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第六章 平和の価値
四十五話 内通者
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ルガとエフィが内通者について話し合っていたその日の夕方ココドリロ王国のある兵士の元に訪れていた。
「明日は非番だから今日は明日の朝まで夜更かししちゃお~っと!」
部屋の寝床に服を着崩してうつ伏せになって本を開いていたのは二番隊隊長のアンネだ。
彼女は灯を近くにある机の上に置いてのんびりと本を読んでいた。
しかし、そこに邪魔者が入った。
アンネの住んでいる家のドアを強引に叩く音とだれがが自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。彼女は咄嗟に玄関に向かいドアを開けると、そこには鬼の軍隊長我らが参謀総長のエフィがいた。
その姿を見るなりアンネはギョッと驚きかたまってしまう。
「参謀総長!一体どういったご用件で」
「ふむ、実を言うとなとても大事な要件があるのだ心して聞いてくれ」
そう言われるとアンネはエフィの表情から威圧を感じ取り萎縮してしまう。
「明後日、東の海岸に外国からの船が来るそうだ。だから君たち一番隊や他の隊の者たちにいつもの管轄を離れて共についてきてもらう。
だからといって各隊のついていた管轄をノーガードにするのはリスクが大きい、そのために君らの隊から人数を貸して欲しい」
「お願いできるだろうか」
「お…っお安い御用です…。」
「そうか、ありがたい。それでは頼むぞ」
エフィはそう言い、アンネはドアを閉めようとするとドアをガッと押さえられ引き止められ、アンネは緊張と驚きでドキッとした。
「それと最後にもう一つ、このことは絶対に他言無用だ」
「わ…、わかりました。」
「もしきみが口を滑らせたなら私も手をすべらしてしまいそうだ」
エフィはそう言いながら目を細めると、アンネはドアをバタンと勢いよく締めた。
「ウソウソ、冗談だ」
エフィはそいごにそう言い残すとその場を去っていった。
次の日の朝、ココドリロ王国の王宮会議が終わった後にアンネは隊長としてエフィに召集を食らった。エフィに召集を喰らったのは自分だけでなく他の隊の隊長たちもを呼び出されあることを伝えられた。
「それでは明日のことについて伝えるが私は明日の昼中、城での業務があるため昨日皆んなに頼んだ仕事にはつけないことになった。そのため、明日は各自で行動してくれ」
エフィはそう言って解散と宣言した。
同日の昼間、ミズ帝国の城での出来事である。
ヤスケはいつもと同じように王族の世話をしていた。
「ヤスケ様、次はここの問題をおしえてくださりませんこと?」
「そうですね、この問いはですね…」
ヤスケそうやっていつもの様に皇帝の子女に勉強を教えたり遊び相手や話し相手をしていた頃だった。
皇帝子女のマリア王女はハッとし、急に立ち上がると膝を曲げて深々と頭を下げてたいそう丁寧にヤスケの後ろにいる者へ挨拶をした。
「フメリニツキ軍団長殿、ごきげん麗しゅう」
「これはどうもマリア王女。勉強とは感心ですね」
「恐れ入ります」
その後にヤスケも遅れて挨拶をした。
「こ…これはどうも」
するとマリアは小声で指摘する。
「ヤスケ様、こういう時はこの様に挨拶をするのです」
マリア王女は焦りヤスケに挨拶の仕方を教えるが軍団長は気にしていない。
「いえいえ、構いませんよ。それでは」
フメリニツキ軍団長は挨拶を終えると城のとある部屋の方へ戻っていった。
軍団長が完全にさって行った後に、ヤスケは彼のことをマリア王女に聞いた。
「あのお方はミズ帝国に置いて最強の軍団オドリ部隊を率いる軍団長フメリニツキ様にございます。フメリニツキ様は幼い頃から武術や剣術、勉学に長けており18という若さでこの国最強の軍隊であるオドリ部隊の最高指導者に皇帝直々に任命されたのです」
「性格も見た目も知識も力も全てにおいて卓越していると言うのに、なんと言いますのでしょうか。唯一の欠点と言いますか、中身が少し抜けていて、時々理解できない部分がお有りで」
「そうなのですか」
「しかし、おかしいですね。フメリニツキ様は戦いになると戦闘の最前線に立ち仲間たちを指揮してまとめていると言うのに今日はどう言ったご用件で来ていらっしゃるのかしら」
マリア王女はそう言いながら頭を抱えているとヤスケが耳打ちであることを伝えた。
「本日は皇帝陛下が何やら集会を行うと朝会で聞きましたが、それと関係あるのでしょうか」
するとマリア王女はハッと気がつくと同時にこれから起こる出来事に衝撃を受けた。
「そうよ、今日はスクリピヤートがあるのよ」
「ギーセとは一体、」
「この国有権者や軍師などがここで行う集会をギーセと読んでいますの」
「マリア様はそのスクリピヤートを見たことがあるのですか」
「いいえ、でも昔一度だけスクリピヤートを拝見したいと申したらダメだと叱られてしまったことがあります」
「左様ですか」
そんな重要人物が集まった会議を開くと言うことは国家ぐるみの重要な議題を醸し出すに違いないとかぎつけたヤスケはその後、休み時間になると前もって教えられていたスクリピヤートが開かれる部屋へ行った。
この時すでにスクリピヤートは開かれており、ヤスケは魔力結晶の通信器みどり色の石を一欠片結晶からもぎ取ると音を立てぬようそっとドアの前に置きヤスケはその場をさって行った。
ヤスケはそこから少し離れた別の部屋からそのスクリピヤートの様子を盗聴した。
魔力結晶の通信器越しで少し声が変に聞こえたりするが大体の会話は聞き取ることができた。
「やはり、南側の軍をさらに北の陣営に回すべきです」
「いやいや、それでは我が軍の戦力が落ちてしまうではないか」
「この程度で軍の戦力が変わってしまうほど貴方は愚将なのですか?」
「何を言うか貴様!そう言う問題じゃないと言っているのだよ」
ヤスケが耳に石を当ててその石の中から男たちの怒声や様々な言葉が飛び交っている。
「まず第一にオドリ部隊の出番がないではないか!そうやって後営にいないで前線に出て戦わせたらどうなのですか!」
「いいえ、全ては皇帝陛下のご判断です異論は認められませんよ」
「ぬぅ…。」
するとここで通信器の聞こえが悪くなり始めた。ヤスケは何事かと思えばこれを渡される時、タイカに結晶を割って音を繋いでいるときは時間制限があるから気をつけてねと言われたことを思い出した。
しまった、このタイミングでか!
そして音は完全に途絶えてしまった。
ヤスケの魔力結晶通信器が切れてからしばらくするとスクリピヤートを行なっていた部屋では。ついさっきまでガヤガヤと騒いでいた部屋がシーンと静かになっていた。
「魔力感知、周囲の魔力の気配が完全に消えました」
フメリニツキがそういうとまた話し始める。
「そうか、ご苦労」
「これでもう盗聴の心配はありませんね」
「それにしても盗聴や盗撮の疑いがある場合はウソの話をしつつ盗聴が終わるまでは演技を続けるというのは難しいですな」
「それも我が母国を守る上でのことだ」
「そうですね」
驚くことにヤスケによる盗聴は初めからバレており、それを知った上での本当のスクリピヤートが始まった。
「後で誰か、盗聴した者の始末に行け。この国に仇なすものは全て始末してしまえ」
「それでは、私が行こう」
そうして立ち上がったのはフメリニツキ軍団長だった。
次の日、ココドリロ王国の中心の城にエフィとルガがまた話し合いをしていた。
「本当にこれでいいのだな」
「おそらく、これでうまくいけばそのうちのどれかに敵が乗り込んでくるはずだ」
「そうか、では行くとするか」
「よっしゃ、お前ら出番だ」
はい‼︎‼︎
ルガはココドリロ王国に面する海岸を雑木林の中から座った状態で見つめていた。
「ん~~、なかなかいい景色じゃないか」
ルガと同じ様に雑木林に隠れながら行動を共にする隊員の一人が喋り始めた。
「やっぱり、ルガさんもそう思いますよね」
そしてまた、別の隊員は。
「こらっ!ルガさんじゃなくて隊長と呼びなさい!」
「いや、自分の好きな様に呼ぶといいよ」
「だって~!」
「うるさいわね!」
ここで二人の隊員の些細な原画が始まろうとしていた。
「シッ!静かに」
しかし、ルガは前の方の海を見て周囲に伝えた。
「ビンゴだ!こっちに来たぞ」
今ルガたちには何十隻、もしかすると百隻をも越える船が目の前の海岸に到着しようとしていた。
「ルガさん、参謀総長に連絡」
そう言いながら隊員はルガに魔力結晶の通信器を渡した。
「サンキュー、はーいこちらルガ、予想通り海岸に船が来ました。どうぞ」
すると、通信器越しからエフィの肉声が聞こえてきた。
「了解した、こちらも今すぐ奴の確保に向かう」
ルガはその言葉を聞き取ると通信を切り、立ち上がり叫んだ。
「総員整列!戦闘準備‼︎」
はい‼︎‼︎
同時にルガについてきた兵士たちも立ち上がり返事をする。
そして、その場にいる兵士たちは雑木林の中から出てくるや否や何万本とある槍を一人一本ずつ取っていくと前もって灯していた松明に槍先の刃に触れさせて槍の刃に火をつけた。
そして最初は五十人ほどの兵士が横に等間隔を取り整列し、槍を投げる構えをした。
その頃、敵国の船の上では。
「なあ、あれ見てみろよ。岸辺には敵兵が数人いるとは言ったが話が違うくねーか?」
この問いかけに別の兵士は笑って応えた。
「なんだよ、女相手にビビってんのか?」
「んなわけねーだろ!なんてったってあいつら松明みてーなのもってねーか?」
「あんな距離から届くわけねーだろ」
そう言っているのも束の間、矢が風を切り飛んでくる音と木板が破損する様な音が聞こえた。
そして、ルガたちの方ではルガが中心に立ちココドリロ王国兵士たちを指揮していた。
「次の槍準備!………………撃て!」
その合図と同時に彼女たちは船に向かって刃に火のついた槍を一斉に投げた。
その投槍の威力は凄まじく木造の大きな船がまるで豆腐の様だった。
ただ、それだけではなく槍の刃に火がついているため船にも火がついて多くの船が大炎上した。
「まだまだ投げ続けろ!」
それでも火槍の猛攻は止まることなく続いた、しばらくすると船が進行をやめ引き返し始めた。
「船が引き返して行ったぞ!」
「我々の勝利だ‼︎」
その言葉に周囲は歓声をあげ大いに喜びあった。
「明日は非番だから今日は明日の朝まで夜更かししちゃお~っと!」
部屋の寝床に服を着崩してうつ伏せになって本を開いていたのは二番隊隊長のアンネだ。
彼女は灯を近くにある机の上に置いてのんびりと本を読んでいた。
しかし、そこに邪魔者が入った。
アンネの住んでいる家のドアを強引に叩く音とだれがが自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。彼女は咄嗟に玄関に向かいドアを開けると、そこには鬼の軍隊長我らが参謀総長のエフィがいた。
その姿を見るなりアンネはギョッと驚きかたまってしまう。
「参謀総長!一体どういったご用件で」
「ふむ、実を言うとなとても大事な要件があるのだ心して聞いてくれ」
そう言われるとアンネはエフィの表情から威圧を感じ取り萎縮してしまう。
「明後日、東の海岸に外国からの船が来るそうだ。だから君たち一番隊や他の隊の者たちにいつもの管轄を離れて共についてきてもらう。
だからといって各隊のついていた管轄をノーガードにするのはリスクが大きい、そのために君らの隊から人数を貸して欲しい」
「お願いできるだろうか」
「お…っお安い御用です…。」
「そうか、ありがたい。それでは頼むぞ」
エフィはそう言い、アンネはドアを閉めようとするとドアをガッと押さえられ引き止められ、アンネは緊張と驚きでドキッとした。
「それと最後にもう一つ、このことは絶対に他言無用だ」
「わ…、わかりました。」
「もしきみが口を滑らせたなら私も手をすべらしてしまいそうだ」
エフィはそう言いながら目を細めると、アンネはドアをバタンと勢いよく締めた。
「ウソウソ、冗談だ」
エフィはそいごにそう言い残すとその場を去っていった。
次の日の朝、ココドリロ王国の王宮会議が終わった後にアンネは隊長としてエフィに召集を食らった。エフィに召集を喰らったのは自分だけでなく他の隊の隊長たちもを呼び出されあることを伝えられた。
「それでは明日のことについて伝えるが私は明日の昼中、城での業務があるため昨日皆んなに頼んだ仕事にはつけないことになった。そのため、明日は各自で行動してくれ」
エフィはそう言って解散と宣言した。
同日の昼間、ミズ帝国の城での出来事である。
ヤスケはいつもと同じように王族の世話をしていた。
「ヤスケ様、次はここの問題をおしえてくださりませんこと?」
「そうですね、この問いはですね…」
ヤスケそうやっていつもの様に皇帝の子女に勉強を教えたり遊び相手や話し相手をしていた頃だった。
皇帝子女のマリア王女はハッとし、急に立ち上がると膝を曲げて深々と頭を下げてたいそう丁寧にヤスケの後ろにいる者へ挨拶をした。
「フメリニツキ軍団長殿、ごきげん麗しゅう」
「これはどうもマリア王女。勉強とは感心ですね」
「恐れ入ります」
その後にヤスケも遅れて挨拶をした。
「こ…これはどうも」
するとマリアは小声で指摘する。
「ヤスケ様、こういう時はこの様に挨拶をするのです」
マリア王女は焦りヤスケに挨拶の仕方を教えるが軍団長は気にしていない。
「いえいえ、構いませんよ。それでは」
フメリニツキ軍団長は挨拶を終えると城のとある部屋の方へ戻っていった。
軍団長が完全にさって行った後に、ヤスケは彼のことをマリア王女に聞いた。
「あのお方はミズ帝国に置いて最強の軍団オドリ部隊を率いる軍団長フメリニツキ様にございます。フメリニツキ様は幼い頃から武術や剣術、勉学に長けており18という若さでこの国最強の軍隊であるオドリ部隊の最高指導者に皇帝直々に任命されたのです」
「性格も見た目も知識も力も全てにおいて卓越していると言うのに、なんと言いますのでしょうか。唯一の欠点と言いますか、中身が少し抜けていて、時々理解できない部分がお有りで」
「そうなのですか」
「しかし、おかしいですね。フメリニツキ様は戦いになると戦闘の最前線に立ち仲間たちを指揮してまとめていると言うのに今日はどう言ったご用件で来ていらっしゃるのかしら」
マリア王女はそう言いながら頭を抱えているとヤスケが耳打ちであることを伝えた。
「本日は皇帝陛下が何やら集会を行うと朝会で聞きましたが、それと関係あるのでしょうか」
するとマリア王女はハッと気がつくと同時にこれから起こる出来事に衝撃を受けた。
「そうよ、今日はスクリピヤートがあるのよ」
「ギーセとは一体、」
「この国有権者や軍師などがここで行う集会をギーセと読んでいますの」
「マリア様はそのスクリピヤートを見たことがあるのですか」
「いいえ、でも昔一度だけスクリピヤートを拝見したいと申したらダメだと叱られてしまったことがあります」
「左様ですか」
そんな重要人物が集まった会議を開くと言うことは国家ぐるみの重要な議題を醸し出すに違いないとかぎつけたヤスケはその後、休み時間になると前もって教えられていたスクリピヤートが開かれる部屋へ行った。
この時すでにスクリピヤートは開かれており、ヤスケは魔力結晶の通信器みどり色の石を一欠片結晶からもぎ取ると音を立てぬようそっとドアの前に置きヤスケはその場をさって行った。
ヤスケはそこから少し離れた別の部屋からそのスクリピヤートの様子を盗聴した。
魔力結晶の通信器越しで少し声が変に聞こえたりするが大体の会話は聞き取ることができた。
「やはり、南側の軍をさらに北の陣営に回すべきです」
「いやいや、それでは我が軍の戦力が落ちてしまうではないか」
「この程度で軍の戦力が変わってしまうほど貴方は愚将なのですか?」
「何を言うか貴様!そう言う問題じゃないと言っているのだよ」
ヤスケが耳に石を当ててその石の中から男たちの怒声や様々な言葉が飛び交っている。
「まず第一にオドリ部隊の出番がないではないか!そうやって後営にいないで前線に出て戦わせたらどうなのですか!」
「いいえ、全ては皇帝陛下のご判断です異論は認められませんよ」
「ぬぅ…。」
するとここで通信器の聞こえが悪くなり始めた。ヤスケは何事かと思えばこれを渡される時、タイカに結晶を割って音を繋いでいるときは時間制限があるから気をつけてねと言われたことを思い出した。
しまった、このタイミングでか!
そして音は完全に途絶えてしまった。
ヤスケの魔力結晶通信器が切れてからしばらくするとスクリピヤートを行なっていた部屋では。ついさっきまでガヤガヤと騒いでいた部屋がシーンと静かになっていた。
「魔力感知、周囲の魔力の気配が完全に消えました」
フメリニツキがそういうとまた話し始める。
「そうか、ご苦労」
「これでもう盗聴の心配はありませんね」
「それにしても盗聴や盗撮の疑いがある場合はウソの話をしつつ盗聴が終わるまでは演技を続けるというのは難しいですな」
「それも我が母国を守る上でのことだ」
「そうですね」
驚くことにヤスケによる盗聴は初めからバレており、それを知った上での本当のスクリピヤートが始まった。
「後で誰か、盗聴した者の始末に行け。この国に仇なすものは全て始末してしまえ」
「それでは、私が行こう」
そうして立ち上がったのはフメリニツキ軍団長だった。
次の日、ココドリロ王国の中心の城にエフィとルガがまた話し合いをしていた。
「本当にこれでいいのだな」
「おそらく、これでうまくいけばそのうちのどれかに敵が乗り込んでくるはずだ」
「そうか、では行くとするか」
「よっしゃ、お前ら出番だ」
はい‼︎‼︎
ルガはココドリロ王国に面する海岸を雑木林の中から座った状態で見つめていた。
「ん~~、なかなかいい景色じゃないか」
ルガと同じ様に雑木林に隠れながら行動を共にする隊員の一人が喋り始めた。
「やっぱり、ルガさんもそう思いますよね」
そしてまた、別の隊員は。
「こらっ!ルガさんじゃなくて隊長と呼びなさい!」
「いや、自分の好きな様に呼ぶといいよ」
「だって~!」
「うるさいわね!」
ここで二人の隊員の些細な原画が始まろうとしていた。
「シッ!静かに」
しかし、ルガは前の方の海を見て周囲に伝えた。
「ビンゴだ!こっちに来たぞ」
今ルガたちには何十隻、もしかすると百隻をも越える船が目の前の海岸に到着しようとしていた。
「ルガさん、参謀総長に連絡」
そう言いながら隊員はルガに魔力結晶の通信器を渡した。
「サンキュー、はーいこちらルガ、予想通り海岸に船が来ました。どうぞ」
すると、通信器越しからエフィの肉声が聞こえてきた。
「了解した、こちらも今すぐ奴の確保に向かう」
ルガはその言葉を聞き取ると通信を切り、立ち上がり叫んだ。
「総員整列!戦闘準備‼︎」
はい‼︎‼︎
同時にルガについてきた兵士たちも立ち上がり返事をする。
そして、その場にいる兵士たちは雑木林の中から出てくるや否や何万本とある槍を一人一本ずつ取っていくと前もって灯していた松明に槍先の刃に触れさせて槍の刃に火をつけた。
そして最初は五十人ほどの兵士が横に等間隔を取り整列し、槍を投げる構えをした。
その頃、敵国の船の上では。
「なあ、あれ見てみろよ。岸辺には敵兵が数人いるとは言ったが話が違うくねーか?」
この問いかけに別の兵士は笑って応えた。
「なんだよ、女相手にビビってんのか?」
「んなわけねーだろ!なんてったってあいつら松明みてーなのもってねーか?」
「あんな距離から届くわけねーだろ」
そう言っているのも束の間、矢が風を切り飛んでくる音と木板が破損する様な音が聞こえた。
そして、ルガたちの方ではルガが中心に立ちココドリロ王国兵士たちを指揮していた。
「次の槍準備!………………撃て!」
その合図と同時に彼女たちは船に向かって刃に火のついた槍を一斉に投げた。
その投槍の威力は凄まじく木造の大きな船がまるで豆腐の様だった。
ただ、それだけではなく槍の刃に火がついているため船にも火がついて多くの船が大炎上した。
「まだまだ投げ続けろ!」
それでも火槍の猛攻は止まることなく続いた、しばらくすると船が進行をやめ引き返し始めた。
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「我々の勝利だ‼︎」
その言葉に周囲は歓声をあげ大いに喜びあった。
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