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28.作戦会議
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「先日のクニヒト様のお言葉以来、なぜかディラン様と話せなくなってしまいました……」
”テラスさんには、ディラン様っていう方がいるって説明する前に行っちゃったから、慌てて追いかけて……ってあれ? どんな空気? これ”
「その神様、そんなことを言っちゃったのね……せっかく私たちが楽しみながらウォッチングしていたのに……」
ミコが髪をかき上げながら、残念そうにためいきをつく。
「それで、僕たちが呼び出されたんだね?」
その場に集まった、ミコ、恋愛の神、クロウが神妙な面持ちを浮かべる。
「恋愛に関して、どうしてこのメンバーを集めちゃったんだよ」
クロウが頭をガシガシとかきながら、突っ込みを入れる。
「……れ、恋愛ですか!?」
「何この反応!? かわいいー!」
思わず、顔を真っ赤にしたテラスの反応に、ミコが抱きつきながらよしよしと頭をなでる。
「ミコ、テラスが困っているよ」
「あ、ごめん。テラス」
「俺が見ている限り、ディラン様もテラスも二人共が意識しちゃって話しかけられなくなっているんだよな」
---
「クロウ様。ディラン様にこの書類が合っているか聞いてきてくれませんか?」
「何で俺が何だよ……わかった、そんな顔するな。行ってくるから」
「クロウ様。これがテラスから預かった書類で、俺が終わらせたのがこっちです。確認お願いします」
「……問題ない。テラスに、この書類で問題ないから天界に出しておくと伝えておいてくれ」
「…………わっかりました-」
---
「クロウ様。毎日お疲れ様です……。 テラス、そこはちゃんと自分で持っていきな?」
「……地獄への転勤が出たら、全力で拒絶したいな」
「俺、頑張っているだろう!?」
「……私だけじゃなくて、ディラン様もですもん。どうしたらいいと思いますか? 恋愛の神様」
「僕!?」
「まあ、恋愛の神だしな」
「私たちの中では、一番恋愛に関する話題を聞いていると思いますよ?」
「ミコまでにそう言われたら、頑張るしかないか……。ちょうど来週、天界でお祭りがあるから、二人で行ってきたら?」
「……どうやって誘いましょう?」
「ここに、ちょうどお祭りのチケットが二枚あります。テラスにあげようじゃないか!」
「……俺は!? 俺もお祭りの食いもん食いてーよ!」
「え、二人に挟まれたいの? ……仕方ないなぁ。一人で行くんだよ?」
クロウにも差し出すチケットを見つめる人が一人……。
「実行委員のノルマ完了。……ん? ミコも行きたいの?」
「……女一人で行かせるんですか?」
「僕と一緒に行ってくれますか? お嬢さん」
「はい、喜んで」
ミコの嬉しそうな笑顔をテラスは不思議そうに見つめる。
「……?」
「お前は他人のことも鈍いんだな……。じゃあ、そのチケットでディラン様を誘ってこい! 俺は、別で行くから助けてやれないぞ!? 明日の午後、席をを外してあげるからな?」
「ありがとうございます。クロウ様」
---
「あ! 鬼の姉御たちのところに用事があったんで、俺は少し席を外しますね、ディラン様!」
「ん? 頼んだぞ、クロウ」
「行ってくるからな、頑張れよ。テラス」
「はい」
テラスにしか聞こえない声量で、クロウは声をかけて去って行く。
「……クロウは何か言っていたのか?」
「いえ、いってきますと。……ディラン様、先日、恋愛の神から、ノルマだと言って天界のお祭りのチケットをいただきました。……一緒に行ってくれますか?」
「……私でいいのか? クロウやミコ、恋愛の神。テラスと一緒に行きたいと思っている者は多いと思うが」
「ディラン様と一緒に行きたいのです! ……天界に私と一緒に行くのはお嫌ですか?」
「……すまない。そこまでテラスに言わせてしまったな。私と一緒に行ってくれるだろうか?」
地獄の神はそう言いながら、テラスの手を取り問いかけた。テラスは言葉も出せずにこくこくと頷いたのだった。
「……俺、この空気の中、いつ仕事に戻ったらいいんだ?」
”テラスさんには、ディラン様っていう方がいるって説明する前に行っちゃったから、慌てて追いかけて……ってあれ? どんな空気? これ”
「その神様、そんなことを言っちゃったのね……せっかく私たちが楽しみながらウォッチングしていたのに……」
ミコが髪をかき上げながら、残念そうにためいきをつく。
「それで、僕たちが呼び出されたんだね?」
その場に集まった、ミコ、恋愛の神、クロウが神妙な面持ちを浮かべる。
「恋愛に関して、どうしてこのメンバーを集めちゃったんだよ」
クロウが頭をガシガシとかきながら、突っ込みを入れる。
「……れ、恋愛ですか!?」
「何この反応!? かわいいー!」
思わず、顔を真っ赤にしたテラスの反応に、ミコが抱きつきながらよしよしと頭をなでる。
「ミコ、テラスが困っているよ」
「あ、ごめん。テラス」
「俺が見ている限り、ディラン様もテラスも二人共が意識しちゃって話しかけられなくなっているんだよな」
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「クロウ様。ディラン様にこの書類が合っているか聞いてきてくれませんか?」
「何で俺が何だよ……わかった、そんな顔するな。行ってくるから」
「クロウ様。これがテラスから預かった書類で、俺が終わらせたのがこっちです。確認お願いします」
「……問題ない。テラスに、この書類で問題ないから天界に出しておくと伝えておいてくれ」
「…………わっかりました-」
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「クロウ様。毎日お疲れ様です……。 テラス、そこはちゃんと自分で持っていきな?」
「……地獄への転勤が出たら、全力で拒絶したいな」
「俺、頑張っているだろう!?」
「……私だけじゃなくて、ディラン様もですもん。どうしたらいいと思いますか? 恋愛の神様」
「僕!?」
「まあ、恋愛の神だしな」
「私たちの中では、一番恋愛に関する話題を聞いていると思いますよ?」
「ミコまでにそう言われたら、頑張るしかないか……。ちょうど来週、天界でお祭りがあるから、二人で行ってきたら?」
「……どうやって誘いましょう?」
「ここに、ちょうどお祭りのチケットが二枚あります。テラスにあげようじゃないか!」
「……俺は!? 俺もお祭りの食いもん食いてーよ!」
「え、二人に挟まれたいの? ……仕方ないなぁ。一人で行くんだよ?」
クロウにも差し出すチケットを見つめる人が一人……。
「実行委員のノルマ完了。……ん? ミコも行きたいの?」
「……女一人で行かせるんですか?」
「僕と一緒に行ってくれますか? お嬢さん」
「はい、喜んで」
ミコの嬉しそうな笑顔をテラスは不思議そうに見つめる。
「……?」
「お前は他人のことも鈍いんだな……。じゃあ、そのチケットでディラン様を誘ってこい! 俺は、別で行くから助けてやれないぞ!? 明日の午後、席をを外してあげるからな?」
「ありがとうございます。クロウ様」
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「あ! 鬼の姉御たちのところに用事があったんで、俺は少し席を外しますね、ディラン様!」
「ん? 頼んだぞ、クロウ」
「行ってくるからな、頑張れよ。テラス」
「はい」
テラスにしか聞こえない声量で、クロウは声をかけて去って行く。
「……クロウは何か言っていたのか?」
「いえ、いってきますと。……ディラン様、先日、恋愛の神から、ノルマだと言って天界のお祭りのチケットをいただきました。……一緒に行ってくれますか?」
「……私でいいのか? クロウやミコ、恋愛の神。テラスと一緒に行きたいと思っている者は多いと思うが」
「ディラン様と一緒に行きたいのです! ……天界に私と一緒に行くのはお嫌ですか?」
「……すまない。そこまでテラスに言わせてしまったな。私と一緒に行ってくれるだろうか?」
地獄の神はそう言いながら、テラスの手を取り問いかけた。テラスは言葉も出せずにこくこくと頷いたのだった。
「……俺、この空気の中、いつ仕事に戻ったらいいんだ?」
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