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第十一章 漢華
百三十二話 拳
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宮殿の中に入ってからのルガたちは最上階にある皇女の間を目指して宮殿の中を進んで行った。
「紅緋森の宮殿か、宮殿自体が赤いからかな」
「さぁな、」
「どうせ、この星の季節が秋になった時森が紅葉になるからでしょ」
ロスの発言にルガは少し黙ってから口を開いた。
「それはロマンチックでいいな」
この時彼以外の七人はコイツは何か知っていると確信したが、彼を探ろうとするものは現れなかった。
もうしばらく進むと、最上階まで繋がる階段のある広間に辿り着いた。そこでは身長がヤスケの二倍ほどある巨漢が立ち塞がっている。
「試練を受けるものよ、ここでわしの挑戦に成功してから通るがよい」
「いきなりですね」
「覇柔様にお目通り願いたくばわしを倒すことだ」
「さすが武闘の星だ、一筋縄では行かなそうだが、どうだ?ヤスケ」
「前進あるのみです」
そう言ってヤスケは前に出て刀を抜く。
「待てい!これは武闘での勝負!刀を使うなど言語道断!」
「まぁ、普通に考えればそうだよな」
「ヤスケ、刀こっちにパス」
ルガとジョセフはさっきまでとは違い掌を返すようにヤスケが刀を使うことに反対した。ヤスケは渋々と刀を腰から外し、ジョセフに手渡しする。
ふと疑問に思ったロスは周りにいる人に。
「ヤスケさんって刀がなくても戦えるんですか?」
その質問に本人から回答が帰ってくる。
「大丈夫ですよ、もしも刀を折られた時や奪われてしまった時に対応できるための技を習得していますから」
そしてヤスケは袖をまくり構える。審判役の男が銅鑼を鳴らすと、決闘が始まった。
巨漢の男の突きから始まり、後から連続で出してくる技の数々をヤスケは上手く防ぎ、蹴りやチョップなどで少しずつダメージを与えていく。そんな彼らの闘いを見る側は想定していない事態に困惑しながら観戦していた。
困惑する点の一つ目はヤスケよりも大柄の男がアクロバティックな技を使い、ヤスケは浦原にジャンプなど一切せずに地に足をつけて相手の隙をついて技を放っていると言った感じだった。
二つ目の点については、彼ら観戦する者たちが最も予想だにしなかったことだった。それは巨漢の男よりもヤスケが力で推しているということである。実を言うとこの戦いにおいて力が強いのはヤスケの方であり、巨漢で筋肉ムキムキの相手よりも、細身で一見すると筋肉のなさそうなヤスケの方が力で圧倒していた。そのためヤスケが相手に与えるダメージはその一撃が重く、試合が始まってすぐに巨漢の男は音をあげ始める。
「ハァ…ハァ…。まいった俺の負けだ…」
そして巨漢の男は地面に倒れ込む。もう一度銅鑼が鳴り試合終了の合図が出た。
「ナイスヤスケ!」
「まさか、あんなのに力押しであいつが勝つとは」
「良いじゃねえか、買ったんだから。それじゃあ俺たちも皇女の間に行くか」
そうして、階段を登っていき、最上階の皇女の間に着くと、早速宮殿主が現れる。
その見た目は、漢服を着て冕冠をかぶり、背はタイカと同じくらいの黒髪で腰の辺りまで伸ばしている。
「我に戦いを挑むのは其方か」
「いかにも、ここであなたを倒し、私は皇帝の元まで行きます」
「そうか…ならこれ以上の言葉はいらんだろう、早速始めるとしよう」
そして両者構えると、試合の合図が鳴った。
「紅緋森の宮殿か、宮殿自体が赤いからかな」
「さぁな、」
「どうせ、この星の季節が秋になった時森が紅葉になるからでしょ」
ロスの発言にルガは少し黙ってから口を開いた。
「それはロマンチックでいいな」
この時彼以外の七人はコイツは何か知っていると確信したが、彼を探ろうとするものは現れなかった。
もうしばらく進むと、最上階まで繋がる階段のある広間に辿り着いた。そこでは身長がヤスケの二倍ほどある巨漢が立ち塞がっている。
「試練を受けるものよ、ここでわしの挑戦に成功してから通るがよい」
「いきなりですね」
「覇柔様にお目通り願いたくばわしを倒すことだ」
「さすが武闘の星だ、一筋縄では行かなそうだが、どうだ?ヤスケ」
「前進あるのみです」
そう言ってヤスケは前に出て刀を抜く。
「待てい!これは武闘での勝負!刀を使うなど言語道断!」
「まぁ、普通に考えればそうだよな」
「ヤスケ、刀こっちにパス」
ルガとジョセフはさっきまでとは違い掌を返すようにヤスケが刀を使うことに反対した。ヤスケは渋々と刀を腰から外し、ジョセフに手渡しする。
ふと疑問に思ったロスは周りにいる人に。
「ヤスケさんって刀がなくても戦えるんですか?」
その質問に本人から回答が帰ってくる。
「大丈夫ですよ、もしも刀を折られた時や奪われてしまった時に対応できるための技を習得していますから」
そしてヤスケは袖をまくり構える。審判役の男が銅鑼を鳴らすと、決闘が始まった。
巨漢の男の突きから始まり、後から連続で出してくる技の数々をヤスケは上手く防ぎ、蹴りやチョップなどで少しずつダメージを与えていく。そんな彼らの闘いを見る側は想定していない事態に困惑しながら観戦していた。
困惑する点の一つ目はヤスケよりも大柄の男がアクロバティックな技を使い、ヤスケは浦原にジャンプなど一切せずに地に足をつけて相手の隙をついて技を放っていると言った感じだった。
二つ目の点については、彼ら観戦する者たちが最も予想だにしなかったことだった。それは巨漢の男よりもヤスケが力で推しているということである。実を言うとこの戦いにおいて力が強いのはヤスケの方であり、巨漢で筋肉ムキムキの相手よりも、細身で一見すると筋肉のなさそうなヤスケの方が力で圧倒していた。そのためヤスケが相手に与えるダメージはその一撃が重く、試合が始まってすぐに巨漢の男は音をあげ始める。
「ハァ…ハァ…。まいった俺の負けだ…」
そして巨漢の男は地面に倒れ込む。もう一度銅鑼が鳴り試合終了の合図が出た。
「ナイスヤスケ!」
「まさか、あんなのに力押しであいつが勝つとは」
「良いじゃねえか、買ったんだから。それじゃあ俺たちも皇女の間に行くか」
そうして、階段を登っていき、最上階の皇女の間に着くと、早速宮殿主が現れる。
その見た目は、漢服を着て冕冠をかぶり、背はタイカと同じくらいの黒髪で腰の辺りまで伸ばしている。
「我に戦いを挑むのは其方か」
「いかにも、ここであなたを倒し、私は皇帝の元まで行きます」
「そうか…ならこれ以上の言葉はいらんだろう、早速始めるとしよう」
そして両者構えると、試合の合図が鳴った。
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