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第四章 本当にやりたい事?

お兄ちゃん大好きの攻撃!

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 俺が里奈から責められる理由はよくわからないが、とにかく二人からの追求が厳しくなりそうだった矢先に、要塞戦の始まりを告げるファンファーレが鳴り響いた。助かったぜ……。

 俺はローザ要塞に攻め入ってくるギルドの登場を今か今かと待ちわびていた。そしてスタートから30分が経過した。ローザ要塞はまだ、どこのギルドからも攻められていない。

ダーク「中々、攻撃してくるギルドが現れないね」

千隼ちはや「大手のギルドが所有する要塞戦なんてこんなものだよ」

 俺の発言に答えてくれた千隼さんが、大手ギルドの要塞防衛戦について色々と教えてくれた。

 まず、大手のギルドが所持する要塞戦だと、かなりの確率でキャラが死亡してしまう可能性がある。なので、同じような大手じゃないと中々攻めることが難しいらしい。もちろん、負けることを覚悟で攻めてくる事もあるらしいが、それも頻繁ひんぱんに出来ることでは無い。

 なので必然的に攻めてくるのは大手ギルド、例えばシャイニングナイトや風光明媚ふうこうめいびなんかだな。しかし彼らも毎回攻めてくるわけじゃない。自分達の防衛戦もあるしね。シャイニングナイトなんかは、2つの要塞を所持しているので、頻繁に攻めてくるのは難しいだろうとの事だ。

ダーク「じゃあ、攻めてこない時間のほうが多いってこと?」

千隼「まあ、そうなるかもね」

 うへえ、じゃあ1時間の要塞戦の間、ずっと誰かが攻めてくるのを待ち続けてるだけって事もあり得るってことか……。俺なら耐えられんな。コボルト要塞が1時間ずっと戦闘状態だったんで、どこの要塞もあんなものなのかと思ってたわ。

エリナ「ところで、さっきの黒乃さんの事なんだけど。あんたまさか狙ってるとかじゃないでしょうね?」

 ちょ!こいつはなんで、いきなりなんの前触れも無く見学席でこういう事言っちゃうの!?これ、黒乃さんも聞いてるんだよ!?

黒乃水言「うん?ダーク君、そうなのか?」

 ほらあああああああああああああああああ!里奈の奴あほか!そりゃ自分が狙われてるとか聞こえたら反応するに決まってるだろうが!どうしよう!なんて答えたらいいのか全然わからん!

ダーク「えっと、いや、あのですね……」

 俺が答えに困っていると、スカイプから里奈の声が聞こえて来た。

里奈『ど、どうしよおおお!スカイプとチャット間違えちゃった!』

真司『なんで!?何をどうやったらこのタイミングで間違えられるの!?』

 なんでチャットでと思ったら、里奈の奴誤爆してやがったらしい。しかもブラックアウトギルドの公式の見学席でのチャットなので、黒乃さんを始め、ギルド幹部の皆さまには筒抜けになっているだろう。もう嫌だ!

 大体、以前誤爆したときは、色々忙しい状況での誤爆だったから仕方ないとこもあるけど、今日のは単なる誤爆じゃねーか!あいつには「誤爆王」の名を授けてやる!

 よく聞いたら、姉貴の部屋でも「燈色どうしよ~><」という里奈の声が聞こえてくる。そんなの燈色に聞いたところでわかるわけねーだろ・・・。

千隼「黒乃さん、エリナちゃんとダーク君はね、ゲーム内で付き合ってるのよ」

 俺と里奈がスカイプで言い合ってると、千隼さんが救いの手を差し伸べてくれた!そう!それだ!

黒乃「む?」

ダーク「そ、そうなんですよ~」

千隼「だからね?エリナちゃんとしては、黒乃さんみたいな女の子が現れて、ちょっと心配なのよ」

 千隼さんナイスフォロー!ブラックアウトの皆さんに、俺とこいつが付き合ってるって事が公になってしまったのは大変不本意だけどな!今頃ギルドチャットで軽く話題になっている事だろう。あーもう帰りたい・・・。

エバー「え?お前恋人いたのかよ!ずりーぞ!」

 ほらな!あー、一番知られたくなかった奴に知られてしまった。

 俺だってな、本当に付き合ってるんならめっちゃ自慢しまくっとるわ!でも姉貴だぞ姉貴!ホントだったら、リングの為に付き合ってるだけですーって言いたいところだが、里奈の奴がすげえ嫌がるから言えないのがつらい!

ダーク「いや、付き合い始めたの最近だから、単に言いそびれただけだって」

 言うつもりなんか毛頭なかったけどな!

黒乃「そうか。なら仕方ない、諦めるとするか」

 は?諦める?誰が誰を?え!?もしかして黒乃さん俺の事・・・。

里奈「ちょっと!やっぱあんた、あの人にちょっかい出してたんじゃない!」

燈色「先輩、手が早かったんですね」

真司「いやいやいや!俺だって何がなんだかわかんねーよ!」

 里奈と燈色から理不尽な責めを受ける。なんで俺怒られてんだよ><

グラマン「むー、我が生涯のライバルと思っていたのに、エリナ殿をたぶらかしていたとは!」

ダーク「たぶらかしてねーよ!つーか、ちょっとお前は黙ってろ!」

 ここでグラマンに乱入された日には、ますます収拾がつかなくなる。

黒乃「私個人としては、かなり君のことを気に入ってるので、これからも良い関係を築ければと思っていたのだが。エリナ殿がよく思わないのであれば仕方ない」

 あ、あーそういうことね。びっくりしたあぁ。諦めるとか言うから勘違いしそうになったぜ。ちょっと残念。

ダーク「あーいえ、僕も色々お話聞きたい事もありますし、また誘って頂けると嬉しいです」

黒乃「しかし、いいのか?」

ダーク「大丈夫です!」

里奈「ちょと!あんた何自分から誘ってんのよエッチ!」

真司「はあ!?エッチ?エッチってなんだよ!別に知り合いになるくらい構わんだろうが!」

黒乃「そうか、なら・・・」

【ブラックアウトがお兄ちゃん大好き!とのバトルに突入しました】

黒乃「すまん、布告がきたので切る!」

 残り20分という所で、ついに他ギルドからの宣戦布告があったようだ。黒乃さんがチャットを途中で切り上げる。同時に俺達も、門周辺へと移動して、攻め側の到着を待った。

 布告から1分程経った頃だろうか、ライン外に一斉に「お兄ちゃん大好き!」ギルドの人達が現れる。そしてそのまま剣士を中心に門へと突入し、綺麗な教科書通りのような攻撃陣形が出来上がった。

 しかし「お兄ちゃん大好き!」か・・・。思い切ったギルド名にしたもんですね。

 だってさ?自己紹介で「ギルド名なんですか?」って聞かれたら「お兄ちゃん大好き!ギルドですっ」て答えるんだぞ。何の罰ゲームだよ。俺には絶対無理だ。

グラマン「しかし凄いギルド名ですな。びっくりしましたぞ」

 ほらみろ!あのグラマンでさびびるような名前だぞ。一体どういう経緯でこのギルド名に決まったのか、俄然興味がわいてきたな。

 普通に考えたらそういうアニメか漫画があって、そこからギルド名にした説が有力だな。ヒロインの女の子がよく言うセリフだったりとかな。それか、ギルドマスターが本当にお兄ちゃん大好きっこで、それが高じてギルド名になったとか。

 ・・・うん、やっぱりどうでもいいな。

 お兄ちゃんギルドが攻めてきてから10分ほどが経過したが、ブラックアウトが危なくなる場面は皆無と言って良いと思う。そのくらい戦力差があるのは、素人の俺から見てもわかった。これは間違いなくブラックアウトが勝つと思う。

 しかし、これだけの戦力差があるって事は、お兄ちゃんギルドの奴らもブラックアウトには勝てないってわかっていながら攻めて来た確率が高い。もっと勝てる要塞とかに攻めていけばいいのに。

 俺がそんな事を考えている内にも、お兄ちゃん側の剣士は、帰還アイテムで帰還したり、操作キャラを倒されたりして、かなり疲弊しているのがわかる。ヒーラーの数も足りてないのか、ヒールも滞ってるみたいだ。

 そしてその状況は、要塞戦終了のファンファーレが鳴り響くまで変わることはなかった。そして20分に渡る戦いの決着が着いた。

【ブラックアウトがお兄ちゃん大好き!に勝利しました】
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