
「未来ある若者を1人でも活躍できる人材にすることが私の喜びですので、お任せください。皇后陛下」
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「企業秘密、ですかな?」
ここまでの手続きが終わった時、皇后は心労で倒れた。マリーへの罪悪感、息子の裏切り、自責の念、支えとしていた相談役や家臣の裏切り……多くのものに負けてしまったのだろう。
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