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17. 俺に何かしてあげられるだろうか?
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【ひとこと】
※本話は妊娠・出産を軸に話が進んでいますが、そちらに関しては悲しい、辛い展開(悪阻を除く)等は起こりません※
********************************
「テッド様、遅かったですわ······ね······ぇえっ!?こ、これは、······バルモント公爵様?」
「エミリー、あまり近寄らないで、彼、酒で潰れて。妊娠している君にアルコールの匂いは嗅がせたくないんだ······」
テッドは泥酔したノアを担いで公爵家の扉を開けた。
邸の中で、夫であるテッドを出迎えた妻のエミリーは、一瞬驚愕の表情を浮かべノアを見る。
酒の匂いを気にしたテッドが慌てて彼女から距離を取れば、エミリーはにっこりと笑った。
「テッド様、匂い程度、大丈夫ですわ。それに私はもう臨月ですし、介抱お手伝い致します」
「いや、君は身重なんだから、自分の体調だけを考えてくれれば良いから。それに介抱ならメイドに頼むよ。ありがとう」
「テッド様······」
エミリーが優しい気遣いを見せるテッドを愛おしそうに見つめ、彼は彼女の頬に手を置く。
二人の視線が交わり、口づけをしようと近寄った瞬間。
後方、下から声がした。
「帰りたくないいィッ!!オレは、もう帰る家すらないんだあぁ!俺の前でそんなにイチャイチャしやがってぇ!!」
泥酔し、玄関の床に突っ伏したノアを、テッドは冷ややかな目で見下げる。
「······ちっ、ウルサイなぁ」
「テッド様······?バルモント公爵様はもっと真面目で、冷静沈着な方では······?」
「自業自得だよ、ノア。本当によく考えた方がいい。そうしないと一生共にいてくれる人がいなくなるよ?」
「ふんっ!べつに俺は一緒にいてほしくなんか。跡継ぎがほしかっただけで、それもアレクに言われたから仕方なく!女なんて誰だって一緒だろ?子供を産んでくれさえすればそれでい······ぃ、ぐはッ「いい加減にしろ!少なくとも、エミリーの前でそんな事······!ふざけるな!!」
テッドは彼の胸倉を掴んで引き上げると、拳をノアの頬に打ち込んだ。
いつもおおらかでヘラヘラとしているように見えるテッドだが、彼も騎士団にいた身だ。
体力はあるし、なにより妻エミリーの目の前で女性を侮辱するような発言をされた事は、到底許せなかった。
「誰か、コレを客間に通して。子供部屋とは最も離れた所にしてね。夜中暴れて子供たちを起こされたりなんかしたら、たまったもんじゃないからね」
ノアは親友であるテッドに殴られた衝撃で茫然としたまま、メイド達に引きずられ、客間へと放り込まれた。
◆
「ッ、頭いて······っこ、ここは······?!」
「あら、目覚めましたか?おはようございます、バルモント公」
部屋の窓を大きく開けて、清々しい風が二日酔いのノアルフィスの顔を撫でる。
カーテンが大きくなびいて、その後ろにお腹の大きな女性が立っているのが見えた。
「······フィリス······?」
「申し訳ございません。私はフィリス様ではありませんよ。テッド様の妻でエミリーと申します」
にっこりとほほ笑んだ彼女にノアは勢いよく身体を起こした。
部屋を見渡せば、自分の邸ではない。
メイドが何人か部屋の掃除をしており、その中にテッドの妻がいる、という状況。
「昨日は······そうか、俺は酔いつぶれたのか······」
ノアは昨日テッドと夕飯に行った事を思い出した。そのあとの記憶は曖昧だが、この頭の痛さだ。酔いつぶれたのであろうこと、容易に想像できる。
「貴女は······そうだ、確か、妊娠しているのだろう?どうしてこんな所でそんな、雑用を?」
「私は臨月ですので、運動が必要でしてね。動けるときはこうして動き回っているのですよ」
エミリーは大きなお腹を擦って、ふふっと笑った。
「なる······ほど······?」
「男性には難しいですわよね?仕方がありませんのよ、それは私たちも分かっているのですわ」
「ああ······」
「でも、少し気にかけてくれるだけで。分かろうとしてくれるだけで私たちは救われるのですわ。でも、それは妊娠に限った事ではありませんよね?」
「······というと?」
「他人を愛し、労わる気持ちは大切だと思うのです。それは子供たちにも教えていきたいと、そう思います」
ノアはその言葉に目を丸くした。
「貴女は子供の教育に······育てる事に、携わっているのか?」
「勿論ですわ。それに私、だけではありませんよ?」
そう言って窓の外を見たエミリーの目線を辿れば、子供たちと庭園で走り回り、遊んでいるテッドの姿が見えた。
キャアキャアと子供が笑いながら彼を追いかけて、テッドもまた楽しそうに走っている。
「あいつ······」
「素晴らしい我が公爵家の当主様であり、父親であり、夫でございます」
熱の籠った目線をテッドに向けるエミリーを見て、ノアは溜息交じりに呟く。
「俺は······何かしてあげられるのだろうか······」
「さて!皆、直ぐに朝食の準備をして?旦那様も呼んで来て頂戴」
そんなノアの言葉を聞き終わる前に、パンっと両手を合わせて叩いた彼女。その指示に従って、メイド達がそそくさと動き出し、エミリーはノアに挨拶をすると、ゆっくりとした足取りで扉に向かっていった。
「あ、その······もし失礼だったら言ってくれ。どこか······痛いのか?」
「え?いいえ、ただ、この通りお腹が大きいので、足元が見えないのですよ」
そこでノアはハッとした。そうか、確かに、あんなに腹が前に出ていれば前が見えなくて当然だ······、と。
「だから、転ばない様にゆっくり歩かないといけないのです。それに子供がお腹にいると内臓がかなり圧迫されるので······息苦しくて仕方ないのですわ。私がダイニングに着く頃には、バルモント公に抜かされてしまいそうですので、お先に失礼致しますね?」
彼女が微笑みながら部屋を出て行った後、ノアは寝台に座ったままじっくりとフィリスについて考えていた。
「やはり彼女には謝ろう。あとは、今後お互いについて知る時間を作って、自分についても知ってもらった方がいいな。それに、まず俺は妊娠の事もしっかり学ばなければ······」
◆
ダイニングに入ると既にテッドとエミリーが座っていて、ノアは直ぐに頭を下げた。
「テッド、それから夫人。昨夜は本当に申し訳なかった。あんなに泥酔した挙句、不快な言葉を吐いてしまった気がするんだ······はっきり覚えてすらいないのだが······」
「もうそれはいいから。で、もう大丈夫なの?」
「ああ、おかげ様で」
そしてノアはエミリーに顔を向けると口を開いた。
「その······夫人······もし不快でなければ、帰る前に色々と妊娠について教えてほしいのだが······。その······恥ずかしい話、やはり知識不足で······だな······」
◆
朝食後、ノアはエミリーの前に座り色々と疑問に思った事を聞いていく。
「何を食べてはいけない?」
「何かしてはいけないことは?」
「気にかける所は歩幅以外に何がある?」
「重いものではなく物を持たせない方がいいのか?」
「身体のマッサージは専門の者を雇うべきか?」
エミリーは尋問に近いそれに、苦笑いを零した。
「そんなに神経質にならずとも大丈夫ですよ。医師がいるのでしたら、それに従えば良いのです」
「······そうか、だがやはり、メンタルケアも必要か。誰か出産経験のある女医を······」
「メンタルケアはバルモント公が行えばいいのでは?」
「私が?だが、また口論になってしまったら······」
「それを変えるのが第一歩なのではないですか?」
そうエミリーに言われて、ノアは頷く。
「······そうだな。夫人、世話になった。ほかに何か私が気を付けた方がいいことはあるか?」
「そうですね。出血や腹痛だけはお気を付けください。いつの世も、妊娠中のそれらは危険と言われておりますので。無理をせず家にいれば大丈夫かとは思いますが」
「分かった。彼女を邸の外に出すつもりはないが、安静にさせてしっかり休みがとれるようにしよう。あとは気分転換に少し散歩が必要、だったな?悪阻の酷い時は除く······と、」
「ええ。ふふっ、本当に真面目でいらっしゃいますね。でも話し合えばフィリス様も分かって下さいますよ」
こうして、妊娠についてエミリーから学んだノアは、心新たにフィリスとの関係性を構築すべくテッドの邸を出た。
だがこの時、フィリスは既に義理の母、エレインの家にいたとは。
誰が想像していただろうか。
少なくとも、ノアは想像もしていなかったのである。
※本話は妊娠・出産を軸に話が進んでいますが、そちらに関しては悲しい、辛い展開(悪阻を除く)等は起こりません※
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「テッド様、遅かったですわ······ね······ぇえっ!?こ、これは、······バルモント公爵様?」
「エミリー、あまり近寄らないで、彼、酒で潰れて。妊娠している君にアルコールの匂いは嗅がせたくないんだ······」
テッドは泥酔したノアを担いで公爵家の扉を開けた。
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「いや、君は身重なんだから、自分の体調だけを考えてくれれば良いから。それに介抱ならメイドに頼むよ。ありがとう」
「テッド様······」
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後方、下から声がした。
「帰りたくないいィッ!!オレは、もう帰る家すらないんだあぁ!俺の前でそんなにイチャイチャしやがってぇ!!」
泥酔し、玄関の床に突っ伏したノアを、テッドは冷ややかな目で見下げる。
「······ちっ、ウルサイなぁ」
「テッド様······?バルモント公爵様はもっと真面目で、冷静沈着な方では······?」
「自業自得だよ、ノア。本当によく考えた方がいい。そうしないと一生共にいてくれる人がいなくなるよ?」
「ふんっ!べつに俺は一緒にいてほしくなんか。跡継ぎがほしかっただけで、それもアレクに言われたから仕方なく!女なんて誰だって一緒だろ?子供を産んでくれさえすればそれでい······ぃ、ぐはッ「いい加減にしろ!少なくとも、エミリーの前でそんな事······!ふざけるな!!」
テッドは彼の胸倉を掴んで引き上げると、拳をノアの頬に打ち込んだ。
いつもおおらかでヘラヘラとしているように見えるテッドだが、彼も騎士団にいた身だ。
体力はあるし、なにより妻エミリーの目の前で女性を侮辱するような発言をされた事は、到底許せなかった。
「誰か、コレを客間に通して。子供部屋とは最も離れた所にしてね。夜中暴れて子供たちを起こされたりなんかしたら、たまったもんじゃないからね」
ノアは親友であるテッドに殴られた衝撃で茫然としたまま、メイド達に引きずられ、客間へと放り込まれた。
◆
「ッ、頭いて······っこ、ここは······?!」
「あら、目覚めましたか?おはようございます、バルモント公」
部屋の窓を大きく開けて、清々しい風が二日酔いのノアルフィスの顔を撫でる。
カーテンが大きくなびいて、その後ろにお腹の大きな女性が立っているのが見えた。
「······フィリス······?」
「申し訳ございません。私はフィリス様ではありませんよ。テッド様の妻でエミリーと申します」
にっこりとほほ笑んだ彼女にノアは勢いよく身体を起こした。
部屋を見渡せば、自分の邸ではない。
メイドが何人か部屋の掃除をしており、その中にテッドの妻がいる、という状況。
「昨日は······そうか、俺は酔いつぶれたのか······」
ノアは昨日テッドと夕飯に行った事を思い出した。そのあとの記憶は曖昧だが、この頭の痛さだ。酔いつぶれたのであろうこと、容易に想像できる。
「貴女は······そうだ、確か、妊娠しているのだろう?どうしてこんな所でそんな、雑用を?」
「私は臨月ですので、運動が必要でしてね。動けるときはこうして動き回っているのですよ」
エミリーは大きなお腹を擦って、ふふっと笑った。
「なる······ほど······?」
「男性には難しいですわよね?仕方がありませんのよ、それは私たちも分かっているのですわ」
「ああ······」
「でも、少し気にかけてくれるだけで。分かろうとしてくれるだけで私たちは救われるのですわ。でも、それは妊娠に限った事ではありませんよね?」
「······というと?」
「他人を愛し、労わる気持ちは大切だと思うのです。それは子供たちにも教えていきたいと、そう思います」
ノアはその言葉に目を丸くした。
「貴女は子供の教育に······育てる事に、携わっているのか?」
「勿論ですわ。それに私、だけではありませんよ?」
そう言って窓の外を見たエミリーの目線を辿れば、子供たちと庭園で走り回り、遊んでいるテッドの姿が見えた。
キャアキャアと子供が笑いながら彼を追いかけて、テッドもまた楽しそうに走っている。
「あいつ······」
「素晴らしい我が公爵家の当主様であり、父親であり、夫でございます」
熱の籠った目線をテッドに向けるエミリーを見て、ノアは溜息交じりに呟く。
「俺は······何かしてあげられるのだろうか······」
「さて!皆、直ぐに朝食の準備をして?旦那様も呼んで来て頂戴」
そんなノアの言葉を聞き終わる前に、パンっと両手を合わせて叩いた彼女。その指示に従って、メイド達がそそくさと動き出し、エミリーはノアに挨拶をすると、ゆっくりとした足取りで扉に向かっていった。
「あ、その······もし失礼だったら言ってくれ。どこか······痛いのか?」
「え?いいえ、ただ、この通りお腹が大きいので、足元が見えないのですよ」
そこでノアはハッとした。そうか、確かに、あんなに腹が前に出ていれば前が見えなくて当然だ······、と。
「だから、転ばない様にゆっくり歩かないといけないのです。それに子供がお腹にいると内臓がかなり圧迫されるので······息苦しくて仕方ないのですわ。私がダイニングに着く頃には、バルモント公に抜かされてしまいそうですので、お先に失礼致しますね?」
彼女が微笑みながら部屋を出て行った後、ノアは寝台に座ったままじっくりとフィリスについて考えていた。
「やはり彼女には謝ろう。あとは、今後お互いについて知る時間を作って、自分についても知ってもらった方がいいな。それに、まず俺は妊娠の事もしっかり学ばなければ······」
◆
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エミリーは尋問に近いそれに、苦笑いを零した。
「そんなに神経質にならずとも大丈夫ですよ。医師がいるのでしたら、それに従えば良いのです」
「······そうか、だがやはり、メンタルケアも必要か。誰か出産経験のある女医を······」
「メンタルケアはバルモント公が行えばいいのでは?」
「私が?だが、また口論になってしまったら······」
「それを変えるのが第一歩なのではないですか?」
そうエミリーに言われて、ノアは頷く。
「······そうだな。夫人、世話になった。ほかに何か私が気を付けた方がいいことはあるか?」
「そうですね。出血や腹痛だけはお気を付けください。いつの世も、妊娠中のそれらは危険と言われておりますので。無理をせず家にいれば大丈夫かとは思いますが」
「分かった。彼女を邸の外に出すつもりはないが、安静にさせてしっかり休みがとれるようにしよう。あとは気分転換に少し散歩が必要、だったな?悪阻の酷い時は除く······と、」
「ええ。ふふっ、本当に真面目でいらっしゃいますね。でも話し合えばフィリス様も分かって下さいますよ」
こうして、妊娠についてエミリーから学んだノアは、心新たにフィリスとの関係性を構築すべくテッドの邸を出た。
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