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第六章 平和の価値
五十三話 ビエラ
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ミズ帝国の中心であり最後の砦である城が今、ココドリロ王国の手に堕ちようとしていた。
「貴方、強いですね」
「それにはこちらも同じ心情だ。敵として不足なしだ」
ヤスケとエフィはそうやって闘いの合間に与太話を挟んだ。その後も二人は数分にわたり剣を交えた。その様子を周りは棒立ちで見ている。
二人はただ剣を振り回すだけでなく、剣を細かく動かして巧みに操っている。
ヤスケの場合は時々峰を使い相手の手首や胴体を狙いに行くが、そのたびにエフィの使う剣のガードで防がれてしまう。
しかし、エフィの使う剣はただの剣であり魔学や第六感を使わない限りそれといった特性はない。そのためエフィは幾分か不利だが彼女の剣の力や技はレベルが高く、ヤスケも攻撃を防ぐことで精一杯だった。
しばらくすると二人は間合いを取りヤスケは剣を鞘に収め、エフィは体勢を低くして矛先を顔の前で構える。
次の瞬間、ヤスケは小声でボソッと呟く。
甲刀法、向日葵!
それに対しエフィは剣を後ろに引き猪突猛進しながら突き刺すように剣を出した。
結果は相打ちだった。二人はすれ違い、お互いに背を向けた状態で二人同時に倒れた。
「ヤスケさん!」
「「隊長!」」
フメリニツキはヤスケに、ビョルクとクリスティンはエフィの元に寄り抱き抱える。
「ヤスケさんはやっぱり無茶するなぁ」それにしても、これからどうしましょうか。
彼はそうしてヤスケを部屋の奥にある椅子に座らせた。ビョルクとクリスティンも同じように廊下の側に横にして休ませた。
「あとは任せてください」
するとビョルクとクリスティンの二人は剣を抜いてフメリニツキに立ち向かう。
「降伏してください、そうすれば首を取らずにすみます」
ビョルクはそう言うとフメリニツキも言った。
「生憎だけど、コッチにも守るべきものがあるんです」
やはりそう簡単には引き下がってくれませんか。ここでクリスティンは異変に気づいた。
「あれっ⁉︎後ろの男の人は」
クリスティンはほんの一瞬フメリニツキから目線をずらした際に口から出てしまった。
その言葉に反応し、フメリニツキは一瞬後ろを見ようと目線を外そうとするが、ほんのちょっと動いた目線の先に今までいたはずのヤスケと戦っていた女性がいなくなっていた。
「そちらこそ後ろに寝かしつけた女性はどうしたのですか?」
その言葉を聞いて二人は後ろを振り返る。それに乗じてフメリニツキも後ろを振り返るとヤスケがいなかった。それにビョルクとクリスティンの振り返った目線の先にもエフィはいなかった。
「隊長、どこ行ったんですか?」
クリスティンの言葉は震えていた。するといきなりビョルクはフメリニツキの後ろの方へ剣を槍を投げる様に放った。
すると何か布を破る様な音がした。
「まずい!」
その声を聞いた途端、フメリニツキは急に剣を投げられた驚きもあったが、そんなことを一瞬で忘れて、剣の投げられた方を向いた。
その声の主は、窓ガラスを破り外へ逃げた、ここは三階なのにも関わらず。
「待て!」
「追って!下の階へ!」
フメリニツキはそう言い、ビョルクとクリスティンも同時に駆け出した。
「どこへ行った⁉︎」
「とにかく下の階へ行こう」
三人はそうして近くの階段へ行った。上の階からは兵士達の声が聞こえてくる。しかし、上の階で戦っている兵士達を気にしている暇はなかった。その後三人はすぐ下へ向かった。
城の外へ出て足跡を見つけた、ガサゴソと音のなる方を見ると大きな布を頭からかぶった人がいた。
「アイツだ!」
「待て!」
三人はそいつを追いかけて城とは違う建物へ向かった。研究棟!まさか。
そしてフメリニツキはそこから一切の迷いなく研究室へ向かう。
「所長!所長はいますか!」
すると研究所の研究員のうちの一人がフメリニツキの声を聞きつけて現れた。
「どうなさいました?部隊長。それに後ろの方々は」
この者達はのちに説明する、済まないがここに頭からマントを被った人が来なかった?
と聞いたが研究員の女性は首を横に振った。
フメリニツキは、わかりました。と言い三人はフメリニツキを先導にある男の元へ向かった。階段を駆け上がり、廊下をまっすぐ進んでいったところで左を向くと目的の場所に着いた。
「ビエラ所長、いるなら変しわしてください」
フメリニツキがそう言っても返事は無くやむを得ずドアを打ち破り、三人は中に入った。フメリニツキにとっては多少見慣れた光景でもビョルクとクリスティンにとっては気が動転する様な光景が広がっていた。
それは原型をとどめていない肉の塊や何のとは言わないが、死体が床や壁に置かれていた。ビョルクとクリスティンは絶句し、その場に立ち尽くしている。案の定そこにはビエラ所長がいてフメリニツキに話しかけてきた。
「まったく…扉を打ち破って入って来るなんて。部隊長には礼儀というものがないのですか?」
「それなら居留守を使わないでいただきたい。それに貴方の横にかけてあるその布はいったい何ですか」
フメリニツキの声につられるままに後ろの二人もその布を見て固唾をのんだ。フメリニツキはその布に関する質問をすると。
「これは少し前に誰かに切られたもので。これを作るのにとても苦労したと言うのに残念です」
「誤魔化さないでください。ヤスケさんとあの女性はどこへやったんですか」
ビエラ所長はこの質問にあっさりと答えた。
「では話しましょうか、私の実利を。まず結論から話すと私はより強力な生命体を生み出すことが目的なのです。この話を持ちかけてきたのはモッコという男でした。彼は私が今行っている研究が成功すれば私をより大きな団体に招き入れると言ったのです。こんな小汚く小規模な研究所で働くよりも、もっと素晴らしい設備が整ったところで思いのままに研究をさせてくれると言ったのです。それに賭けて私はこの通り非道とも言える実験を繰り返し、彼の素材の提供もあってついに成功したのです」
ビエラ所長は試験管に入った魔力濃度の高い黒い液体を顔の位置でかざし目の前の三人に見せつけた。
「それはいったい…なぜそんなに魔力濃度が高い、何かの薬か」
マスクを付けた上でもわかるほどの不気味な笑みを浮かべてビエラは言った。
「これは生物が保持した能力を活性化させるための薬です。ただ最初に作られたの試作品はいつの間にか無くなっていたが、使ったやつはさぞかし苦しむでしょう。あの試作品はその生物の能力を暴走させ自我を失くし、少しずつ生命を削っていく効果があります。だから特殊な回復魔法がかけられない限りそいつはおそらく3時間ほどで死ぬでしょう」
するとビエラはその薬を自分の後ろにいる台に乗せられたヤスケとエフィにかけようとしている
「やめろ!」
ビエラ所長はピタッと手を止めた。
「ならば代わりに部隊長、貴方がこの薬を飲みますか?」
そう言いながら薬をフメリニツキに向かって突きだす。
「そうだ、私が飲もう」
するとビョルクはフメリニツキの肩を掴んで言う。
「ダメです!私が代わりに飲みます」
「どうして!」
ビョルクは彼を睨んで言った。
「あなたみたいなただでさえ強そうなやつがさらに強くなる薬飲んでどおするんですか!もしアイツに操られて暴れられたら収拾つかなくなるのはこっちですよ⁉︎」
場の空気は一瞬にして冷めた。しかしフメリニツキは何も気にせずそのまま続けて言った。たしかに、と。
「いいから早くしろ!」
ビエラが初めて命令口調になった。そしてビョルクが薬を受け取り試験管の蓋を開けた次の瞬間、ビエラ所長の背後にある壁がガラガラと崩れ始めた。
壁があったところからは一頭の巨大な竜とその頭の上にジョセフ、ユウ、ロス、タイカが乗っていた。
「「竜⁉︎」」
「特殊部隊のみなさん!」
そしてジョセフ達はこの部屋の床に下りて辺りを見回す。
「これはひどい」
ロスがそう言い、ジョセフとロスの二人でエフィとヤスケを回収した。そしてジョセフはビエラのマスクを見て言った。
「俺たちの仲間に手ェ出すとはいい度胸してんじゃねえか」
タイカはそんなジョセフを見て言う。
「ジョセフ…ガラ悪っ」
「もう逃げ場はないぞ!」
ユウはそう言いビエラに宣戦布告する。そしてビエラは先程までの行動に合わずあっさりと投降した。
「仕方ない。降参だ」
そう言って両手を上げるとフメリニツキがビエラの両手を縛り廊下にある壁の杭に繋ぐ。
そして、ビョルクとクリスティンはエフィを引き取りジョセフ達と研究所の外に出た。
「此度は我々のリーダーと言い私たちといい助けてくれて本当にありがとうございました」
クリスティンはそう言いジョセフたちに感謝の意を伝える。ジョセフもヤスケを背負った状態で、彼女たちにお礼を言う。
「いえいえ、こちらこそウチのヤスケを助けていただき本当に何と言っていいのやら」
ジョセフのその言動にタイカは。
「さっきあんなにガラ悪そうだったのに差がすごい…」
うっせ聞こえてんぞ。するとジョセフは敵軍である彼女達にあることを聞く。
「んで、これからどうする?降伏するかまだ戦い続けるか。ちなみに門の外にいるお前達の仲間はガスで眠っている。なるべくなら降伏してほしいと思っている」
ビョルクは深刻そうな顔をして訴える。
「どうする…クリスティン」
するとクリスティンは冷静に答えた。
「本当に勝手な話ではあるが、どうやら降伏した方が我らが身のためだ。もしかするとこれを理由に周辺の国々から迫害を受けるかもしれんが、つい先程知ったばかりの国々に無理をしてまで恩を着せることはない。
それに彼らを見ろ。今の私たちに勝ち目はない。」
クリスティンはそう断言し、その後城へ戻りココドリロ王国軍は降伏を宣言し城の広間へ移動し場を収めることになった。
そこから少し時間は遡り、ナビア中央平野ではルガ達がモッコを討伐するための作戦を実行に移していた。
「作戦開始!」
作戦軸であるアスケラーデンやヨムスの号令と共に作戦が始まった。
この号令とともにルガは竜巻のような姿となったモッコに魔法をかける。ルガは指パッチンをすると一瞬の間にモッコは凍りついた。
「今だ、かかれぇ‼︎」
その合図とともに岩陰などに隠れていた兵士達が一斉に現れモッコの元へ走って行った。
「貴方、強いですね」
「それにはこちらも同じ心情だ。敵として不足なしだ」
ヤスケとエフィはそうやって闘いの合間に与太話を挟んだ。その後も二人は数分にわたり剣を交えた。その様子を周りは棒立ちで見ている。
二人はただ剣を振り回すだけでなく、剣を細かく動かして巧みに操っている。
ヤスケの場合は時々峰を使い相手の手首や胴体を狙いに行くが、そのたびにエフィの使う剣のガードで防がれてしまう。
しかし、エフィの使う剣はただの剣であり魔学や第六感を使わない限りそれといった特性はない。そのためエフィは幾分か不利だが彼女の剣の力や技はレベルが高く、ヤスケも攻撃を防ぐことで精一杯だった。
しばらくすると二人は間合いを取りヤスケは剣を鞘に収め、エフィは体勢を低くして矛先を顔の前で構える。
次の瞬間、ヤスケは小声でボソッと呟く。
甲刀法、向日葵!
それに対しエフィは剣を後ろに引き猪突猛進しながら突き刺すように剣を出した。
結果は相打ちだった。二人はすれ違い、お互いに背を向けた状態で二人同時に倒れた。
「ヤスケさん!」
「「隊長!」」
フメリニツキはヤスケに、ビョルクとクリスティンはエフィの元に寄り抱き抱える。
「ヤスケさんはやっぱり無茶するなぁ」それにしても、これからどうしましょうか。
彼はそうしてヤスケを部屋の奥にある椅子に座らせた。ビョルクとクリスティンも同じように廊下の側に横にして休ませた。
「あとは任せてください」
するとビョルクとクリスティンの二人は剣を抜いてフメリニツキに立ち向かう。
「降伏してください、そうすれば首を取らずにすみます」
ビョルクはそう言うとフメリニツキも言った。
「生憎だけど、コッチにも守るべきものがあるんです」
やはりそう簡単には引き下がってくれませんか。ここでクリスティンは異変に気づいた。
「あれっ⁉︎後ろの男の人は」
クリスティンはほんの一瞬フメリニツキから目線をずらした際に口から出てしまった。
その言葉に反応し、フメリニツキは一瞬後ろを見ようと目線を外そうとするが、ほんのちょっと動いた目線の先に今までいたはずのヤスケと戦っていた女性がいなくなっていた。
「そちらこそ後ろに寝かしつけた女性はどうしたのですか?」
その言葉を聞いて二人は後ろを振り返る。それに乗じてフメリニツキも後ろを振り返るとヤスケがいなかった。それにビョルクとクリスティンの振り返った目線の先にもエフィはいなかった。
「隊長、どこ行ったんですか?」
クリスティンの言葉は震えていた。するといきなりビョルクはフメリニツキの後ろの方へ剣を槍を投げる様に放った。
すると何か布を破る様な音がした。
「まずい!」
その声を聞いた途端、フメリニツキは急に剣を投げられた驚きもあったが、そんなことを一瞬で忘れて、剣の投げられた方を向いた。
その声の主は、窓ガラスを破り外へ逃げた、ここは三階なのにも関わらず。
「待て!」
「追って!下の階へ!」
フメリニツキはそう言い、ビョルクとクリスティンも同時に駆け出した。
「どこへ行った⁉︎」
「とにかく下の階へ行こう」
三人はそうして近くの階段へ行った。上の階からは兵士達の声が聞こえてくる。しかし、上の階で戦っている兵士達を気にしている暇はなかった。その後三人はすぐ下へ向かった。
城の外へ出て足跡を見つけた、ガサゴソと音のなる方を見ると大きな布を頭からかぶった人がいた。
「アイツだ!」
「待て!」
三人はそいつを追いかけて城とは違う建物へ向かった。研究棟!まさか。
そしてフメリニツキはそこから一切の迷いなく研究室へ向かう。
「所長!所長はいますか!」
すると研究所の研究員のうちの一人がフメリニツキの声を聞きつけて現れた。
「どうなさいました?部隊長。それに後ろの方々は」
この者達はのちに説明する、済まないがここに頭からマントを被った人が来なかった?
と聞いたが研究員の女性は首を横に振った。
フメリニツキは、わかりました。と言い三人はフメリニツキを先導にある男の元へ向かった。階段を駆け上がり、廊下をまっすぐ進んでいったところで左を向くと目的の場所に着いた。
「ビエラ所長、いるなら変しわしてください」
フメリニツキがそう言っても返事は無くやむを得ずドアを打ち破り、三人は中に入った。フメリニツキにとっては多少見慣れた光景でもビョルクとクリスティンにとっては気が動転する様な光景が広がっていた。
それは原型をとどめていない肉の塊や何のとは言わないが、死体が床や壁に置かれていた。ビョルクとクリスティンは絶句し、その場に立ち尽くしている。案の定そこにはビエラ所長がいてフメリニツキに話しかけてきた。
「まったく…扉を打ち破って入って来るなんて。部隊長には礼儀というものがないのですか?」
「それなら居留守を使わないでいただきたい。それに貴方の横にかけてあるその布はいったい何ですか」
フメリニツキの声につられるままに後ろの二人もその布を見て固唾をのんだ。フメリニツキはその布に関する質問をすると。
「これは少し前に誰かに切られたもので。これを作るのにとても苦労したと言うのに残念です」
「誤魔化さないでください。ヤスケさんとあの女性はどこへやったんですか」
ビエラ所長はこの質問にあっさりと答えた。
「では話しましょうか、私の実利を。まず結論から話すと私はより強力な生命体を生み出すことが目的なのです。この話を持ちかけてきたのはモッコという男でした。彼は私が今行っている研究が成功すれば私をより大きな団体に招き入れると言ったのです。こんな小汚く小規模な研究所で働くよりも、もっと素晴らしい設備が整ったところで思いのままに研究をさせてくれると言ったのです。それに賭けて私はこの通り非道とも言える実験を繰り返し、彼の素材の提供もあってついに成功したのです」
ビエラ所長は試験管に入った魔力濃度の高い黒い液体を顔の位置でかざし目の前の三人に見せつけた。
「それはいったい…なぜそんなに魔力濃度が高い、何かの薬か」
マスクを付けた上でもわかるほどの不気味な笑みを浮かべてビエラは言った。
「これは生物が保持した能力を活性化させるための薬です。ただ最初に作られたの試作品はいつの間にか無くなっていたが、使ったやつはさぞかし苦しむでしょう。あの試作品はその生物の能力を暴走させ自我を失くし、少しずつ生命を削っていく効果があります。だから特殊な回復魔法がかけられない限りそいつはおそらく3時間ほどで死ぬでしょう」
するとビエラはその薬を自分の後ろにいる台に乗せられたヤスケとエフィにかけようとしている
「やめろ!」
ビエラ所長はピタッと手を止めた。
「ならば代わりに部隊長、貴方がこの薬を飲みますか?」
そう言いながら薬をフメリニツキに向かって突きだす。
「そうだ、私が飲もう」
するとビョルクはフメリニツキの肩を掴んで言う。
「ダメです!私が代わりに飲みます」
「どうして!」
ビョルクは彼を睨んで言った。
「あなたみたいなただでさえ強そうなやつがさらに強くなる薬飲んでどおするんですか!もしアイツに操られて暴れられたら収拾つかなくなるのはこっちですよ⁉︎」
場の空気は一瞬にして冷めた。しかしフメリニツキは何も気にせずそのまま続けて言った。たしかに、と。
「いいから早くしろ!」
ビエラが初めて命令口調になった。そしてビョルクが薬を受け取り試験管の蓋を開けた次の瞬間、ビエラ所長の背後にある壁がガラガラと崩れ始めた。
壁があったところからは一頭の巨大な竜とその頭の上にジョセフ、ユウ、ロス、タイカが乗っていた。
「「竜⁉︎」」
「特殊部隊のみなさん!」
そしてジョセフ達はこの部屋の床に下りて辺りを見回す。
「これはひどい」
ロスがそう言い、ジョセフとロスの二人でエフィとヤスケを回収した。そしてジョセフはビエラのマスクを見て言った。
「俺たちの仲間に手ェ出すとはいい度胸してんじゃねえか」
タイカはそんなジョセフを見て言う。
「ジョセフ…ガラ悪っ」
「もう逃げ場はないぞ!」
ユウはそう言いビエラに宣戦布告する。そしてビエラは先程までの行動に合わずあっさりと投降した。
「仕方ない。降参だ」
そう言って両手を上げるとフメリニツキがビエラの両手を縛り廊下にある壁の杭に繋ぐ。
そして、ビョルクとクリスティンはエフィを引き取りジョセフ達と研究所の外に出た。
「此度は我々のリーダーと言い私たちといい助けてくれて本当にありがとうございました」
クリスティンはそう言いジョセフたちに感謝の意を伝える。ジョセフもヤスケを背負った状態で、彼女たちにお礼を言う。
「いえいえ、こちらこそウチのヤスケを助けていただき本当に何と言っていいのやら」
ジョセフのその言動にタイカは。
「さっきあんなにガラ悪そうだったのに差がすごい…」
うっせ聞こえてんぞ。するとジョセフは敵軍である彼女達にあることを聞く。
「んで、これからどうする?降伏するかまだ戦い続けるか。ちなみに門の外にいるお前達の仲間はガスで眠っている。なるべくなら降伏してほしいと思っている」
ビョルクは深刻そうな顔をして訴える。
「どうする…クリスティン」
するとクリスティンは冷静に答えた。
「本当に勝手な話ではあるが、どうやら降伏した方が我らが身のためだ。もしかするとこれを理由に周辺の国々から迫害を受けるかもしれんが、つい先程知ったばかりの国々に無理をしてまで恩を着せることはない。
それに彼らを見ろ。今の私たちに勝ち目はない。」
クリスティンはそう断言し、その後城へ戻りココドリロ王国軍は降伏を宣言し城の広間へ移動し場を収めることになった。
そこから少し時間は遡り、ナビア中央平野ではルガ達がモッコを討伐するための作戦を実行に移していた。
「作戦開始!」
作戦軸であるアスケラーデンやヨムスの号令と共に作戦が始まった。
この号令とともにルガは竜巻のような姿となったモッコに魔法をかける。ルガは指パッチンをすると一瞬の間にモッコは凍りついた。
「今だ、かかれぇ‼︎」
その合図とともに岩陰などに隠れていた兵士達が一斉に現れモッコの元へ走って行った。
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