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第十章 英雄のたまご
百三話 純也
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「それで、おおかじの名前思い出した?」
普段おおかじとつるんでいる三人がそう話し合っている。
「結局、おおかじって何をいじってあだ名にしたの?下の名前?」
「いいや、違うんだよ。おおかじの苗字はほんとはあまり良くない意味で夕方とか朝方、あとは季節の変わり目とか。春でもないし夏でもない時期、夏でもないし秋でもない時期とか」
「なんでそう言う時間帯があまり良くないの?」
「そう言う時間帯ってさお化けとかが出やすくなるらしいんだよ。それでお化けとかあまり良いイメージないだろ?それでなんだから悪い意味があるからあいつの方からそう呼んでくれって言ってたな」
「お願い!どうしても思い出さないとダメなんだじゃないと学級日誌におおかじって名前で書かなきゃいけなくなる」
すると男子生徒は前のページをめくって。
「そういえば、あいつもこの学級日誌を書いているはずだからめくっていけば名前見つかるんじゃない?」
「そうだ!ナイス」
そして二、三ページほどめくった後、次は女子生徒があることに気がついた。
「あった!これじゃない?おおかじ!」
すると先ほどの男子生徒が大きな声で。
「思い出した!大きいの大に禍根の禍と時間の時って書いて大禍時だ!」
「オオマガトキ?」
「そうだよ、それっておおかじって読むかもしれないけど本当はおおまがときって言うんだよ」
「そうだ!思い出した、それじゃ早退の所に大禍時純也っと」
そして覇星機関の職員が迎えにきたルガはその職員の女性と共に基地に向かっていた。ルガを迎えにきた女性は覇星機関の制服を着ており、メガネをかけてポニーテールにした落ち着いた女性だった。
「ルガさん、お迎えに上がりました。本部への到着は3日ほどかかりますのでその間気楽にお過ごしください。」
「3日もかかるの⁉︎」
「ご不便をお掛けしますがどうか…」ひぃぃ…怖い怖すぎる、なんなの?なんで私が超重要指名手配犯と3日間も一緒にいなきゃなんないのよ。
彼女は平静を装ってルガの前では無表情で構えている。
「そうか、まぁ…お姉さんも気楽に行こうぜ」
「は、はい…?」もしかして緊張しているのがバレてる?表情に出てた?
「では基地まで電車を使っていきます」
「へぇー寝台列車かぁ!そんな豪華なものを用意してくれるなんて!」
「いいえ、寝泊まりは各駅で降りて周辺の宿を探して過ごすことになります。」
ルガがそのセリフにあっけに取られていると、電車が来て二人はその電車に乗り込み、覇星機関基地への直通エレベーターのある中心都市へ向かって行った。
しかし、ルガの元にはこれでもかと言うほど厄介ごとが舞い込んでくる。ルガたちを乗せた列車が発車し数時間、正午過ぎくらいの時間帯に列車が急停車した。なんの前触れもなく列車は止まり、車両内は騒がしくなる。
どうしたものかと乗客たちは窓の外を覗いて様子を見る。
どうした?
何があったんだ?
事故?
やがて乗客たちが騒ぎ始め、挙げ句の果てには乗客の数人が列車から降りて外を見渡す。するとここでルガと女性職員が異変に気づき始める。
「こんな事態に陥っているのに車掌が呼びかけすらしないなんて…」
「私、一度操縦室まで行って何があったか確かめてきます。ルガさんはここにいてください」
そう言うと彼女は最前車両まで行き、操縦室のドアをノックする。
「すみません!覇星機関の者です!中の様子を確かめさせてください」
操縦室の中からは何も反応がなかったため、彼女は操縦室の鍵を開けて中に入って行った。
彼女のように覇星機関職員にはある特権がある。それは、覇星機関の職員の証明書を提示するまたはロック解除の認証にかけるとどこにでも入れるといったものである。このシステムで、職員はこのように様々な施設に立ち入ることができるのだ。
彼女は操縦室のドアを開けて中の様子を見る。すると驚くべきことに、中には誰一人としていなかった。この列車は自動運転だが、操縦室には操縦資格のある者を最低でも一人乗せることが決められているが、操縦室はがらんとしていた。
彼女は念の為、この電車を運用、管理している会社に連絡し、すぐにでも列車を動かしてもらえるように頼んだ。しかし遠隔操作でも列車は動かず、近くの駅から職員を二人派遣すると連絡が入った。
「全く、これではなかなか基地に着かない。」
「困ったものだ」
と言って合いの手を入れてくるようにルガが入ってきた。
「あなた、先ほどの車両でまっててくださいって言いましたよね」
「悪い、つい心配で追いかけてきちゃった」
そしてルガは操縦室の中にずかずかと入っていく。
「ちょっと、勝手に中に入らないでください」
「今はまだ調査中です、これから最寄りの駅員がくるそうですから大人しくしていてくれませんか」
「そう、わかったけどさぁ…一つ聞いていい?」
「なんでしょう?」
ルガはある場所を指差してこう言った。
「こいつって車掌なの?」
彼女はルガの元まで駆け寄りルガの指の刺す方を向くと、明らかに人間ではない奇怪な生物がいる。その生物がこちらに気がつくと、壁をすり抜けて他の車両に逃げて行った。
「あなたは警察と覇星機関職員を呼んでください、私はアレを追います」
そして彼女はあの謎の生物を追って客車に向かった。ルガは言われた通りに警察と覇星機関職員を呼び、待つこと数分後、現地に到着した警察二人と覇星機関職員二人はなんだか少し和装っぽい服装だった。彼らはやってくるなりこんな話をしていた。
「この辺で列車が止まると言うことはやはり、妖の仕業か」
「あやかし?」
「その通り、この辺では陰陽道を専攻している地区ですから、妖などもよく出てきては悪さをするんですよ」
「それを取り締まるのが我々の役目ですから」
「取り締まる?祓うんじゃなくて?」
「ここユニホームタウンでは全ての者に基本的人権が適用されるので極悪な妖でもない限り祓うことはありませんよ」
「それじゃあさっきここにいた奇怪な生物は」
「妖ですね」
「とにかくあとを追いましょう」
彼らも女性職員と同じように女性職員と妖を追い、最後車両へ行き着いた。
「応援にきました」
「後は我々に任せてください」
「助かります!」
彼女はそう言って新しくきた警察や男性職員にバトンタッチする。
「結局あなたも来たんですね、ルガさん」
彼女の口から発せられたルガという二文字の名前に駆けつけた警察や男性職員は驚いて振り向く。
「なるほど、そういうことだったのか」
「あなたが、ルガ…。」
「こんな珍しいこともあるんやな」
「そんなことより今は目の前の妖です」
「コイツかぁ」
四人は一匹の妖に歩み寄り逃げ道を塞ぐように囲む。男たちに囲まれた妖はお化けに襲われる子供のようにビクビクと震えていた。
「よくもまぁ、列車を止めて多くの人に迷惑をかけやがって」
「とりあえず捕獲しましょう」
警察の者がそう言って、ポーチからお札を出して妖にお札を貼る。たちまち妖は大人しくなり、警察に抱えられて御用となった。
しかし、問題はここからだった。妖を抱えた警察が列車から出て行こうとするが、乗客たちがそれを妨害する。
「この列車はいつまで停まっているつもりなんだい?」
「早くしてくれないか」
「もう何分も待たされてるんですけど」
「いつになったらこの列車は発車するんだよ!」
つもりに積もった乗客たちの怒りが妖を抱えた警察に向けられる。するともう一人の警察官は。
「危ない!タツキ!今すぐそいつを連れてここから逃げるんや!」
タツキと呼ばれる警察官は急いでその車両を抜けて外に出ようとするも、乗客たちに通せんぼされそとに出られなくなった。
本来、妖というのは人の恐怖や人知の及ばない異常があらわれたもの。そのため、ほとんどの妖が人やその他の生物の負の感情を吸収し、その存在を知らしめる。
そして、乗客たちの怒りを受け取り、警察に抱えられた妖はどんどん力を増していく。やがて力が増強した妖は体格がどんどん大きくなってゆき、自らお札を破り捨て列車のドアを破り外に出る。
それを見た乗客たちは騒ぎ出して別の車両に逃げて行った。その中でも一人、一切騒ぐことなく落ち着いた面持ちで彼らをじっと眺めている少年がいた。
「逃すな!追うで!」
そしてルガと、覇星機関の職員三人と警察の二人の六人でその妖を追いかける。
「妖が他人に迷惑かけたらあかんで!セイッ」
警察はそう言ってお札を投げて妖を沈めようとするが、そう簡単にいかない。
「これならどうだ!」
そう言い、もう一人の警察官がお経を読みするとたちまち、妖は苦しみ出してその場に這いつくばる。それと同時に覇星機関の男性職員の二人も魔法で対抗する。
「これでもくらえっ!」
しかし、妖には全く効いていない。むしろ、列車の中にいる乗客たちの列車が進まないことに対する怒りと、ついさっき妖を目の当たりにして恐怖を覚える乗客たちの負の感情が溢れ出し、妖はさらに力を増してゆく。
そこで一つ問題があった。今ルガたちがいる場所は列車が通るトンネルの中である。しかも、トンネルといってもセメントやコンクリートで造られたものではなく、ガラスやアクリル板のように透明で薄い板が筒状になっているトンネルだった。その中を列車が通っており、そのトンネルの外側にはユニホームタウンで暮らす者たちの生活区域となっている。
そのためもしも、この妖が外に出ればこの地区に住む者たちに被害を与えることとなる。だからこそこの妖は絶対にここで止めなければならなかった。
そこで、一人の覇星機関職員がここら一帯に結界を張り妖が逃げられないように自分たちもろとも封じ込める。そうして迎えた攻防戦、妖もルガたちも臨戦態勢に入っており、あたりには張り詰めた空気が漂っている。
妖はさらに巨大化し、今さっき張られた結界がはち切れそうな勢いだった。ここまでくると妖も苦しみ始め、もがいていた。
「あの妖はもっと小さくならないのか!」
「今やっている!」
警察はそうしてお経を唱えたりお札を飛ばして必死に妖の力を弱めようとしているが、効果はなかなか出なかった。しかしそんな中で列車から降りてきてルガたちの跡を追ってきた少年がいた。
彼がルガたちに追いつくと大声で。
「やめろ!」
と叫んだ。
普段おおかじとつるんでいる三人がそう話し合っている。
「結局、おおかじって何をいじってあだ名にしたの?下の名前?」
「いいや、違うんだよ。おおかじの苗字はほんとはあまり良くない意味で夕方とか朝方、あとは季節の変わり目とか。春でもないし夏でもない時期、夏でもないし秋でもない時期とか」
「なんでそう言う時間帯があまり良くないの?」
「そう言う時間帯ってさお化けとかが出やすくなるらしいんだよ。それでお化けとかあまり良いイメージないだろ?それでなんだから悪い意味があるからあいつの方からそう呼んでくれって言ってたな」
「お願い!どうしても思い出さないとダメなんだじゃないと学級日誌におおかじって名前で書かなきゃいけなくなる」
すると男子生徒は前のページをめくって。
「そういえば、あいつもこの学級日誌を書いているはずだからめくっていけば名前見つかるんじゃない?」
「そうだ!ナイス」
そして二、三ページほどめくった後、次は女子生徒があることに気がついた。
「あった!これじゃない?おおかじ!」
すると先ほどの男子生徒が大きな声で。
「思い出した!大きいの大に禍根の禍と時間の時って書いて大禍時だ!」
「オオマガトキ?」
「そうだよ、それっておおかじって読むかもしれないけど本当はおおまがときって言うんだよ」
「そうだ!思い出した、それじゃ早退の所に大禍時純也っと」
そして覇星機関の職員が迎えにきたルガはその職員の女性と共に基地に向かっていた。ルガを迎えにきた女性は覇星機関の制服を着ており、メガネをかけてポニーテールにした落ち着いた女性だった。
「ルガさん、お迎えに上がりました。本部への到着は3日ほどかかりますのでその間気楽にお過ごしください。」
「3日もかかるの⁉︎」
「ご不便をお掛けしますがどうか…」ひぃぃ…怖い怖すぎる、なんなの?なんで私が超重要指名手配犯と3日間も一緒にいなきゃなんないのよ。
彼女は平静を装ってルガの前では無表情で構えている。
「そうか、まぁ…お姉さんも気楽に行こうぜ」
「は、はい…?」もしかして緊張しているのがバレてる?表情に出てた?
「では基地まで電車を使っていきます」
「へぇー寝台列車かぁ!そんな豪華なものを用意してくれるなんて!」
「いいえ、寝泊まりは各駅で降りて周辺の宿を探して過ごすことになります。」
ルガがそのセリフにあっけに取られていると、電車が来て二人はその電車に乗り込み、覇星機関基地への直通エレベーターのある中心都市へ向かって行った。
しかし、ルガの元にはこれでもかと言うほど厄介ごとが舞い込んでくる。ルガたちを乗せた列車が発車し数時間、正午過ぎくらいの時間帯に列車が急停車した。なんの前触れもなく列車は止まり、車両内は騒がしくなる。
どうしたものかと乗客たちは窓の外を覗いて様子を見る。
どうした?
何があったんだ?
事故?
やがて乗客たちが騒ぎ始め、挙げ句の果てには乗客の数人が列車から降りて外を見渡す。するとここでルガと女性職員が異変に気づき始める。
「こんな事態に陥っているのに車掌が呼びかけすらしないなんて…」
「私、一度操縦室まで行って何があったか確かめてきます。ルガさんはここにいてください」
そう言うと彼女は最前車両まで行き、操縦室のドアをノックする。
「すみません!覇星機関の者です!中の様子を確かめさせてください」
操縦室の中からは何も反応がなかったため、彼女は操縦室の鍵を開けて中に入って行った。
彼女のように覇星機関職員にはある特権がある。それは、覇星機関の職員の証明書を提示するまたはロック解除の認証にかけるとどこにでも入れるといったものである。このシステムで、職員はこのように様々な施設に立ち入ることができるのだ。
彼女は操縦室のドアを開けて中の様子を見る。すると驚くべきことに、中には誰一人としていなかった。この列車は自動運転だが、操縦室には操縦資格のある者を最低でも一人乗せることが決められているが、操縦室はがらんとしていた。
彼女は念の為、この電車を運用、管理している会社に連絡し、すぐにでも列車を動かしてもらえるように頼んだ。しかし遠隔操作でも列車は動かず、近くの駅から職員を二人派遣すると連絡が入った。
「全く、これではなかなか基地に着かない。」
「困ったものだ」
と言って合いの手を入れてくるようにルガが入ってきた。
「あなた、先ほどの車両でまっててくださいって言いましたよね」
「悪い、つい心配で追いかけてきちゃった」
そしてルガは操縦室の中にずかずかと入っていく。
「ちょっと、勝手に中に入らないでください」
「今はまだ調査中です、これから最寄りの駅員がくるそうですから大人しくしていてくれませんか」
「そう、わかったけどさぁ…一つ聞いていい?」
「なんでしょう?」
ルガはある場所を指差してこう言った。
「こいつって車掌なの?」
彼女はルガの元まで駆け寄りルガの指の刺す方を向くと、明らかに人間ではない奇怪な生物がいる。その生物がこちらに気がつくと、壁をすり抜けて他の車両に逃げて行った。
「あなたは警察と覇星機関職員を呼んでください、私はアレを追います」
そして彼女はあの謎の生物を追って客車に向かった。ルガは言われた通りに警察と覇星機関職員を呼び、待つこと数分後、現地に到着した警察二人と覇星機関職員二人はなんだか少し和装っぽい服装だった。彼らはやってくるなりこんな話をしていた。
「この辺で列車が止まると言うことはやはり、妖の仕業か」
「あやかし?」
「その通り、この辺では陰陽道を専攻している地区ですから、妖などもよく出てきては悪さをするんですよ」
「それを取り締まるのが我々の役目ですから」
「取り締まる?祓うんじゃなくて?」
「ここユニホームタウンでは全ての者に基本的人権が適用されるので極悪な妖でもない限り祓うことはありませんよ」
「それじゃあさっきここにいた奇怪な生物は」
「妖ですね」
「とにかくあとを追いましょう」
彼らも女性職員と同じように女性職員と妖を追い、最後車両へ行き着いた。
「応援にきました」
「後は我々に任せてください」
「助かります!」
彼女はそう言って新しくきた警察や男性職員にバトンタッチする。
「結局あなたも来たんですね、ルガさん」
彼女の口から発せられたルガという二文字の名前に駆けつけた警察や男性職員は驚いて振り向く。
「なるほど、そういうことだったのか」
「あなたが、ルガ…。」
「こんな珍しいこともあるんやな」
「そんなことより今は目の前の妖です」
「コイツかぁ」
四人は一匹の妖に歩み寄り逃げ道を塞ぐように囲む。男たちに囲まれた妖はお化けに襲われる子供のようにビクビクと震えていた。
「よくもまぁ、列車を止めて多くの人に迷惑をかけやがって」
「とりあえず捕獲しましょう」
警察の者がそう言って、ポーチからお札を出して妖にお札を貼る。たちまち妖は大人しくなり、警察に抱えられて御用となった。
しかし、問題はここからだった。妖を抱えた警察が列車から出て行こうとするが、乗客たちがそれを妨害する。
「この列車はいつまで停まっているつもりなんだい?」
「早くしてくれないか」
「もう何分も待たされてるんですけど」
「いつになったらこの列車は発車するんだよ!」
つもりに積もった乗客たちの怒りが妖を抱えた警察に向けられる。するともう一人の警察官は。
「危ない!タツキ!今すぐそいつを連れてここから逃げるんや!」
タツキと呼ばれる警察官は急いでその車両を抜けて外に出ようとするも、乗客たちに通せんぼされそとに出られなくなった。
本来、妖というのは人の恐怖や人知の及ばない異常があらわれたもの。そのため、ほとんどの妖が人やその他の生物の負の感情を吸収し、その存在を知らしめる。
そして、乗客たちの怒りを受け取り、警察に抱えられた妖はどんどん力を増していく。やがて力が増強した妖は体格がどんどん大きくなってゆき、自らお札を破り捨て列車のドアを破り外に出る。
それを見た乗客たちは騒ぎ出して別の車両に逃げて行った。その中でも一人、一切騒ぐことなく落ち着いた面持ちで彼らをじっと眺めている少年がいた。
「逃すな!追うで!」
そしてルガと、覇星機関の職員三人と警察の二人の六人でその妖を追いかける。
「妖が他人に迷惑かけたらあかんで!セイッ」
警察はそう言ってお札を投げて妖を沈めようとするが、そう簡単にいかない。
「これならどうだ!」
そう言い、もう一人の警察官がお経を読みするとたちまち、妖は苦しみ出してその場に這いつくばる。それと同時に覇星機関の男性職員の二人も魔法で対抗する。
「これでもくらえっ!」
しかし、妖には全く効いていない。むしろ、列車の中にいる乗客たちの列車が進まないことに対する怒りと、ついさっき妖を目の当たりにして恐怖を覚える乗客たちの負の感情が溢れ出し、妖はさらに力を増してゆく。
そこで一つ問題があった。今ルガたちがいる場所は列車が通るトンネルの中である。しかも、トンネルといってもセメントやコンクリートで造られたものではなく、ガラスやアクリル板のように透明で薄い板が筒状になっているトンネルだった。その中を列車が通っており、そのトンネルの外側にはユニホームタウンで暮らす者たちの生活区域となっている。
そのためもしも、この妖が外に出ればこの地区に住む者たちに被害を与えることとなる。だからこそこの妖は絶対にここで止めなければならなかった。
そこで、一人の覇星機関職員がここら一帯に結界を張り妖が逃げられないように自分たちもろとも封じ込める。そうして迎えた攻防戦、妖もルガたちも臨戦態勢に入っており、あたりには張り詰めた空気が漂っている。
妖はさらに巨大化し、今さっき張られた結界がはち切れそうな勢いだった。ここまでくると妖も苦しみ始め、もがいていた。
「あの妖はもっと小さくならないのか!」
「今やっている!」
警察はそうしてお経を唱えたりお札を飛ばして必死に妖の力を弱めようとしているが、効果はなかなか出なかった。しかしそんな中で列車から降りてきてルガたちの跡を追ってきた少年がいた。
彼がルガたちに追いつくと大声で。
「やめろ!」
と叫んだ。
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