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第三話②

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 順慶は冴人の腰を優しくベッドに下ろすと、一気にペニスを引き抜いた。冴人は溜息のような声をあげ、さらに精液が流れ出てきた。

「冴人」

 背中から覆いかぶさり両腕で身体を抱きしめ、冴人を自分の方へ向かせる。冴人は酔っているように恍惚こうこつな目をしていたが、順慶と目が合うと猫のように頭を寄せて甘えた。

「誰が止めていいと言った……」
「馬鹿、俺たちはもう若くないんだぞ」

 順慶は相好そうごうを崩す。抱いている冴人は衣服を身にまとっている時は全身が尊大という名の細胞の塊だが、裸になると一転してお嬢様の可愛い我が儘モードに変身する。この時も不満そうに唇を尖らせてさらに言いかけようとしたところを、先に唇を奪って我が儘を封じた。

 キスはふんだんに砂糖を混ぜたカフェオレのように甘ったるく美味しい。二人で舌を入れながら舐め合って吸い合って極上の感触を思い切り味わう。

 順慶はキスをしながら冴人の太腿ふとももを撫でていき両足の合間に手を入れた。冴人のペニスはやはりぐっしょりと濡れている。自分の行為で存分に感じたことが嬉しくて、指を折り曲げてペニスを握ると優しくしごく。

「……ああ」

 冴人は顔を仰け反らせた。突き出た白い首肌に順慶は唇を這わせる。自分と同年代なのにまだ張りのある肌艶。その肌触りを楽しみながら、冴人が溜まっている快感を全て外へ吐き出すまで手でペニスをあやした。

「順慶……」

 やがて冴人は順慶の胸にぐったりしてもたれると、傷一つ見当たらない綺麗な手で順慶の腕をぐっと掴んだ。

「お前はいつも私の言うことを聞かない……」

 何かがお気に召さないのか、つんけんした態度になっている。暗闇なので顔の表情までは見えないが、きっとぷうっと頬を膨らませているだろう。子供が駄々をねるように。それがわかっている順慶はしょうがないなと微苦笑しながら、冴人のペニスを手離した。

「はいはい、ちゃんと聞くぞ、お坊ちゃま。今度はどうして欲しいんだ?」

 手のひらはベトベトになっている。もっと激しくして欲しかったのかなと思った。俺も激しくやりたかったが。

「私はもうお坊ちゃまではない、順慶。理事長だ」

 あれだけ突かれて喘いでいたのに、いきなり口調が肩書に戻る。

「理事長として言う。順慶は私の命令に従え。私が止めろと言うまで私を抱け」

 まるで国王が家臣へ命じるような言いようだが、順慶の腕を掴んでいる指はきゅっと肌をつねる。ねているんだなと順慶は可愛く思った。ただ行為を止めただけなのに。まったく。

「理事長じゃなくたって、冴人の言う通りにするよ。ずっと俺はそうしてきたからな。少し休んだらベッドがぶっ壊れるまでやろう」

 そういえばひと月ぶりだったと思い立った。寂しかったのかと思って汚れていない方の手で冴人の頭を撫でた。

「順慶、私は子供ではない」

 まだ学園トップの口調だが、止めろとも言わないし払い除けることもしない。天邪鬼な性格をよく知っている順慶は、それすらも可愛いというように自分の胸にもたれたままの冴人の頭を撫で続けた。
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