不安になって打ち明けただけ

suzu

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一目惚れ

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 「か、可愛いっ」

 それは一目惚れだった。
 自分よりも2つ年下で、人気者。オマケに同性。
 叶うはずのない恋をしてしまいあの日からずっと嘆いていた。

 でも、そんな俺に一変する出来事がおきた。

 ずっとこの気持ちを隠しているのは、無理だ!そう思って知り合いに千暁の連絡先を教えてもらった。
 そして勇気をふりしぼり送信ボタンを押す。

『あ、あの、よければカフェ行きませんか?』

(……ぁあ、やっちゃった。もうほとんどナンパじゃん)

 そう思ったのもつかの間、直ぐに返事が来た。

『悠先輩ですか?もちろんいいですよ!!じつはずっと前から話してみたかったんです』

(え、まじ?)

 俺はその瞬間の出来事に固まってしまった。

(待って待って?え?!や、やったぁぁぁあ!!)

 頭の中で喜びの舞を踊りながら、眠りにつき、学校へ向かった。


「どうしたんだ?珍しく浮かれてんじゃん」

「んぇ、分かる?」

 学校でも、千暁とのデート(じゃないけど)が嬉し過ぎて友人の陽にもバレてたらしい。

「もしや彼女でも出来た?」

「いや全く」

「ほんと不思議だよなぁ、お前顔はいいのに。この爽やかイケメンめ」

 と、ニヤニヤしながらつつかれた。

「ありがと、実は俺狙ってる子いるんだ」

「は、まじ?」

 急に真顔になった陽を見て俺はハテナげに彼を見た。

「うん、で、その子をデート誘ったら昨日おっけー貰ってさ」

「ふーん、どんな女?」

 面白くなさそうに言う陽にまた疑問が募る。

「え、女じゃないよ??」

「はっ!?!?」

 「わぁ?!」

 突然大きな声を上げる陽にびっくりする。

「待って待って、お前、男もいけんの?」

「へ?え、わ、わかんない」

 突然の質問に曖昧な回答をしてしまった。

ちょうどその時、予鈴がなった。

「なら俺にも勝機があるか」

 陽がボソッ何か言ってるのを聞き取りもせず、席に戻った。



 (やばい、あっという間に学校が終わってしまった……)

 今俺はカフェの席に着いている。
 もちろん千暁を待つためだ。
 ソワソワした気持ちが収まらず、ふとスマホを手にとった。

(……やばい、もう、時間じゃん)

「あ、あの、悠先輩ですか?」

「へ?!ぁあ、そうだよ」

(きたぁぁぁあ!!やばい間近でみるとほんとに可愛い)

「今日は誘っていただきありがとうございます!!」

 そういいながら笑顔を向けてくれた。

「こっちこそ忙しそうなのにごめんね……」

「いえいえ!メールでも言ったんですけど先輩とお話してみたかったんです」

「そうなの?嬉しい!」

 俺はその言葉に顔がニヤけた。

(と、言っても、話すこと考えてなかった)

「?どうしたんですか?」

(へ?!あ、やばい?!ずっと見てるのバレた?!?とりあえず誤魔化さないと!)

「え、っと、その綺麗な顔だなって!!」

「へ?!あ、先輩みたいな綺麗な人に言われると嬉しいですね、ありがとうございます!」

 そう言って微笑まれた。

「好き…」

「え?!」

「あ、!?ちょ、待って今のなし!!」

 微笑むすがたがあまりにも可愛くてぼー、としてしまっていた。

 (やばいどうしたら……このままじゃ引かれる!!)

「その、先輩、取り消さないでください……実は僕も、先輩が好きなんです!!」

 そう呟かれ俺は、天にも昇る嬉しさと、恥ずかしさでフリーズしてしまった。

「ふぁー?!?」

「だからその、付き合ってください!!」

「え、あ、うん?」

「ありがとうございます!これからよろしくお願いします!!ではこのあと用事があるのでちょっと失礼します」

 え、ちょっと待って、もしかしておれ一目惚れした人と付き合えちゃった?!?!
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