【第三章/獣人の国・邪竜と女神編】王太子に離縁されました?上等です。最強の皇帝陛下の【魔眼】と共に、世界攻略を致しますので!【R18・完結】

猫まんじゅう

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11.  ロンファ、新竜王となる※

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 リリアーナはヴィクトールの隣に腰かけたまま、その状況に唖然とした。
 そんな彼女の様子に気付いたヴィクトールは、顔を前に向けたまま口を開く。

「リリィ、顔はそのまま前に向けて、俺の話を聞けるか?」

 今はロンファの即位式の真っただ中である。
 というより、リリアーナには即位式が始まっているのかすら分からなかったのが本音。突然始まった、竜王による若い女性達の選定の様な儀式に、リリアーナは心の中で顔を顰めた。


「······はい」
「先に言っておかなければいけなかったのだが、忘れていた」 

 ”これは、ドラファルトならではの伝統的な習わしで、皇国や王国でいうデビュタントのようなものだ”  そう続けたヴィクトールに、リリアーナは言葉を失う。

「これが······?」

 男性に手を翳されて、膝をつき、自分で着物の裾を開いて、秘部を触らせる。
 ······それが、デビュタント?
 
「獣人は匂いで番や相性を判断するらしくてな。その匂いは首回りと秘所から濃くでるらしい」

 だから下着を身に着けないし、首元もこんなに大きく開いているのか。とリリアーナは自分の身に着けている着物を見た。

「匂いで相性が良さそうだと判断したら、男は女に手を翳す。そうしたら、女はああして跪き、相手に触らせなければならないらしい」
「それは······」

「それが”翳手儀シェイギ”だ」

 そうヴィクトールは言って、女性達を吟味する竜人族の王族たちを冷ややかな目で見た。

「まあ、いま行われている ”翳手儀シェイギ” は王族の先行権というだけだがな」

「どういうことですか?」

「ここで選ばれなければ、この後、彼女達は確実にこの宴の誰かに手を翳される。そして触られて、抱かれるだろう事は簡単に想像できる」
「な······なん、ですって······?」


 今まで彼女達が守ってきた貞操はどうするのか。
 それに彼女達の拒否権は?
 疑問が沸々と沸きあがり、その心の内を読んでいるかのようにヴィクトールは言葉を続けた。


「ドラファルトで雄の要望は絶対だ。彼女達に拒否権はない。それに貞操はこの儀式のためだけにある。王族が選ばなければもう貞操には拘らない国でな」


 そう。だからこの宴の会場にいる男性達は固唾を飲んでこの儀式を見守っているし、なんならギラギラとした欲望に濡れた目をしているのだ。
 リリアーナは会場を見渡して納得した。

「その······匂いは分かりますが。触るとは、何故?」
「あぁ、ドラファルトでは女性の陰核の大きさで子の成しやすさを測っているらしい」

「は、い?っ、すみません······こほんっ」

 あまりに意味不明な理由に、突拍子もない声を出したリリアーナは、急いで咳払いをする。

「ああ、まあ、そういうことだ。そこを ”獣蕾ジュウレ”というのだが、触って好みのものか確かめているらしいな」


「次、兎獣人、シズク・ワルレット」
「はい」


 濃い鼠色の長い髪を二つに結び、赤と黒の着物に身を包んだ兎獣人が、立ち上がって壇上に上がってくるのを、リリアーナはじっと固唾を呑んで見つめた。

 胸元から首元にかけては大きく開いており、零れんばかりの胸の谷間が見えている。
 彼女は国王タオリャンの前までゆっくりと歩いてくると、両ひざを立てて、両手を胸元で重ね合わせて俯いた。


「兎獣人、シズク・ワルレットと申します。本日成人を果たしましたのでお目通り願いたく思います」
「ほう、美しいな。兎はいつ見ても良いものだ」

 現竜王タオリャンは彼女に向かって手を翳す。
 それを合図に、シズクと呼ばれた兎獣人の少女は、竜王にだけ見えるようにスリットを大きく開いた。

「······あれも、正確には開き方があり、相手のみに見せるという作法があるらしい」

 他の男性達には見えないように器用にスリットを開いている、というヴィクトールの追加情報に、リリアーナは無言で頷く。

 そして竜王が彼女の秘部に手を伸ばす。
 何が行われているかは全く見えないが、シズクの頬が仄かに赤く染まり、身体とその白い耳がぴくりと揺れた。


「ほう?なかなか良いものを持っているな。ああ、だが儂は竜後宮に既に兎がいてな。それにお前のような若いのであれば······ロンファ。お前はどうだ」

 タオリャンがシズクの秘部から手を引いて、隣に控えていた従者が彼の手を清める。
 その間、彼は隣に座る次期国王ロンファを見た。

「いえ、私は······」
「先ほどから儀式に参加していないのと同じだぞ。おい、兎の雌よ、ロンファに吟味させてやれ」

「はい······」

 彼女はさっと着崩れを直すと、直ぐに立ち上がってロンファの前に両ひざを立てる。

「うーん······、じゃあ、」

 ロンファは乗り気ではなさそうに手を翳し、例に習って彼女の秘所に触れた。

 彼の細く美しい指がその獣蕾を的確に探し出し、くるくると周りを撫でてから適度な圧力と共にそれを圧し潰して擦る。ピリピリと電気が走り、身体の芯から熱が湧き上がってくるような感覚に、シズクは思わず歯を食いしばった。
 魔法か何かを使っているかのような繊細で、それでいてあまりに強い刺激。

 もっと欲しい、と身体がうずいた瞬間、彼は手を離した。

「うん、素晴らしいですね。ですが、私は、即位して落ち着いてから考えたいと思います」


 ロンファは彼女に微笑んで”ありがとう”と告げる。
 父タオリャンが隣で舌打ちをするも、それに怖気づくことなく、シズクを後ろに控えた弟たちの方に誘導した。

 最終的に、今回の”翳手儀シェイギ”では誰も側室に選ばれることなく、直ぐにロンファの即位式が始まった。

 こうして、この日、正式にロンファが竜王となったのだ。
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