チート狩り

京谷 榊

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第十一章 漢華

百四十七話 漢華の盗まれた財産

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 翌日、ルガたちはティオカンたちと街の店でぼーっと座っていた。
「まさか、あんなことがあるなんてな」
「彼は、いや…彼らは何者だったのでしょうか」
「国家転覆を狙ってのことか?」
「そんな、いったい誰が?」
「ルガ、珍珍はどうしたんだ?」
「今日は昨日の件について忙しくなるから連絡しないで欲しいってさ」

 時は昨日に遡る。西印中省の幹部と名乗る紫金紅が現れ、撃退したその日、宮殿の裏では大事件が起こっていた。
 宮殿の闘技場で宇宙船を見送った直後に彼らの元に宮殿の職員がやってきた。かなり焦った様子で建物の中から現れる職員に旋が取り合った。
「何用か」
「陛下、大事なお話がございます。至急執務室にお戻りください覇柔殿下と大番頭も共についてきてください。お前たちもだ、珍珍、マイマイ、こんな所で何を油売ってんだ早くきなさい」
 陛下以外にも覇柔と旋、珍珍とマイマイも呼び出された。
「その他の皆様はここでお待ちください」と言われ、ルガたちは闘技場で宮殿のものが呼びにくるまで待機していた。それから小1時間ほどして女官がやってきた。
「大変お待たせしました、皆さまを一度執務室へ通すように言われておりますので私についてきてください」
 ルガたちはそう言われて疑問が残るも黙って彼女の指示に従った。その後彼らは一人ずつ執務室に通され取り調べを受けた。しかし、質問のほとんどが身に覚えのないことばかりで何事もなく取り調べが終わった。
 取り調べが終わると今度は一人一人厳しいボディチェックが行われた。そして一通りの検査が終わった後、ジョセフから女官に質問が投げかけられる。
「ここまで念入りに俺たちのことを調べてどうするんだ?それに、ここまで慌てるって事は何かあったんだろ?」
 ジョセフの質問に皇帝はみんなのいる前で質問に答えた。
「つい先ほど官吏の調べでわかった事だが、我々が表で紫金紅と戦っている間にこの宮殿内にあるありとあらゆる書類が何者かの手によって盗まれた」
 皇帝の放ったセリフに一同は驚愕している。官吏の者たちは陛下が一般人に向けて機密を話したことについて、ルガたちは書類を盗まれたことについて驚いていた。
「ありとあらゆる書類って、何を盗まれたんだ?」
「言えない、それとわからない」
「わからないって、」
「今、事態の収集をつけているのだ。この事はくれぐれも口外せぬようよろしく頼む」
「もしも、口外してしまった時は、わかっておるな?」
 旋が後から脅しをかける。

 そして時は現在に戻る。
「要は紫金紅がしていた事は囮でその隙に他の奴らが作戦を行っていたんだろう」
「そもそも、奴が言っていた覇星機関の中の西印中省って一体なんなんですか?電子辞書で調べても全く出てきませんし、彼らはいったい…」
 ロスの問いかけに皆は一度考えるも何も浮かばず、沈黙だけがその場に残った。
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