主人公は俺狙い?!

suzu

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第一部

1-3.

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「教えてくれてありがとうございます。お礼に、お身体流しますよ」

「へっ?!」

 ひと通りのことを、教え終わったと思ったらなんという爆弾発言!!

「はいはい、そこに座ってください」

 えぇ?!?!
 だから積極的だなぁあ!

「じゃぁ、お湯かけますよ」

「う、うん」

 しっかりと報告をしながら、お湯をかけたりしてくれるのは案外嬉しいかも……。

「洗いまーす」

 えっ?!素手?しかも洗ってくれるの?

「ふ……んっ」

「えっ、」

 あっ、あぁ、やばい。洗ってる手つきが、なんというか、その……いやらしい感じがして、声が……恥ずい!

「えっと、続けますよ」

 ?!……まだ続けるの?

「ん、あ、ふぅ、」

 無理無理。声が抑えられないって。
 絶対わざとじゃん!なんか敏感なとこばっかさすってくるし、なんなの本当に!
 えっ、もしかして主人公(仮)はドSだった?!

「あっ、あの、なんかすいません!僕、急にお風呂に入りたくなっちゃったんで行ってきます!」

 そんなことを考えていても、止まる気配のなかったインカローズくんがなんと途中で湯船につかりに行ってしまった。

「??」

 落ち着け俺ぇ。

 俺はとりあえず体を流して急いで湯船につかった。

「ふぅ、気持ちいい」

「そうですねぇ」

 その後は、特に何かある訳でもなく、1日が終わった。

 ◆ ◆ ◆ ◆
_インカローズ視点

 僕は今、入学式を行う式場に向かっている。
 ……式場ってどこだっけ?
 とりあえず、あそこにいる人に聞いてみよ。

「あのっ、どこで入学式するか知っていますか?」

 わっ、すっごい綺麗な人だ。

「あっ、あの?聞いていますか?」

「ひょっ、!……ふぅ……」

「?」

「えっと、入学式の場所、だっけ?えっと確か向こうに建っている建物だと思う。俺も行くから一緒に行こう……」

「あっ、はい?ありがとうございます」

 連れて行ってもらっている途中だけど、無言で気まずい……。

「あっ、危ない」

「へっ?」

 ───ガシャン

 上から花瓶が落ちている事に気づいた僕は、焦って思いっきり彼に飛び込んで、押し倒してしまった。
 でも、ギリギリ避けれたみたい。

「だっ、大丈夫ですか?」

「ぅ…、だぃじょうぶれす…」

 だ、大丈夫みたい……良かったぁ。
 
 ?!

「本当に大丈夫ですか?っって、泣いてるんですか?」

 正面にいる彼を見ると、顔を赤くして涙を流していた。ひとまず涙を拭う。
 でも……なんでこんなにも胸が高まるんだろう……。
 今僕の頭にあるのは『可愛い』の一言だった。

「ぜ、全然平気なのでっ!俺はここで失礼します!」

 あっ、行っちゃった……。
 なんでだろう……まだあの顔を見ていたかったなんて……。可愛かったなんて。僕にそんな性癖あっただろうか……。

 僕は街では、ずっと可愛い可愛い、と言われて育てられていた。それに、やけに男の人に声をかけられることも多くあったし、もちろん女の人にもある。
  そのため、僕は可愛くて、モテることを自覚していた。しかも受け身タイプだってことも。
 でも、彼を見た瞬間可愛くて可愛くて仕方がなかった。
 それが忘れられなくて仕方がなかった。
 
 だから彼とルームメイトだと知った時は心が踊り、ついお風呂へのお誘いに乗ってしまった。
 しかも一緒に入ることになってしまった……。自分のせいだけど。

 とりあえず、湯船に浸かる前にやることをひと通り教わったら、お礼として僕も体を流してあげようと思った。

「じゃぁ、お湯をかけますよ」

「う、うん」

 その後、僕は近くにあった石鹸を泡立てた。
 
「洗いまーす」

 そっと彼の体に手を置き、擦り始める。
 それにしても、綺麗で細くて、いやらしい体なんだろう……いやらしい?!いや、間違えた。僕はそんなこと思ってない!

「ふ……んっ」

 ?!
 今の声って彼の声??

 自分の耳に聞こえた甘い声が、僕の心をくすぐった。
 
「えっと、続けますよ」

 辞めなきゃいけないことは分かっている。でも、わざと敏感な胸の飾りの近くや、薄い腹をさすってしまった。

「ん、あ、ふぅ、」

 やばいやばい、可愛い。
 気づいた時には、もう、僕の僕は元気になってしまった。

「あっ、あの、なんかすいません!僕、急にお風呂に入りたくなっちゃったんで行ってきます!」

 それが見つかる前に、その場を離れていった。
  僕はもうダメかもしれない。とりあえず見つからないように、入浴を済まし、後で処理をした。
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