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51. もう仕方ないです・・・よね※
しおりを挟む「ロイ、シェリルの様子はどうだい?今日はちょっと忙しくて」
「分かりました。では、準備をしてお待ちしております」
初めて達する事を覚えてから、約1ヵ月が経ち。シェリルの身体は日々繰り返されるソレに、あまりに従順となり、今ではヒューベルが部屋を訪れれば自然と潤いを齎す身体になっていた。
シェリルの普段の生活は変わらないが、たまにロイに頼み彼女を縛って身体を馴らしてもらっている。
ロイはその育った境遇から女性には欲情せず、挿入する物すらない。
そして、特殊な閨遊びを極めている為、シェリルの傍付きには元々彼しか考えていなかったのだ。
「さて、そろそろ行くかな?きっと頃合いも良いだろう」
「主、ボクはいつ······」
暫くして立ち上がったヒューベルを視界に捉え、リルは執務机に飛び乗って彼を見上げた。
いつ、シェリルに会える?そう聞こうとして、片手で直ぐに遮られる。
「今、彼女を誰かに会わせる気はない。とはいえ、もうすぐ中間舞踏会だから······そこでは会えるかもしれないね?」
そう言いながらヒューベルは自室の隣にある、重厚な扉を押し開けた。
真っ白な部屋は薄暗く、蝋燭で外周を並べられた鳥籠の真ん中、大きな椅子の上には両脚を開脚する様に縛られ座っているシェリルがいた。
目隠しをした状態の彼女は、自慰をしながら上手く達する事ができずロイにパドルで叩かれている。
「まだ自分で達せないのですか?ヒューベル殿下のお手を煩わせるなど」
パンっ、と音が響き、同時にシェリルの大きな喘ぎ声が部屋に響き渡る。その反響した音と声に急かされるように彼女はまた一心不乱に自慰を行っていてヒューベルは頬を緩めた。
ロイはヒューベルの入室に気付き、すぐに一歩下がって傅いた。
大きく頷けば、ロイはすぐに部屋から退出し、ヒューベルは鳥籠の中に足を進める。
そして椅子に座るシェリルの元までゆっくりと近づき、そっと身体に触れた。
「ッ、ああっ!ヒュー······さま······?」
「ああ。君に直接触れるのは僕意外あり得ない、と言った筈だよ?」
ロイにすら、彼女の縛る過程で彼女の身体に触れる時は手袋を着用させているのだから。
ヒューベルはシェリルの太腿の内側をなぞりながら、耳元でそう囁いて、指を割れ目に這わせる。
指腹でくるくると開花寸前の蕾を刺激しながら少し指を入れてナカを解すように掻き混ぜて。
「ッ、あ······あ、だめ······ヒューさ······まあ、」
「達くといい、シェリル」
首筋をそっと舐めてから軽く噛み付けば、シェリルの身体がビクンと跳ねて達し。
ヒューベルは彼女の拘束を解くと慣れた手つきで身体を清め、ローブを着せてから寝台に横たえた。
「シェリル、早く君との婚姻を結んで、夫婦になれればいいのにね······まあ、初夜を先に済ませてしまっても良いんだけど」
髪を撫でながら、既に深い眠りについたシェリルを見て、ヒューベルは目を細める。
きっとこんなのは間違っている。
でも、彼女がヴァレンティ―ナ嬢に惑わされて無理矢理だったとしても自分の意志で他の男と交わろうとした。
その事実がこんなにも自分を追い詰めるなんて。
「早く、あの女の悪行が世間に出回り、何か刑を言い渡せたらいいんだけどね」
◆
翌日、ヒューベルの執務室にはアロラインが来ていた。
「叔父上······かなり前の事ですが······本当にご迷惑をおかけしました。ヴィヴィは肯定はしていないけど、きっとその男とも姦通していたのだと思います」
彼女の話を聞くのに時間がかかってしまった······と嘆くその言葉に、ヒューベルは溜め息をつく。
「アル、君はそれで本当に良いのかい?」
「はい······叔父上の想像通り、俺はもうヴィヴィと一線を超えている。だから彼女の箍も外れているみたいです。あと4ヵ月、学園を卒業すれば、俺は王位継承権の放棄を公表します」
頭を下げた甥を見て、ヒューベルは目を細めると感情の全く籠らない声を出した。
「それであれば君には奴隷の様に国の為に必死になって働いて貰うよ?」
「はい······分かっています」
「じゃあ、隣国の境の要塞で辺境伯として暮らしなよ。あそこは作物も育たず、とても過酷な土地だと聞いている。隣国にいつ攻め入られるかも分からないという事もあるしね。財政も苦しいらしいからそこの立て直しをして欲しい。”世渡り人”もいるわけだしね?」
「寛大なお心、本当に嬉しく思います」
いくらヴァレンティ―ナが世渡り人だとしても、卒業前に交わい、それも婚約者以外も不特定多数となればそれは少し問題だ。
一応、アロラインは王太子なわけだし、そんな事が知れ渡れば王家の醜聞になる。
王位継承権を放棄しても辺境伯位はあるわけだから、国民に全く示しがつかない······とヒューベルは溜め息をついた。
「とりあえず、もうこれ以上の問題は避けてくれ。いくら僕でももう庇いきれないよ。それと、シェリルには絶対に近づけないでくれ」
「はい······それは十分に言い聞かせていますので······。それにしても、叔父上はシェリルで良いのですか?彼女が王妃に相応しいとは思いませんが······」
「私は自分の意志でシェリルを選んだ。それに国民が納得すれば何も問題はない」
「そ、そうですか······分かりました。来月の学園最後の社交界演習は叔父上も出席されるのですよね?では叔父上、その時に」
アロラインが部屋から退出して、ヒューベルは机の下をじっと見つめてから楽しそうな声を発した。
「シェリル、これで、君の友人の本質が分かっただろう?」
ヒューベルは机の上に乗せていた布を手で乱雑に引っ張る。その机は下が檻になっていて、そこには身動きのとれない状態で縛られ、声を押し殺していたシェリルが横たわっていた。
直ぐに彼女をそこから出すと、縛られている縄を解いていく。
先程キスをして媚薬の効果を高めた状態で縛っていたのだ。感度の高くなった彼女の身体は、縄が解かれる度に紐が肌に擦れ、それが快感となって広がる。
シェリルの口からは甘い吐息が漏れ、彼女はヒューベルを見上げた。
「ヒューさまっ······キス······をっ「ほんと、シェリルは媚薬の効果が高まると、素直になるね」
”でも、先に話をしよう”とヒューベルはシェリルを自分の上に対面で跨るようにして座らせる。
「シェリル、聞いていたよね?ヴァレンティ―ナ嬢は”世渡り人”だとしても、してはいけない事を多くしている。アルとはもう既に初夜を終え、多くの男と関係を持っている様だ。そして、この間のシェリルを襲った男も彼女の指金だった。アルは卒業後、王位継承権を剥奪、辺境にて彼女とそこで暮らすことになるだろう」
「ヴァレンティ―ナさん······王妃様にはなれない······のですか?また、私の所為······」
シェリルの顔に悲壮感が漂い、ヒューベルは彼女の顔を両手で優しく掴んだ。
「君の所為ではない。彼女自身の所為だ。それに、友人なら貴女を危険な目に晒すことなどないだろう?彼女は一度でも貴女の頼みを聞いてくれた事があるのかい?」
その質問に、シェリルは答えられなかった。
そんな事、考えもしていなかったからだ。
自分がヴァレンティ―ナに何かを頼むなんて、身分違いすぎて。
でも······身分違いなどと思う時点で、もしかしたらそれは”友人”という対等な関係からは逸脱しているのかも知れない。
だって、リルは猫だけど対等な関係だと思っているし、ヒュー様なんて、王弟という高位な立場なのに私に何でも頼んでもいいと、そう言って下さったから······。
「ヒューさま······キス、して下さいませんか······」
「勿論、僕の姫」
ヒューベルはにっこりと微笑んで頷くと、シェリルの唇を塞いだ。
啄むようなキスから、それはどんどんと深くなり、シェリルは侵入してきた彼の舌に自分の舌を絡める。
気持ち良い······。
シェリルはそのぬくもりに縋りつく様にヒューベルの身体を抱きしめた。
好き······。こんなにも彼の事が好き。
ヒューベルがくれた温かいぬくもり、安心する場所、それはずっとずっとシェリルが探し求めていたものだった。
「シェリル、もう不安に思わなくていい。君には申し訳ないけど、今はヴァレンティ―ナ嬢と会わせる気はない。でも、それは貴女を危険な目に合わせたくないからだ。分かってくれるかい?」
ヒューベルの瞳に強い意志が見えて、シェリルは頷いた。
「確かに、私はヴァレンティ―ナさんに何かを頼んだりできませんでした。私にとって唯一無二の友人である事には代わりはありませんが······。落ち着いたら会って話をする機会を頂けますか?」
そう、運命は変わってしまった。
ヴァレンティ―ナは王妃にはならず、アロラインと辺境に行く事が決まっているようだし、自分はヒューベルに囚われてあの部屋から抜け出す事すら出来ないのだから。
仕方ない······。
シェリルはそう思えるようまでになっていた。
きっとヴァレンティ―ナだって分かってくれる筈だと。
だから、この時のシェリルは考えてもいなかったのだ。
唯一の友人に嵌められて、大事な物を失う未来があるなんて。
想像すらもしていなかった。
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