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第1部

1-11. 性教育

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「ラーイン、もう降ろしてもいいよ」

「いやダメだ」

「えぇ……」

「こらこら、ちゃんとベッドまで連れていくから大人しくしていてね」

「いや、でも、これはないでしょー!」

 俺は、あの事件場所から公爵邸に向かうまで、ずっとお姫様抱っこをされて運ばれていた。
 しかも、家族や使用人たちの前で……。
 死にたい……。

「さっ、着いたよ。ちょっと座って待っていてね。あっ、そこの侍女さん、お茶やお菓子を出しといてくれないかな」

 ラーインは、ただそれだけを言い残し扉を向こうへ消えていった。

 その後すぐに、アイリスが温かい紅茶を出してくれた。
 なんの事件だったかは分からないままだけど、この紅茶を飲むと安心する。
 ライアンが戻ってくるまで、紅茶を飲みながらほんでよ読んでようかな。

 そう思い、アイリスに読みかけの本を持ってきてもらった。あと、お気に入りのお菓子も……。

 あれからしばらく経つと、扉が開き、ライアンが現れた。

「そこの侍女さん、すこし部屋を出ていってくれ。それと周りに誰かが居ないような配慮も頼もう」

「分かりました。しかし、セレステ様の御身に危険があらば飛んできますので、」

「分かっているよ」

 えっ?何事?

 ライアンが命令したあとにすぐ、アイリスとほかの使用人達は出て行った。

「ラーイン、どうしたの?」

「今から君に実践で、性教育を行おうと思ってね。もちろんご両親の許可は取ってあるよ」

「えっ?性教育って何?……わっ」

 俺はいつの間にか押し倒されていて、2回目の口付けをした。

「ん……ぅ」

 えっ?えっ?どういうこと?
 何が起こっているか分からない中、手足をばたつかせた。

「暴れないで、セレン」

「ふぇ……」

 何これ何これ……。なんでそんなに甘い声で名前を呼ぶの?
 よく分からない……何されるの??

「あははっ、そんなに、固まらなくても」

「えっ?えっ?何笑ってるの??」

「よしよし、緊張しないで」

 そう言いながら頭を撫でられた。
 すでに赤く染っていた顔はさらに赤みをおび、涙で目がうるみ始めた。
 それを見たラーインは、顔を緩ませ深い口付けを落とした。

「んっ……」

 そして、服の下に入ってきたのは冷たい、でもちょうどいい温度の手。

「ちょっと、まっ、て」

「ん?どうしたの?」

「ぼ、俺に何するつもりっ?」

「もう、可愛いなぁ……セレンは僕のことが嫌いかい?」

「………」

 俺はもう、自覚してしまった。ラーインの甘い顔に鼓動が激しくなるのが分かる。

「……す、きっ」

「?!僕もだっっ!」

「わっ」

 そう言われて急に抱きしめられた。

「んぇ?」

 つまり、俺たち両思いってこと?!男同士だし、公爵令息と王子様だけど?!
 これってだいじょばないよね??

「俺、ラーインのこと好きだけど、いいの?」

「ん?あー、もちろんさ!」

「そっか、よかっ、た」

 何か色々ありすぎて、俺はコテっと寝てしまった。
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