主人公は俺狙い?!

suzu

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第一部

1-2.

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  寮の部屋に入ると俺はベッドの上に倒れ込んだ。

 はぁ、疲れた……。
 いや、ねぇ、入学初日からこんな疲れるなんて聞いてないよ。
 もしかしてだけど俺って運悪い?いや、絶対そうだろ。
 ていうか部屋綺麗だな……っん?待って、待って、ベッドが2つ置いてある気がするんだが。
 えっ?!もしかして2人部屋なの?嘘でしょ……。

 ───ガチャ。

「「あっ」」

 ちょうどその時、部屋のドアが開き白銀の髪をした少年が入ってきた。

「えっ、と、インカローズくん?」

「あっ、はい。そうです、一応ルームメイト、ということになりますね」

「そう、なんだ……」

 うぅ、本当に俺って運が悪いな。
 今日助けてもらった時に恥ずかしい姿、見られたし、気まずい……。

「あの、大丈夫ですか?気を抜いてもらって構いませんよ」

「へっ、うん」

 やばい……。主人公(仮)に気を使わせてしまった。

「あと……その、お風呂に入りたいんですけど、この寮の事全然分からない上に、庶民の出なので、お風呂の入り方がイマイチ分からないんです。教えて頂けますか?」

「えっ?お風呂、入った事ないの?」

「はい、街の方で暮らしていた時は、水浴びしかしていなかったので……」

 インカローズは少し俯いた。

「あっ、あ、ごめんね!馬鹿にしてるんじゃないから。よしっ!今からお風呂に行こう!」

 あっ!やばい、罪悪感で焦ってつい風呂に誘っちゃったよ。えっ!?どうしよう、関わらないって決めたのに。まぁ、ルームメイトだから関わらないのは無理かな。はは。

「いいんですか?!ありがとうございます」

 わぁぁ、そんなにキラキラした目で見ないでよ。断れないじゃぁん。

「う、うん。じゃぁ行こう」

 もうダメ。詰んだ。無理ゲー。



 というわけでやって来ましたぁ。
 正直、自分を恨みたい、アイオライトです。

「ここです……」

 「ありがとうございました、では」

 えっ?俺は入らなくていいの?
 勘違いしてた、の?

 俺は恥ずかしくなって、顔を逸らした。多分、顔赤い……。

「あっ、一緒に入ります?」

 えっ、まさか勘違いが気付かれた?
 という一瞬、ニヤッと笑わなかった?ってまさかぁ、そんなこと主人公(仮)であるインカローズくんがするわけないか。

「えっと、うぅ、」

 というかなんて答えればいいの?!

「さぁ、行きましょう!」

 インカローズくんは、笑顔で僕の手を引いた。

 えぇ……積極的ですねぇ。
 っていやいやいやいや、嘘でしょ。びっくりしちゃった。てへっ、
 はい、もう回避は不可能、諦めましょう!

 インカローズくんはすぐに脱衣所に入り、荷物をカゴに入れたて、服を脱ぎ始めた。ちなみに俺は、収納魔法に入れています。
 まぁ、多分、インカローズくんも出来ると思うけど、魔力の節約かな?
 魔力量は僕の方が上だからね。

「あれ?服、脱がないんですか?」

「えっ、そんなことないよ」

 いや、ねぇ、俺、筋肉とかつかない細身なわけで、それに他の人と入った事なんてないから。

「うぅ、」

 しょうがない、ここはもう何も考えずに行こう。
 
 そう考え、躊躇いながらも服を脱いだ。

 あのぉ、なんかインカローズくんが、俺の体をじっと見つめている気がするのですが……。
 いや、さすがに自意識過剰過ぎるかな?

 そう思いながらインカローズを見つめ返すると、顔を赤くしてそっぽ向いた。

「インカローズくん?行かないの?」

「えっ、いや!行きます!行きますよ!さぁ、入りましょう!」

 えっ、どうしたの?そんなに焦っちゃって……。
 ていうか、やっぱり主人公(仮)なだけあって細いけどスタイルいいなぁ。

「あのっ、このお風呂ってそのまま入るんですか?」

「えっ、そんなわけないじゃん」

 あっ……やっちゃった。いや、急に声掛けられてびっくりしただけだから。冷たくしたかった訳じゃないから。

「じゃなくて、えっと、その桶でお湯をすくって体を流して───」

 その後俺は、なるべくおかしなところがないように、お風呂に入る前の事について教えた。
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