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第十一章 漢華
百三十四話 陸玖拳の師範
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翌日ルガたちは早速噂の場所に行ってみた。
「たのもー」
噂の師弟がいると言う館をのぞいてみたが、人影はほとんどなく人が生活していると言う感じはなかった。
「いないのかな?」
「留守か」
「たのもー!」
リアがもう一度大きな声で叫ぶ。すると奥の方から一人の女の子が出てくる。
「なんじゃ、うるさいのう今日は休みの日じゃというのに」
「なんかようか」
女の子はダルそうに目をこすりながらこちらへ歩いてくる。
「ここは道場だと聞きましたが」
「バイフー師範のキンダオ道場はここで合ってるかな?」
「その通り、そしてワシがこの道場のバイフー師範じゃ」
寝巻き姿の女の子はそう言って自慢げに腕を組んでいる。
「誰か大人の人はいるかな?」
「じゃから、ワシがこの道場の師範なのじゃ」
彼女が玄関先で駄々をこねていると次は男の子が出てきた。
「師範?」
「「「師範?」」」
「お客様ですか?師範」
「そうじゃ、要件も言わんとこのワシを子供扱いしてくるんじゃ」
「師範ならしょうがないですね」
「おい、しょうがないとはなんじゃ師範を敬え!」
「失礼ですが、どう言ったご用件でしょうか」
「コイツに拳法のノウハウを教えてやって欲しいんだ」
「要は弟子入りじゃな良かろう、こっちへくるのじゃ」
ルガたちは戸惑いながらもバイフーの後についていく。道場内の廊下や稽古場に歴代の師範と思われる数多くの遺影が飾ってあった。稽古場にルガたちを正座させバイフーは拳法の稽古を始める。
「良いか、お主ら拳法というのは、…ウンタラカンタラぺちゃくちゃぺちゃくちゃ…」
そしてしばらくの間拳法について長々と語り、それが終わったかと思えば次はこの道場で教えている陸玖拳について語り出す。
「その中でも陸玖拳というのはな、ベラベラベラベラ…」
バイフーの話を聞いているとどこまでもどこまでも喋り続け、リアやロスは足が痺れ体勢を崩す。それでも彼女の話は終わることなくタイカとエフィとジョセフは眠気に襲われ、ユウとルガとヤスケの三人だけが生き残った。
「俺外で待ってる」
「私も」
それだけ言い残し、ヤスケとユウとルガ以外の五人は道場を出る。
「要するに究極の拳法というのは流れを感じ、流れを掴み、時には流れを動かし、流れに乗ることで成せるものなのじゃ」
「何かいい加減なこと言い出したよ」
「まあまあ、そうおっしゃらずに」
「その流れはこの世のあらゆるもの、森羅万象に宿っており豆腐で大木を倒すことも、それを元に戻すことも可能なのじゃ」
「それじゃあ実践してみるかの」
バイフーの話は唐突に終わり、稽古に入った。三人は大木がそびえ立つ中庭に連れ出され、そこで長々とおかしな踊りを見せつけられる。
「今度は何が始まったんだ?」
「実践」
ユウは困惑するも、三人はは黙って見守っている。
「ハァー………すぅーーー………」
それは夕方になっても続き、ユウは退屈になり座り込んで見ていた。そしてついにはヤスケも胡散臭さを感じ始める。
「私たち、騙されてるんじゃないでしょうか」
「そう感じるかもしれないが、見てみろ彼女は大真面目にやっているんだ。いや、彼女だけじゃないこの星の奴らはみんなそうだ。確かにやってることはめちゃくちゃだし、バカバカしいかもしれないでもな、本物っていうのはそう言うものだ」
あたりが暗くなり始めると、空中に青い帯状のオーラが見えてくる。川の流れのように流れていき、地中から出てきては空を舞い再び地中に戻る。そのオーラが延々と続いており、流れはやがてバイフーの周りで流れ始める。
流れを感じ、流れを掴み、時には流れを動かし、流れに乗る。その言葉を思い出したヤスケはバイフーの動きをじっと見つめる。すると彼女は変わらずゆっくりとした動きのまま手を前に出し、手のひらでそっと大木に触れる。
すると次の瞬間、大木は大きな音を立ててバイフーが触れたところを中心にヒビが入り、やがて大木は粉々に崩れ切り跡形もなく消えてしまった。最後にバイフーは振り返ってこう言った。
「どうじゃ!すごいじゃろ」
ヤスケとユウは度肝を抜かれて言葉が出なかった。
「たのもー」
噂の師弟がいると言う館をのぞいてみたが、人影はほとんどなく人が生活していると言う感じはなかった。
「いないのかな?」
「留守か」
「たのもー!」
リアがもう一度大きな声で叫ぶ。すると奥の方から一人の女の子が出てくる。
「なんじゃ、うるさいのう今日は休みの日じゃというのに」
「なんかようか」
女の子はダルそうに目をこすりながらこちらへ歩いてくる。
「ここは道場だと聞きましたが」
「バイフー師範のキンダオ道場はここで合ってるかな?」
「その通り、そしてワシがこの道場のバイフー師範じゃ」
寝巻き姿の女の子はそう言って自慢げに腕を組んでいる。
「誰か大人の人はいるかな?」
「じゃから、ワシがこの道場の師範なのじゃ」
彼女が玄関先で駄々をこねていると次は男の子が出てきた。
「師範?」
「「「師範?」」」
「お客様ですか?師範」
「そうじゃ、要件も言わんとこのワシを子供扱いしてくるんじゃ」
「師範ならしょうがないですね」
「おい、しょうがないとはなんじゃ師範を敬え!」
「失礼ですが、どう言ったご用件でしょうか」
「コイツに拳法のノウハウを教えてやって欲しいんだ」
「要は弟子入りじゃな良かろう、こっちへくるのじゃ」
ルガたちは戸惑いながらもバイフーの後についていく。道場内の廊下や稽古場に歴代の師範と思われる数多くの遺影が飾ってあった。稽古場にルガたちを正座させバイフーは拳法の稽古を始める。
「良いか、お主ら拳法というのは、…ウンタラカンタラぺちゃくちゃぺちゃくちゃ…」
そしてしばらくの間拳法について長々と語り、それが終わったかと思えば次はこの道場で教えている陸玖拳について語り出す。
「その中でも陸玖拳というのはな、ベラベラベラベラ…」
バイフーの話を聞いているとどこまでもどこまでも喋り続け、リアやロスは足が痺れ体勢を崩す。それでも彼女の話は終わることなくタイカとエフィとジョセフは眠気に襲われ、ユウとルガとヤスケの三人だけが生き残った。
「俺外で待ってる」
「私も」
それだけ言い残し、ヤスケとユウとルガ以外の五人は道場を出る。
「要するに究極の拳法というのは流れを感じ、流れを掴み、時には流れを動かし、流れに乗ることで成せるものなのじゃ」
「何かいい加減なこと言い出したよ」
「まあまあ、そうおっしゃらずに」
「その流れはこの世のあらゆるもの、森羅万象に宿っており豆腐で大木を倒すことも、それを元に戻すことも可能なのじゃ」
「それじゃあ実践してみるかの」
バイフーの話は唐突に終わり、稽古に入った。三人は大木がそびえ立つ中庭に連れ出され、そこで長々とおかしな踊りを見せつけられる。
「今度は何が始まったんだ?」
「実践」
ユウは困惑するも、三人はは黙って見守っている。
「ハァー………すぅーーー………」
それは夕方になっても続き、ユウは退屈になり座り込んで見ていた。そしてついにはヤスケも胡散臭さを感じ始める。
「私たち、騙されてるんじゃないでしょうか」
「そう感じるかもしれないが、見てみろ彼女は大真面目にやっているんだ。いや、彼女だけじゃないこの星の奴らはみんなそうだ。確かにやってることはめちゃくちゃだし、バカバカしいかもしれないでもな、本物っていうのはそう言うものだ」
あたりが暗くなり始めると、空中に青い帯状のオーラが見えてくる。川の流れのように流れていき、地中から出てきては空を舞い再び地中に戻る。そのオーラが延々と続いており、流れはやがてバイフーの周りで流れ始める。
流れを感じ、流れを掴み、時には流れを動かし、流れに乗る。その言葉を思い出したヤスケはバイフーの動きをじっと見つめる。すると彼女は変わらずゆっくりとした動きのまま手を前に出し、手のひらでそっと大木に触れる。
すると次の瞬間、大木は大きな音を立ててバイフーが触れたところを中心にヒビが入り、やがて大木は粉々に崩れ切り跡形もなく消えてしまった。最後にバイフーは振り返ってこう言った。
「どうじゃ!すごいじゃろ」
ヤスケとユウは度肝を抜かれて言葉が出なかった。
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