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31. 二人、初めてのデートへ
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二人はエレインの魔法の付与された馬車に揺られ、城下町までやってきた。
道中では何回か止まって、嘔吐休憩を挟みながらゆっくりと時間をかけてだ。
けれど、ノアルファスは何も言わず、すぐにフィリスを抱きかかえると馬車を降り、背中を擦ってゆっくりと声をかけてくれるようになって。
フィリスはその変わり様に目を疑う。
「どうした?」
「いえ······」
馬車の中で会話がなくなっても、ノアが何かしら話題を作ってくれるようにもなり。今も目の前で、窓の外を楽しそうに見ながら、顔を輝かせている。
これが無口で堅物だったノアだとは全く信じられない位の衝撃的な光景だ。
「ギプロスの海は初めて見るだろう?子供達にはこういう所でも遊ばせてやりたいな」
「そ······そうですね?」
むしろ、『いや、それはボインメイドと勝手に話し合って決めて下さい?』と言いたい気分なのだけれど、エレインやウィルにノアに歩み寄る姿勢というものを注意をされたばかり。
フィリスはそれを言葉にはせずに、顔に笑顔を貼り付けた。
「そうだ。名前を決めないといけないな」
「へ?犬か猫でも飼うんですか?」
熱の籠った視線に射抜かれて、フィリスはじっと彼を見返す。
「いやいや、違うだろう?どう考えても今の流れは子供の話だろうっ?」
「えぇ······名前は······産まれてからでいいのでは?」
「何故だ?名前を先に決めておけば、楽しみも増えるだろう?それにテッド······俺の友人も夫人のお腹に手を当てて、話かけていた」
フィリスはノアルファスがお腹に手を当てて、甘いネコナデ声で話しかけるのを想像した。
「っう"、ええ"ぇえ」
「だ、大丈夫か?!直ぐに馬車を止める」
「あ、……いえ!これはそういうんじゃないので······大丈夫です······」
「そ、そうか?では、このまま向かおう」
何がどうなって、こんなに甘い空気を出すようになったのか。
エレインの”愛の巣”にて二人で話し合って、フィリスがノアを一から知る機会を承諾してから。ノアの態度が急変した。
何故こんなに必死になっているのかは分からないが、馬車の中にノアの優しさが充満し、馬車酔いを起こしそうになりそうだ。
そんな時、馬車がゆっくりと止まり、目的地に到着した。
「さ、フィリス。着いたぞ。ここからは少し歩こう。疲れたらすぐに言うんだぞ。無理はしてはいけない」
「はい」
ギプロスの街は活気に溢れていて、人の往来も激しくフィリスは目を見張る。
最近はずっと家の中か湖の畔に座って読書をしていたので、こんなに人や物が溢れた場所を見る事になるなんて想像もしていなかったのだから。
フィリスは興味津々に異国の雰囲気溢れる街並みを見渡す。
『自由になればこういう所も沢山行けるのねっ!』
フィリスが目を輝かせたのを見て、ノアは手を差し出した。
「ギプロスは人の往来が激しいんだ。迷子になっては大変だし、人にぶつかってはいけないから掴んでくれ」
フィリスは反射的にその手を取る。
そしてノアの大きな手に包まれる温かさに、その状況を認識した。
て······手を、繋いでいる。
夫婦であれば当たりまえなのかも知れないけれど······自分はノアとは契約結婚。なのに手を握りしめられて歩くなんて······恋人同士みたいじゃない······。
恋人すらもいなかったから、初めて男性と手を繋いでいる。その状況にドキドキと心臓が早鐘を打つ。
フィリスは赤面しながらも、ノアに手を引かれるまま後を追った。
「ここがギプロスの大通りだ。フィリスの行きたい場所があればすぐに言ってくれ」
先ほどいた裏通りは小さな出店が犇めき合い、人でごった返していたが、大通りはひらけており各段に歩きやすくなる。周りを見渡せば、路面店も少し貴族向けといった個人店が多く立ち並んでいた。
フィリスはその中で、可愛らしいふんわりとした服を扱っている店の前で立ち止まった。
「服が欲しいのか?そうか、こういうのはロザリアでは確かに見たことがないな?」
「ええと、そうですね。私もロザリアでは見たことがありません。ギプロスの、こういった素材の締め付けの少ない服は妊娠中はとてもいいなと思いまして······でも公爵家では着る事はないですもんね。良くないですね」
ついこの間、公爵夫人としてそんな恰好をするな、とノアに注意されたばっかりなのだ。
身体のラインの全く見えないふんわりとしたデザインはロザリアでは受け入れられないかもしれない。
フィリスがそう考えていると、ノアは手を引いてその店に向かった。
「いや。バルモント公爵家としては他国の紹介も兼ねて文化を取り入れたファッションも必要だ。それに、妊婦という観点から締め付けの少なく、それでいて見た目にも拘った服を選択するというのも流行りそうだ。公爵夫人が着ていれば、宣伝にもなるから······流石だな、フィリス」
扉を開けながらにっこりと微笑んだノアに、フィリスは不覚にもドキリとする。
『本当に、見目だけは麗しいのだから嫌になるわね』と、フィリスはノアに引かれて店内へと足を踏み入れた。
店内に入れば直ぐに周りの女性達がキャアキャアと色めき立ち、それでも涼しい顔をしたノアを見上げ、フィリスは諦めた様に首を横に振る。
ノアは仕事以外の事にあまり興味がない。だから、彼はどれだけ女性に人気が高いかという事すらも気づいてはいない様子なのだ。
「な、何かお手伝いしましょうかっ!?」
「ああ、妻に服を何着か購入したい。見繕ってくれるだろうか?」
「つ、妻!まあ、可愛らしい奥様ですね。勿論でございます。直ぐに試着室をご用意致します!」
その途端、店内からは
『奥さんいるの?ま、あんなイケメンじゃ仕方ないかぁ』
『え、そんなに綺麗じゃないじゃない。私の方が!』
『奥さんに優しい旦那様なんて素敵ね!』
『大人の色気、かっこいい~』
とまあ、様々な声が囁かれているのが聞こえて、フィリスは盛大に溜息を漏らす。
『まあ······少しクールな見た目も、落ち着いた雰囲気も、カッコいいのは認めるけれど······。ねえ······?』
「大丈夫か、フィリス?体調が悪いのか?座らせてもらった方がいいんじゃ······?」
「いえ、大丈夫なので、旦那様はこちらで待っていて下さい」
フィリスの心配して肩に触れたノアを、ゆっくりと引き離し、フィリスは試着室に向かった。
試着した服のどれもが美しく、試着室の外で待っていた大型犬ノアは目を輝かせながらそれらを見て、結局全てを購入して店を出る。
「旦那様、こんなに沢山······必要ありませんでしたのに······」
「ああ、気にしないでくれ。全て似合っていて選べなかった。それに、俺が買いたくて買ったんだ。
······それより、少し休もう。お腹も空いたろう?何か貴女でも食べやすいものがあるといいが······」
辺りはすっかり暗くなり、ノアは調べておいたコース内容の変えられる高級レストランに入った。
お互いに注文を終えた所で、ノアは席を立つ。
「すまない、手を洗ってくる。すぐに戻る」
ふっと目を細めて優しく微笑んだノアを見送って、フィリスは一人、ノアの座っていた椅子を見つめた。
良い父親になれる事を自分に見せたいのは分かった。
だけど、何故ここまで優しくする必要があるんだろうか?
契約結婚で、もうすぐ離縁するのに······。
あんなに優しくされたら······変な風に勘違いしそうで······。
そう、フィリスも年頃の女の子だし、恋愛などした事がないのだから、要するに耐性がない。
お転婆が過ぎる事を除けば、街中でキャアキャアと色めきだっていた女の子となんら変わりはないのだ。
「困ったわね······好きだったわけでもないのに、優しくされただけでコレなんて······。我ながらチョロい女ね······。
さて、変な勘違いをする前に早く契約を達成しなくてはいけないわ!」
直後、フィリスの視界に真っ赤なドレスが見えて、ソレが目の前、ノアの席に座った。
頬ずえをついて不満気に自分を覗き込むその女性に、フィリスは茫然とする。
言葉すら出ないフィリスを見て、その女は真っ赤なルージュで口元に弧を描いてから、周りの客にも聞こえるような大声を出した。
「貴女、ノア様のなんなんですの?!そんな体型を隠すような服装で。本当にみっともないですわね。ノア様には全然釣りあってないのですわ!早く消えて下さいませ?」
道中では何回か止まって、嘔吐休憩を挟みながらゆっくりと時間をかけてだ。
けれど、ノアルファスは何も言わず、すぐにフィリスを抱きかかえると馬車を降り、背中を擦ってゆっくりと声をかけてくれるようになって。
フィリスはその変わり様に目を疑う。
「どうした?」
「いえ······」
馬車の中で会話がなくなっても、ノアが何かしら話題を作ってくれるようにもなり。今も目の前で、窓の外を楽しそうに見ながら、顔を輝かせている。
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「そ······そうですね?」
むしろ、『いや、それはボインメイドと勝手に話し合って決めて下さい?』と言いたい気分なのだけれど、エレインやウィルにノアに歩み寄る姿勢というものを注意をされたばかり。
フィリスはそれを言葉にはせずに、顔に笑顔を貼り付けた。
「そうだ。名前を決めないといけないな」
「へ?犬か猫でも飼うんですか?」
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「いやいや、違うだろう?どう考えても今の流れは子供の話だろうっ?」
「えぇ······名前は······産まれてからでいいのでは?」
「何故だ?名前を先に決めておけば、楽しみも増えるだろう?それにテッド······俺の友人も夫人のお腹に手を当てて、話かけていた」
フィリスはノアルファスがお腹に手を当てて、甘いネコナデ声で話しかけるのを想像した。
「っう"、ええ"ぇえ」
「だ、大丈夫か?!直ぐに馬車を止める」
「あ、……いえ!これはそういうんじゃないので······大丈夫です······」
「そ、そうか?では、このまま向かおう」
何がどうなって、こんなに甘い空気を出すようになったのか。
エレインの”愛の巣”にて二人で話し合って、フィリスがノアを一から知る機会を承諾してから。ノアの態度が急変した。
何故こんなに必死になっているのかは分からないが、馬車の中にノアの優しさが充満し、馬車酔いを起こしそうになりそうだ。
そんな時、馬車がゆっくりと止まり、目的地に到着した。
「さ、フィリス。着いたぞ。ここからは少し歩こう。疲れたらすぐに言うんだぞ。無理はしてはいけない」
「はい」
ギプロスの街は活気に溢れていて、人の往来も激しくフィリスは目を見張る。
最近はずっと家の中か湖の畔に座って読書をしていたので、こんなに人や物が溢れた場所を見る事になるなんて想像もしていなかったのだから。
フィリスは興味津々に異国の雰囲気溢れる街並みを見渡す。
『自由になればこういう所も沢山行けるのねっ!』
フィリスが目を輝かせたのを見て、ノアは手を差し出した。
「ギプロスは人の往来が激しいんだ。迷子になっては大変だし、人にぶつかってはいけないから掴んでくれ」
フィリスは反射的にその手を取る。
そしてノアの大きな手に包まれる温かさに、その状況を認識した。
て······手を、繋いでいる。
夫婦であれば当たりまえなのかも知れないけれど······自分はノアとは契約結婚。なのに手を握りしめられて歩くなんて······恋人同士みたいじゃない······。
恋人すらもいなかったから、初めて男性と手を繋いでいる。その状況にドキドキと心臓が早鐘を打つ。
フィリスは赤面しながらも、ノアに手を引かれるまま後を追った。
「ここがギプロスの大通りだ。フィリスの行きたい場所があればすぐに言ってくれ」
先ほどいた裏通りは小さな出店が犇めき合い、人でごった返していたが、大通りはひらけており各段に歩きやすくなる。周りを見渡せば、路面店も少し貴族向けといった個人店が多く立ち並んでいた。
フィリスはその中で、可愛らしいふんわりとした服を扱っている店の前で立ち止まった。
「服が欲しいのか?そうか、こういうのはロザリアでは確かに見たことがないな?」
「ええと、そうですね。私もロザリアでは見たことがありません。ギプロスの、こういった素材の締め付けの少ない服は妊娠中はとてもいいなと思いまして······でも公爵家では着る事はないですもんね。良くないですね」
ついこの間、公爵夫人としてそんな恰好をするな、とノアに注意されたばっかりなのだ。
身体のラインの全く見えないふんわりとしたデザインはロザリアでは受け入れられないかもしれない。
フィリスがそう考えていると、ノアは手を引いてその店に向かった。
「いや。バルモント公爵家としては他国の紹介も兼ねて文化を取り入れたファッションも必要だ。それに、妊婦という観点から締め付けの少なく、それでいて見た目にも拘った服を選択するというのも流行りそうだ。公爵夫人が着ていれば、宣伝にもなるから······流石だな、フィリス」
扉を開けながらにっこりと微笑んだノアに、フィリスは不覚にもドキリとする。
『本当に、見目だけは麗しいのだから嫌になるわね』と、フィリスはノアに引かれて店内へと足を踏み入れた。
店内に入れば直ぐに周りの女性達がキャアキャアと色めき立ち、それでも涼しい顔をしたノアを見上げ、フィリスは諦めた様に首を横に振る。
ノアは仕事以外の事にあまり興味がない。だから、彼はどれだけ女性に人気が高いかという事すらも気づいてはいない様子なのだ。
「な、何かお手伝いしましょうかっ!?」
「ああ、妻に服を何着か購入したい。見繕ってくれるだろうか?」
「つ、妻!まあ、可愛らしい奥様ですね。勿論でございます。直ぐに試着室をご用意致します!」
その途端、店内からは
『奥さんいるの?ま、あんなイケメンじゃ仕方ないかぁ』
『え、そんなに綺麗じゃないじゃない。私の方が!』
『奥さんに優しい旦那様なんて素敵ね!』
『大人の色気、かっこいい~』
とまあ、様々な声が囁かれているのが聞こえて、フィリスは盛大に溜息を漏らす。
『まあ······少しクールな見た目も、落ち着いた雰囲気も、カッコいいのは認めるけれど······。ねえ······?』
「大丈夫か、フィリス?体調が悪いのか?座らせてもらった方がいいんじゃ······?」
「いえ、大丈夫なので、旦那様はこちらで待っていて下さい」
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······それより、少し休もう。お腹も空いたろう?何か貴女でも食べやすいものがあるといいが······」
辺りはすっかり暗くなり、ノアは調べておいたコース内容の変えられる高級レストランに入った。
お互いに注文を終えた所で、ノアは席を立つ。
「すまない、手を洗ってくる。すぐに戻る」
ふっと目を細めて優しく微笑んだノアを見送って、フィリスは一人、ノアの座っていた椅子を見つめた。
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だけど、何故ここまで優しくする必要があるんだろうか?
契約結婚で、もうすぐ離縁するのに······。
あんなに優しくされたら······変な風に勘違いしそうで······。
そう、フィリスも年頃の女の子だし、恋愛などした事がないのだから、要するに耐性がない。
お転婆が過ぎる事を除けば、街中でキャアキャアと色めきだっていた女の子となんら変わりはないのだ。
「困ったわね······好きだったわけでもないのに、優しくされただけでコレなんて······。我ながらチョロい女ね······。
さて、変な勘違いをする前に早く契約を達成しなくてはいけないわ!」
直後、フィリスの視界に真っ赤なドレスが見えて、ソレが目の前、ノアの席に座った。
頬ずえをついて不満気に自分を覗き込むその女性に、フィリスは茫然とする。
言葉すら出ないフィリスを見て、その女は真っ赤なルージュで口元に弧を描いてから、周りの客にも聞こえるような大声を出した。
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