チート狩り

第十章 英雄のたまご

百十二話 宇宙海賊

　ユニホームタウン誕生祭、前夜祭が始まる直前、ユウとタイカは屋台が並ぶ道を歩いていたところ、目の前にいかつい男の群勢が現れる。
「ああ！お前ら最重要指名手配犯のしもべたちだな！」
「とっ捕まえるか？」
「そうだな、小遣い稼ぎにはちょうどいい」
「行くぞ野郎ども」
　するとその男たちはタイカとユウめがけて突っ込んでくる。
「なんだ！こいつら」
「逃げよう！ユウ！コイツら宇宙海賊だ！話が通じる相手じゃない」
　タイカとユウは逃げようと試みるも、相手は素早く二人の前方に立ち回り逃げ道を塞いだ。
「待ちな！お前たち」
　男たちの後ろの方からまた一人女性の声が聞こえてきた。
「私たちがコイツらを追う理由はもう無くなったんだ、それ以上ちょっかいを出すと捻り潰すぞ」
「アイツは？」
「さすがに手下たちがいれば当然頭もいるよな…」
「久方ぶりだな、タイカいつ以来だ？お前と再会するのは？」
　その女性は凛々しい顔立ちでエフィに似たものを感じる。長髪で声も低く落ち着いた雰囲気を醸し出している女性だった。その反面身長はエフィよりも小さく、胸もタイカと同じくらいである。
「そんなの覚えてないね、バーバラ」
「ったく、連れないなぁ船長って呼んでもいいんだぜ？」
「バーバラ？船長？タイカ、話についていけないぞ」
「ごめんね、ユウ。今から説明する…あの真ん中にいる女の人は王禅寺バーバラ、宇宙海賊無限海賊団の船長だ。そして、その周りにいるのがその手下」
　タイカの説明が終わるとバーバラはユウに向かって。
「そうさ、その通りさところで隣のお嬢さん、海賊に興味はないかい？海賊はなんでもやりたい放題さ。二人ともあんな黒服の男の元じゃなくて私のところに来なよ」
「無駄だよ、ルガとバーバラじゃ全く釣り合わない。私たちを引き抜きたいなら私とじゃなくてルガと肩並べられるくらい強くなることだね」
「おお、それはそれは今の君たちの船長に会うのが楽しみになってきたよ。それじゃあ私たちはこれで失礼する。さぁ行くぞ‼︎野郎ども！」
ウウゥッス‼︎
　バーバラの手下たちは重低音を轟かせて船長のあとをついて行き、ユウたちの前から消えた。彼らが去った後にタイカは今思い出した事をユウに告げる。
「あとちなみに、私たちが惑星アンリに入る直前でスペースデブリにぶつかったけど、あれって実は砲弾でその砲弾を撃ったのはあいつらだよ」
「あいつら一度ぶっ飛ばした方が良かったんじゃないか？」
「まぁまぁ、落ち着きなよ、ユウ。そう簡単に言うけれど、もしかしたら今のあいつは冗談抜きでルガと肩並べられる程の強さかもしれない」