49 / 50
45. 悪阻ルートが永遠に終わらない契約結婚なんです!?
しおりを挟む
皆さま、ごきげんよう。
バルモント公爵夫人、フィリスでございます。
ええ、もう嘔吐はしていなくってよ?
そうそう。ほんのつい3ヵ月前に、3人目の子供を産んだばかりなのですわ。
私とノアルファス様は今年で結婚3年目となりました。
え?計算?合ってましてよ?
あの日、初めて女の子を産んだ後、私の願いを聞き届けてくれたノアルファス様は私を連れて無期限の旅行計画を立てて下さいました。
乳母やメイド、護衛、勿論赤子も連れて、ロザリアを出てギプロスを通り、各国をめぐって外交をしながら帰国するという予定だったのです。
国王アレクサンダーも乗り気でその案に賛成し、報告書を逐一上げる事で同意したのでした。
ですが、あの当時はお互い気持ちの通い合った後の事でしたので······ノアルファス様は私を溺愛しており、それは片時も、一瞬たりとも離しませんでした。
最初に訪れたのはギプロス。
妊娠中お世話になった御礼と、子供の顔を見せるという意味も兼ねて、私達はエレイン様の家の”離れ”に2ヵ月程滞在しました。
その滞在中、私の二度目の妊娠が発覚。
旅行は勿論中断となり、急遽ロザリアに帰国する事になったのでございます。
ええ、笑って頂いて結構ですのよ?
私の夢だった”世界をめぐる旅行”はギプロスの”離れ”で呆気なく幕を閉じたのでございます!
その後、は悪夢再び、でございます。
それはそれは壮絶な悪阻の後、私は結婚当初の契約の要であった跡継ぎである男の子を出産致しました。
それをもう、あと一度繰り返し、今の私がございます。
こうして、私、今は可愛い一人の女の子と、二人の男の子の母となりました。
契約の事、気になりますか?ノア様との口約束にて離縁はしない、と解消されたそれですが。
皆さまの御推察通り、やはり結婚当初の契約はもう失効、解消されているようです。跡継ぎである男児を出産しても、離縁などされなかったわけですからね。
それに加えて、次なる契約であった旅行も未だ決行はされておりませんが。
現在は結婚当初に出来なかった婚儀を小規模で行う事になりまして、その準備に奔走しております。
まあ、小規模といえど、あの国王陛下と王妃陛下が出席されるので小さくないのですが······。
兎に角。
大変な事も多かった3年でしたが、3人の可愛い子供たちに囲まれ、学んだ事も沢山あります。
子供というのはとっても可愛いものなのですね。無垢な心で全てを吸収し、私の知らない内に急激な成長を遂げていくのです。
愛情を与えれば、与えるだけ返ってくる······のとは少し違いますが、それも人間だからこそ。
子供と親は違う人間なのですから、同じ考えではないのは仕方ありませんね。
私が”じゃじゃ馬”の”風変わり令嬢”であったように、これも個性!
伸ばせる所は私やノア様で援助しながら伸ばしてあげて、間違っている部分はダメと。そして何故ダメなのか話し合う時間も作って、共に成長できればいいなと思っております。
まあ、それにしても、皆様、人生計画は計画的にしてくださって?
私のように毎年1人出産をするのは、きっと身体への負担も大きいはずなのです······!
「フィリス、愛している」
「ノアさま······3年前、旅行に連れて行ってくれるって······約束、というか契約、覚えてます?」
「······ああ。だが、貴女と旅行に行くのもいいが、もう少しここで大切に愛でていたいという気持ちもあるんだよ。子供たちも本当に可愛いしねぇ······」
そして、この大きな子供。
これが最近の旦那様。ノアルファス様でございましてよ。
しっかり私を自分の膝の上に抱きかかえて、顔を覗き込んで愛おしそうなまなざしを向けてくる······この人が。
子供の事を考えるだけで、頬が下がりだらしのない笑顔を向ける······そう!この人が!!
「重ぉッ!気持ちが、重いのですよ、ノア様!外交のお仕事は······?隣国に行く機会は?!」
「それは、奴らがこちらに来ればいい話だろう?私にはやらなければならない事が沢山あるんだ」
「ああ······私の自由の旅······」
「分かっている、フィリス。旅行はまた直ぐに検討しよう。今度は二人でゆっくり行くのはどうだろうか?そうだ、婚儀も行う事だし······蜜月旅行というのも良いな······」
「······え。それ······嫌な予感しかしないのですが······」
あの日、想いを通い合わせてから、契約が失効となり、全身全霊で愛情を表現してくれるようになったノアルファス様は以前とは別人です。
もう既に跡継ぎは二人いるのですから公爵家としては安泰のはずなのですがね······。
でも、ノア様はずっと変わらないその愛を全力で私に注いでくれるのです。
「ふふっ、やはり愛は万能薬だったな······フィリス、愛している。貴女はどうなんだ?まだノアとも呼んでくれないから俺は不安で······」
「っ、そ、それは、私も愛してはおりますが······。あ、そうだ、今日はレオン様が帰ってきますね?」
「ああ、アイツは本当に早く婚約者を選べと言っているのにな······」
ノア様の弟のレオン様は3年前に騎士団に入団。最近、騎士団の副団長までに昇りつめ順風満帆な様ですが、婚約者もいないため釣書が公爵家に溢れていると執事が嘆いておりました。
私の専属メイド、ライラは、私の護衛としてノアルファス様が雇った護衛騎士と恋に堕ちて、二人はもうすぐ結婚も考えているのだとか。
公爵家の皆が幸せになる事は、私にとって、とても嬉しい事です。
「さあ、フィリス。レオンの事など放っておこう。そろそろ”離れ”に行こうか」
「い、いえ、ノア様!あそこには私、用がありません!!」
「あの時はあんなに”離れ”を作るのに目を輝かせていたのに?」
「そ、それは!あの時はこんな事になるとは知らなかっただけですわ!」
顔を引き攣らせてそう言った私に、ノア様は大層楽しそうな笑顔を向けてこられ。
「······そうかそうか。だが、用がなければ作れば良いんだぞ?知っていたか?」
「いやいやいやいや、そんなワケがないでしょう!!?」
逃げようとする私をノア様は直ぐに捕まえると、軽々とお姫様抱っこして額に口づけを落として。その優しい口づけとは裏腹に、彼はクツクツと悪魔の様に笑いながら、ゆっくりと離れに向けて歩を進めていくのです。
「ノ、ノア様、聞いてらっしゃいますか?ねえ?!ノ、······ノアっ!!」
そう、この堅物、これに関しては全く聞いてくれないのです。
ええ、もうジタバタと抵抗する事すら無駄だと学んだのですが······。
「フィリス、今!ノアと呼んでくれたのかっ?!······これは、離してやれないな······」
でも······、一応、抵抗する事も大切ですわよ······ね?
だから、今日も私は公爵家の敷地中に聞こえる声で叫ぶのですわ。
「いやあああ、ノア様どこ触ってくれてるんですかああ!もう悪阻は嫌なのよねえええ!!
このムッツリ変態スケベ野郎!!!」
────── 完 ──────
バルモント公爵夫人、フィリスでございます。
ええ、もう嘔吐はしていなくってよ?
そうそう。ほんのつい3ヵ月前に、3人目の子供を産んだばかりなのですわ。
私とノアルファス様は今年で結婚3年目となりました。
え?計算?合ってましてよ?
あの日、初めて女の子を産んだ後、私の願いを聞き届けてくれたノアルファス様は私を連れて無期限の旅行計画を立てて下さいました。
乳母やメイド、護衛、勿論赤子も連れて、ロザリアを出てギプロスを通り、各国をめぐって外交をしながら帰国するという予定だったのです。
国王アレクサンダーも乗り気でその案に賛成し、報告書を逐一上げる事で同意したのでした。
ですが、あの当時はお互い気持ちの通い合った後の事でしたので······ノアルファス様は私を溺愛しており、それは片時も、一瞬たりとも離しませんでした。
最初に訪れたのはギプロス。
妊娠中お世話になった御礼と、子供の顔を見せるという意味も兼ねて、私達はエレイン様の家の”離れ”に2ヵ月程滞在しました。
その滞在中、私の二度目の妊娠が発覚。
旅行は勿論中断となり、急遽ロザリアに帰国する事になったのでございます。
ええ、笑って頂いて結構ですのよ?
私の夢だった”世界をめぐる旅行”はギプロスの”離れ”で呆気なく幕を閉じたのでございます!
その後、は悪夢再び、でございます。
それはそれは壮絶な悪阻の後、私は結婚当初の契約の要であった跡継ぎである男の子を出産致しました。
それをもう、あと一度繰り返し、今の私がございます。
こうして、私、今は可愛い一人の女の子と、二人の男の子の母となりました。
契約の事、気になりますか?ノア様との口約束にて離縁はしない、と解消されたそれですが。
皆さまの御推察通り、やはり結婚当初の契約はもう失効、解消されているようです。跡継ぎである男児を出産しても、離縁などされなかったわけですからね。
それに加えて、次なる契約であった旅行も未だ決行はされておりませんが。
現在は結婚当初に出来なかった婚儀を小規模で行う事になりまして、その準備に奔走しております。
まあ、小規模といえど、あの国王陛下と王妃陛下が出席されるので小さくないのですが······。
兎に角。
大変な事も多かった3年でしたが、3人の可愛い子供たちに囲まれ、学んだ事も沢山あります。
子供というのはとっても可愛いものなのですね。無垢な心で全てを吸収し、私の知らない内に急激な成長を遂げていくのです。
愛情を与えれば、与えるだけ返ってくる······のとは少し違いますが、それも人間だからこそ。
子供と親は違う人間なのですから、同じ考えではないのは仕方ありませんね。
私が”じゃじゃ馬”の”風変わり令嬢”であったように、これも個性!
伸ばせる所は私やノア様で援助しながら伸ばしてあげて、間違っている部分はダメと。そして何故ダメなのか話し合う時間も作って、共に成長できればいいなと思っております。
まあ、それにしても、皆様、人生計画は計画的にしてくださって?
私のように毎年1人出産をするのは、きっと身体への負担も大きいはずなのです······!
「フィリス、愛している」
「ノアさま······3年前、旅行に連れて行ってくれるって······約束、というか契約、覚えてます?」
「······ああ。だが、貴女と旅行に行くのもいいが、もう少しここで大切に愛でていたいという気持ちもあるんだよ。子供たちも本当に可愛いしねぇ······」
そして、この大きな子供。
これが最近の旦那様。ノアルファス様でございましてよ。
しっかり私を自分の膝の上に抱きかかえて、顔を覗き込んで愛おしそうなまなざしを向けてくる······この人が。
子供の事を考えるだけで、頬が下がりだらしのない笑顔を向ける······そう!この人が!!
「重ぉッ!気持ちが、重いのですよ、ノア様!外交のお仕事は······?隣国に行く機会は?!」
「それは、奴らがこちらに来ればいい話だろう?私にはやらなければならない事が沢山あるんだ」
「ああ······私の自由の旅······」
「分かっている、フィリス。旅行はまた直ぐに検討しよう。今度は二人でゆっくり行くのはどうだろうか?そうだ、婚儀も行う事だし······蜜月旅行というのも良いな······」
「······え。それ······嫌な予感しかしないのですが······」
あの日、想いを通い合わせてから、契約が失効となり、全身全霊で愛情を表現してくれるようになったノアルファス様は以前とは別人です。
もう既に跡継ぎは二人いるのですから公爵家としては安泰のはずなのですがね······。
でも、ノア様はずっと変わらないその愛を全力で私に注いでくれるのです。
「ふふっ、やはり愛は万能薬だったな······フィリス、愛している。貴女はどうなんだ?まだノアとも呼んでくれないから俺は不安で······」
「っ、そ、それは、私も愛してはおりますが······。あ、そうだ、今日はレオン様が帰ってきますね?」
「ああ、アイツは本当に早く婚約者を選べと言っているのにな······」
ノア様の弟のレオン様は3年前に騎士団に入団。最近、騎士団の副団長までに昇りつめ順風満帆な様ですが、婚約者もいないため釣書が公爵家に溢れていると執事が嘆いておりました。
私の専属メイド、ライラは、私の護衛としてノアルファス様が雇った護衛騎士と恋に堕ちて、二人はもうすぐ結婚も考えているのだとか。
公爵家の皆が幸せになる事は、私にとって、とても嬉しい事です。
「さあ、フィリス。レオンの事など放っておこう。そろそろ”離れ”に行こうか」
「い、いえ、ノア様!あそこには私、用がありません!!」
「あの時はあんなに”離れ”を作るのに目を輝かせていたのに?」
「そ、それは!あの時はこんな事になるとは知らなかっただけですわ!」
顔を引き攣らせてそう言った私に、ノア様は大層楽しそうな笑顔を向けてこられ。
「······そうかそうか。だが、用がなければ作れば良いんだぞ?知っていたか?」
「いやいやいやいや、そんなワケがないでしょう!!?」
逃げようとする私をノア様は直ぐに捕まえると、軽々とお姫様抱っこして額に口づけを落として。その優しい口づけとは裏腹に、彼はクツクツと悪魔の様に笑いながら、ゆっくりと離れに向けて歩を進めていくのです。
「ノ、ノア様、聞いてらっしゃいますか?ねえ?!ノ、······ノアっ!!」
そう、この堅物、これに関しては全く聞いてくれないのです。
ええ、もうジタバタと抵抗する事すら無駄だと学んだのですが······。
「フィリス、今!ノアと呼んでくれたのかっ?!······これは、離してやれないな······」
でも······、一応、抵抗する事も大切ですわよ······ね?
だから、今日も私は公爵家の敷地中に聞こえる声で叫ぶのですわ。
「いやあああ、ノア様どこ触ってくれてるんですかああ!もう悪阻は嫌なのよねえええ!!
このムッツリ変態スケベ野郎!!!」
────── 完 ──────
53
お気に入りに追加
3,630
あなたにおすすめの小説

夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】
幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。
そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。
クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる