上 下
6 / 14

6 暗殺テロ以外は見ているだけです。

しおりを挟む
 最近何故か…いえ、誰かの作為でしょうが、今までと違う分布で不自然に甲魔獣出現がが多発するそうです。
「レイブギンとも交戦状態でこんな状態になっってたらと思うとゾッとする」
 等とラーグスリーグの兵士の方の声がきこえます。
「多分違うわね、ウチが取ったからこんな状態に進めたんでしょう」
 イリーシャの嘆息。
「こっちが陽動でレイブギンが本命かとも考えられますけれど、日に最低3回の定時通信の向こうは平和な様で、退屈に不満と愚痴を垂れ流してます」
 エイプリルの嘆息。
「もう埒があきません。交戦状態のガエリオス王国とラーシアシス教国、侵略するならどっちが気が咎めないですか?」
「短気を起こさないで下さい。気が咎めない侵略なんてありません」
「どちらがマシですかという話です。
 今更ですけれど、レイブギンの属領になったらエトファムとの交戦状態は解除にならないのですか?」
「両国にその旨の通信と親書は一応送りましたが何の返答もありません」
「そういう慣習なのよ。領土拡大したいだけなんだもの」
「教国って名乗るのにですか?ラーシアシス…ラーシア?女神ラーシアを信仰してる?」
「と言っているだけの生臭教団の総本山…というのも自称で他国にラーシアシス教団・教会はないのよ」
「女神ラーシア信仰は民間信仰でラーシア教会はどこにでもあり、独立運営で相互扶助もまめに行っている様ですが、総本山と言えるものはありません。
 ラーシアシス教団は下部組織だと喧伝してますが、ラーシア教会は関係を強く否定して相手にしていません」
「なんですか?その胸糞悪い国は。攻め滅ぼしましょう」
「いえ、国民のほとんどが、ただ女神ラーシアを信仰する信徒ですよ」
「それにレイブギンより少し狭い程度の国土に、清廉潔白な聖騎士様が十人もいるそうですよ?笑っちゃいますね」
「その聖騎士とか自称するハイヒューマンを十人倒せばいいのですね? 
 行きましょう。ああ国王だか教皇だかもですか」
「後味悪いですよ、攻めたり滅ぼしたりしたら」
「なんでですか?」
「攻めでも守っても国民が肉壁となります、自主的に、進んで、統率もなく、魔法支配でもなく、散発的に。
 エトファムは自民族至高主義・他民族奴隷な国だったのでその辺の後味はマシだったそうですが、聖騎士も幹部も隠れてしまうのでひたすら無辜の民を虐殺し続けたそうです。侵攻軍のハイヒューマン3人の内1人が外部の伝手で借りてきた応援で『割に合わない、降りた』と去った時点で侵攻を諦めたそうです。
 滅ぼしたら悪魔とか女神ラーシアの敵ですね」
「それは構いません。宗教も狂信者も嫌いなので。
 そういった相手を潰す良い方法を知っています」

 真っ当な戦争もできない相手に戦争で挑むからいけないのですよ。
 頭から暗殺していけばよいのです。


 教皇の崩御の日、幹部5人が同日殉教の知らせ。
 後二日で聖騎士2名と幹部予備クラスが3名。
 教皇の葬儀の日に聖騎士5名。
 1週間で本殿の統治機能が停止したそうです。麻痺、ではなく停止。
 無人の本殿には「祈れ、去れ」とだけ書かれた紙切れが残されていたそうです。


「無茶苦茶するわね」
 遅くなるかもしれないとのイリーシャの伝言を受け取りましたのでラーグスリーグのいつもの料理店でエイプリルと先に夕食を頂いていました。
 イリーシャが合流して席につき、呆れと、もしかしたら怒りを通り越した「何か」も通り過ぎての一言です。
「ルールを守らない無茶苦茶は、ルールの恩恵も放棄したという意思表示でしょう」
「戦争に不文律や慣習はあってもルールなんてあったかしら。新技術の新兵器が完成すればルールなんか意味はなくなるわ」
「ありますよ間違いなく1つは」
「へえ」
「領地を殺さない事です」
「どういう意味?」
「そのままです。領地を殺さない事です」
「焦土作戦のことかしら?
 奪われると確定した領地の田畑や水源家屋を敵が使えないようにしてから撤退する。
 好みではないですが有効な戦術だとは思いますよ?」
「広い意味ではそれもルール違反と思いますけれど。
 …分かりやすい様に例え話…いえ、御伽噺をしましょう。
 ある日、新技術の新兵器が完成しました。
 それを使うと大陸半分丸焼けになって更に広範囲の土地を何十年も動物も植物も不治の病ですぐ死んでしまう土地にしてしまうのです。
 そんな夢の新兵器です。無敵です。再起もあり得ません。
 一回使って大陸の覇者となりました。
 でも何も生きることができない大陸の大半は要らない土地になってしまいました。
 もし反乱が起こったら二回目を使った方がいいのでしょうか」
「それはルール以前の…いえ、ルール、なのでしょうか…」
「ルール…ルールなのでしょうか?いえ、ルールですね」
「無意識なだけで普通に守られているルールもきっと一杯ありますよ?
 病気を撒かない、とかですね」
「それは、その発想ができる貴女が恐ろしい」
「え?ないですか?そういう歴史。比較的簡単で有効な戦術だとは思いますけれど」
「聞いた事もないですね」
「知りませんでした」
「歴史の授業で習うくらいなので誰も気付かなかったとは思えません。
 無意識に守られているのでしょうか? 
 忌避感が強いから記録に残さなかったのでしょうか?」
「まあ、私達はハイヒューマンが戦争を左右する時代に育っているから。
 ハイヒューマンのほとんどは毒とか病気には強い耐性があるか無効なので意味がないのですよ」
「話を戻します。
 あんな奪う価値のない、利用価値のない領土にしてしまった上に攻めて来るルール違反者は運が悪いのでしょうか天罰でしょうか、テロリストの標的になってしまいました」
「「・・・」」
「あんなとこ放っておいてガエリオス王国に集中しましょう」
「ラーシアシスは放っておくのですか?今なら簡単に…」
「要りますか?あの荷物」
「…要りませんね。今のレイブギンには重過ぎる荷物です」
「これが領地を殺すという事の一端です。
 どこかの馬鹿が征服してくれたら、その半年後にでも考えたらいかがです?」


 ユーシアに会う為にラーグスリーグの研究施設の門をくぐります。
 正式には国立第2研究所で魔獣素材の解析と魔導具開発が専門なのだそうですが、わたしとレイブギンが投下した資金と急増した人員の為、隣接した第3第4研究所には移転してもらったそうです。
 エトファムをレイブギンが属領化した時点で国立ではありませんし、特にわたしとレイブギンが投下した資金により第2研究所は報告義務はありますが独自路線を進んでもらっています。
「まず、推測を外れたデータはでません。
 甲魔獣を操る実験の結果か、途上の産物とみて良いとの事です」
「ユーシア、昇進しました?
 まとめられた伝聞を報告している様に聞こえますよ?」
「ハイヒューマンが昇進したら何になるのでしょうね?」
「くくっ、ユーシアさんは研究所の所属ではありませんよ?」
「あれ?」
「はい?これでもエトファム最強の戦力ですよ?ハイヒューマンですよ?
 研究職なんてやりたいとも思いませんが、仮にやりたいって言った所でできるわけないじゃないですか。
 なんでそんな勘違いしました?」
「えと、最初に話した時も最近もほとんど2研ここで会っていますよね?権限持ってましたし」
「権限はありますよ、ハイヒューマンですから。
 部屋ここも貰っていますから、最初の時は偶々デバイス調整していただけです。
 その後は何故か私の名を経由して資金やら人員が集まって…ジュライさん?…あなですか?一々私の名を挿んだのは?」
「知らなかったのですよ、雰囲気的に研究職も兼業しているのかと…他にエトファムでユーシア以上信用できる人を知りませんし」
「…なんの嫌がらせか陰謀かと思っていましたよ…。
 私、そんなにハイヒューマン・オーラが出ていないのでしょうか…?
 唯一のハイヒューマンが兼業できるわけないじゃないですか…。
 …オーラといえば、ジュライさん?
 有能な後方支援職の従魔使いで付与術士である事までは理解しました。
 無限みたいに継ぎ目なくトランスファーされる魔力はどこから?
 Lv80のグレイウルフって何ですか? 
 それを従魔にするLv2って何ですか?
 あの凄い長距離転移はどうやっているのですか?
 …何でまだ…Lv2なのですか? 
 …あの日、私は気付いたらPPが使い切れないくらい増えてました。身体もそれ迄重い皮を被っていたみたいに軽いし鋭敏で絶好調です。
 …ひょっとして私が経験値やPPを独り占め…か、もしかして奪ってしまったのですか?だとするとある程度は辻褄が合います」
 …そんな辻褄の合わせ方もあるのですね。
 見当違いの妙な罪悪感を持たせたままにするのもアレなのでフォローは必要ですね。
「えーと、ですね。何と言いますか…」
「うん、まあ、何と言いますか、アレです」
 何故か、わたしよりエイプリルとイリーシャが慌てます。
「ああ、分かりました。
 そうですね、わたしは最悪逃げれば済みますが、ダメージはみんなの方が大きいですよね」
「そんなツレない事言わないの!逃げる時は一緒って言ったでしょ!」
「共犯者でしょう?皆事情を承知でダメージも覚悟しています!」
 なんか本気気味で怒られました。
「…共犯者とか逃げる時とか、聞かない方がいいのですね」
「そうですね。ユーシアの想像は見当外れですので気にする必要はありませんよ?
 なんにでも抜け道はあるというだけですから。
 それより話を戻しましょう。
 甲魔獣の件です」
「そうですね、分かりました
 まずクモサソリですが、そのままクモ型とサソリ型をくっつけた痕跡がありました」
「くっつけた?外科的に?治癒系魔法では無理でしょう?」
「外皮に手術痕みたいな痕跡があったそうですが内部はそう無理な接合痕跡はなかったそうです」
「元が融合系の魔獣というのではなさそうですね」
「融合系の魔獣って何です?」
「代表的なのはキメラでしょうか。倒した敵の有用部位を融合して自己強化します。
 スライムも融合系といえば融合系でしょう。形状は変わらなくとも属性や耐性を融合します。
 一部の上位悪魔種は片腕を失っても、人でも腕のある魔物でも腕を切り取って押し当てたらくっついて、そのまま普通に使います」
「…クモとサソリを融合して得るメリットか、多脚以外の共通点はあるのでしょうか?」
 わたしの疑問に一同は考え込みます。
「条件を増やしましょう。人が操る前提でって感じでは?」
「向いていません、が共通点ですね。あのような形でなくとも従魔や使い魔にも向いていません。感覚共有しなければまだしも視覚が根本的に違うのですよ、目が10個以上あるとか想像もできないでしょう?…目で思い出しました、クモとサソリは種類が近いと聞いたように思います」
 でもこれは地球の普通サイズの話なので裏を取る必要があります。
 ユーシアさんが備え付けの端末で検索してくれます。
「近いみたいです。近いから融合できた可能性もありますね。
 視覚については後で報告するつもりだった追加甲殻の話なんだけど、一部がマジックミラーになっていたそうよ」
「ということは中から操作してた?多脚生物の操作っていうのも想像しづらいね。
 馬に乗る感覚ですかね」
「これも一応共通点ですが知能が低いので調教できるとは思えませんね」
「では中から従魔を使役していたのでしょうか? 
 こんな手間をかけて乗り込んで? 
 普通に遠隔使役した方が効率は良いはずですが、他にメリットがあるのでしょうか?」
「いやいや、ジュライの感覚でそこを語るのはおかしいでしょ。
 Lv130超えの甲魔獣を従魔契約はできないでしょ」

 …現状は把握しましたし、本当は辿り着く方向も想像がついているのです。
 ですが理論も構造も分からないので相談するのです。

「…脳を破壊しても再生する魔物がいますが、再生した直後は記憶を持っていませんよね?ならば知能や精神抵抗が低いでしょうから、レベルの高くないクエストの魔法や魔導具でも単純な指示、馬を操る感覚ぐらいの指示はできませんか?」
「一考の価値がある発想ですが、今回の場合そこまでの魔導具は見つかっていませんね」
「甲魔獣の方にも細工とか改造が必要なのかもしれませんね」

 

 セレナが意気揚々と単独で先行、ガエリオス王国への街道を進みます。
 今回は常識と慣習に従い一万程度ですが軍勢を率いての侵攻です。
 このプロセスに戦えない・戦う意思のない者が避難します。
 恒常的に交戦状態が維持されるガースギースでの、宣戦布告に近い行動なのです。
 イリーシャはレイブギン、ユーシアはエトファムに残りました。
 国境を越えてすぐ、6人いるはずのハイヒューマン内、事前調査によると上位の二人がたちはだかりましたが、殺さない手加減までして余裕を見せて機嫌良く笑います。
 敵団は恐れ潰走、味方はサツキコールの大唱和。
「何かの外堀を着々と埋められている事に気付いているのでしょうか?セレナあのひとは」
「気付いているわけがないでしょう?セレナあのひと様ですよ」
「従者として、良いのですか?」
「私が御守りする等と、言うのが恥ずかしい位になられましたよ?」
「後で困った顔を見るのが楽しみなわけではないのですね?」
「…アンキリム様が私などに託された希望を多分超えているのは本当ですよ?」

 雀二十羽、猫5匹を新たに従魔に加え、ついでにエイプリルは青いセキセイインコのコインさんを使い魔にして先行させて王都で諜報・偵察。
 修行場の甲魔獣の森でも何体か変わったのや希少な甲魔獣を従魔にしましたが、みんな強面なので人里で出番はありません。
 修行もさせましたのでハイヒューマンと1対1でも勝ちます。雀でもインコでも。
 「戦争」して勝つ事に意味があるので、直接戦力として当てたりしませんが諜報・偵察要員としては優秀です。
 なのでるのは知っていました。
 でも王都前でハイヒューマン4人と共に5体の体高3mを超える半人半馬種甲魔獣が堂々と待ち構えているのは意外でした。

「今回は私一人でやらせてみてくれないか。
 フヅキの言うインスタントな力が分かってきて、血肉になりかけているのが解かるの」
 男前なセリフですが悪目立ちするのは分かっているのでしょうか?
 返事も待たずに進み出てしまいます。
 誰がどうみても圧倒的戦力差ですよね?
 勝ったらマズイのでは?とチートなわたしは思ってしまいます。

「ハイヒューマンゆえ偽名で失礼します。
 レイブギンの剣、サツキと申します。降伏しないのであれば私がお相手致します!」
「一人で勝ち抜き戦ってか?嘗めてんのか!」
「あなた達には分からないでしょうが、私には全員のレベルが分かる。
 その言葉こそ私を嘗めていると判断します。
 後ろに行っても構わないが、これは戦争です全員で来いっ!」
 甲魔獣素材にたっぷり魔力付加した自身の身長に近い長大剣を肩から抜きます。長過ぎて変則的な鞘しか作れなかったのです。
 セレナの挑発は効果がないわけでもないようですが、飛びかかって行ったりはしません。
 油断、死角を探るようにゆっくり包囲していきます。
 3対9は戦術次第で可能性があっても1対3は絶望的と何かで読んだ気がしますが、ここはガースギース。
 ステータスの差は理不尽なのです。
 半人半馬種甲魔獣が操る6m程の長めのパイクの牽制をフラフラと流すセレナ。
 …武器の選択間違っていますね甲魔獣。
 魔法使いが一人いるので遠隔の一撃を入れておきたいのが人情でしょうが待機しています。セレナ余裕への警戒でしょうか、回復・支援に徹するのでしょうか。
 先に焦れ負けたのはやはり甲魔獣陣。
 死角のはずの背後からパイクが伸びて、合わせた槍使いハイヒューマンも低い姿勢から突進。
 セレナは牽制していたパイクをフラリと腕で払い、牽制していた方の傍の剣使いが振るう剣を蹴り払って、棒立ちの半人半馬種を大剣一閃。半人部分が両断されて落ちます。
 後退に向かない身体構造なのにパイクなんか持って立たせちゃダメでしょう。
 やっぱり普通か少し長い位の槍持って走らなきゃ。
 囲いの崩した所から縮地で距離を取ったセレナは更に転移、そこに突進系スキル攻撃二つが空を切ります。
 離れていた魔法使いの背後にセレナが出現、腕を取ってネジ折り、最寄りの剣使いに投げ付けて突進系前方範囲攻撃ブレイドゲイルで2人と2体を巻き込みます。
 後はバラけてしまった残りに突進系前方範囲攻撃ブレイドゲイルを連打するだけです。
 いえ、やろうと思えば防御力とHPの高さに任せて、最初からダメージを無視して攻撃連打で押し切れるはずですが「血肉になりかけている」ということでしょうか、鮮やかに洗練された戦闘でした。
「まだ誰かやりますか?」
 立っている者がいなくなって、セレナは問います。
「口に出して降伏して下さい」
 全員心は折れています。今なら半数以上の命は助かります。
 でも誰も自分の口からは言い出せない。
 門前の軍勢の貴族っぽい人達からは「立て」「無責任」「面汚し」そんな罵声が聞こえますが[ホーミングスタンボルト]エイプリルの魔法が黙らせます。
「この戦闘を汚す者はもう魔法的にロックしました。意味は分かりますね?
 今のは少し痺れる程度にしましたが、次は二度と自分で立てなくなりますよ」
「脅迫だ!」叫ぶ身なりの良い豚。
「降伏していない以上、何をしても戦争中の戦闘でここは戦場ですよ?」
 叫んだ豚をエイプリルがそう言って指差すと、豚は膝から崩れ落ちました
 二度と自分で立てないのかもしれません。
「口に出して降伏して下さい」
 無為に時が過ぎ、言葉を重ねるセレナですが、誰も自分の口からは言い出せません。
「降伏だ」
 豚の群れから痩せた二十歳前に見える青年、国王が割って出てきました。
 従魔達の諜報・偵察で知っていますが身を明かしてもらわないとダメなのです。
「国王として宣言する!降伏する」
「降伏、承知致しました」
「治療しても?」
「どうぞ。[エリアリジェネレーション]」
「治癒術隊!治癒魔法まで…?」
 セレナが再生治癒の範囲魔法を使います。
 担当になり登録した治癒魔法使いにしか治癒系魔法は現状維持以上の意味がありません。
 治癒術隊が恐る恐る動き出しますが、この数分が文字通り命取りだった人もいたみたいです。
 助かったのはハイヒューマン2名でした。


 乗従甲魔獣と紹介されて、ある貴族を通じて購入したそうです。
 その貴族は侵攻直後に姿を消したとの事。
 わたしもセンス・ライしてその場いましたので嘘ではないと思います
 レイブギンの占拠運営団なるものがいつの間にか組織されていて引き継ぎの間にそんな話が聞けました。
 事前諜報活動からの推測からは外れていません。
 接収した半人半馬種の乗従甲魔獣2体を2研に預けて、わたしとエイプリルは件の逃亡貴族の前に[空間接続]で飛び降りて拘束します。
 エイプリルは[エリアスタン]で野営準備を始めていた護衛を含めた26人を気絶させています。
 手分けして一所に集めて魔法で[拘束バインド]してラーグスリーグの牢に直接[空間接続]で突き落とします。
 事前諜報活動は伊達ではないのです。きちんとマークして雀従魔を張り付かせていました。
 馬車に当たる従魔車は亜空間収納に回収。
 …こういうのが存在しているのでしたら、ストレージに最初からあって、ステータス上昇でグレイアウトから取り出し可能になっていました、アレらを使うのもアリかもしれません。
「…牢って魔法対策はしていると聞いたような気がしますが?」
「結局の所、対抗魔法での対策ですもの。桁の違う魔法力の前には無力という事じゃないですか?事前にこの牢区画に来た時、MAP登録できましたし。
 でも、もう少し強化はしておきましょうね」
「次は傭兵団ですね」



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...