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28. それは、マズいのでは?!
しおりを挟む「……ゆ、き、だ」
もうすぐ春だというのに。
この恐ろしい灰色の雲は、まだまだ雪を隠し持っているそうで。
チラチラが、パラパラと音を変えて私の上に降り注いできた。
睫毛に雪の結晶が乗る。
それでなくとも焦点が合わないのに。
最近の私は地に頬を貼り付けてばかりだ。
なんて無様な格好。
だけど、体が動かないの。
シンシン。
耳をすましてみると、雪は本当にそんな音を鳴らして落ちてくるのが分かる。
ああ、お迎えかしら。
こんな最期って。
私はフランダースの何とやらか。
「……痛い」
胃が。
ん……いや、これ胃じゃないや。
肺だ。肺が痛いんだ。
それに気付くと、ゆっくりと目を閉じた。
嫌だ。痛い。怖い。
とても怖い。
怖くて目を開けられない。
怖くて窒息してしまいそう。
病院、行きたくないな。
嫌だ。入院したくない。
いやだ。
いたい。
いたい。
いたい。
会いたい。
ボロボロと涙は溢れ、頬に落ちた雪を溶かした。
——ザシュ、ザシュ
誰かがみぞれの中を歩いてくる音がした。
薄っすら目を開けてみた。
曇ったレンズの向こうに
靴が見えた。
黒い革靴が、私の目の前で立ち止まった。
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