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第三章 エターナルシティにて
十九話 仲間
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ロスは夢を見た。残虐で地獄とも言える夢だった。それはどんな内容かと聞かれると悲鳴を上げ逃げ惑う人たちを襲う人の目線で次々と襲っては無惨に殺してしまう、そんなホラー映画のような夢だった。
それは、とてもリアルで音は聞こえないものの想像だけでどんな音がするのかがわかる。
夢の内容を細かく説明すると、絶大な恐怖に感情を支配され無力になった女性や怒りと憎しみだけが残り竜化して暴走する男、混乱しつつも冷静さを取り戻し戦おうとするが相手の力に押し負け殺される男に、悲しみに暮れて泣き叫ぶ少女。
誰も彼も見たことのあるような顔であり、少女の姿がなくなった途端に夢から覚めた。
夢から覚めると、ルガが額にてお当てて心配そうにこっちを見ていた。
「大丈夫か?うなされてたけど」
ロスは目覚めた途端、夢の内容はかろうじて覚えているが全員どんな顔をしていたのか綺麗さっぱり忘れた。
竜人族の村を出て2時間、天上の地にてルガと流星群の戦いを夜通し見ていたロスは疲れて眠っておりリアとルガも長時間動きっぱなしで疲れてしまっている。
特にリアの方なんかは今まで動いていた分と今現在大移動している分で余計に疲れている。そんなリアにルガは独自の技で飛行している真っ最中のリアの背中に手を当ててエネルギー供給をしている。
「すごいな、あの村を出てからエターナルシティまであとほんの少し、これであいつらとの待ち合わせの時間に間に合いそうだ」
「アイツらって?」
リアは竜に変身しているため口では喋られずテレパシーで会話をしている。
「ああ、リアにはまだ教えていないけど、俺達にはもう二人仲間がいてな、これから行く予定の都市で待ち合わせをしているんだよ。せっかくなら、次の都市を観光する際にもう二人の仲間達と話すといいよ。二人とも優しい人だから」
「それは、楽しみ」
無邪気さ全開の話し方でリアは話す。あれだけ辛い過去を味わってきたリアをルガは心配していたが、この元気さを見てルガは確信した。ユウやジョセフに合わせても大丈夫だろうと。
「見えた!あれじゃない?」
ルガはリアの言葉を聞き、前方を確かめる。
「そうだ、着いたぞ」
ルガは一言そういい、目の前の光景をじっくりと眺める。
二人の前には巨大きなタワーが堂々と建っている。そのタワーは明らかにリアよりも大きく、大きさを想像して比較してみるとタワーはリアの三倍近くの大きさがある。
しかし、あの塔の三分の一の大きさもあるリアもデカイことは確かだ。
のうのうとタワーを眺めながら飛んでいるリアにルガは、
「そろそろ、変身を解いた方がいいんじゃないのか」
と会う言葉に従い、リアは少しずつ降下し始める。それと同時にルガはロスを起こし、着陸する準備をさせる。着陸の準備といっても地面についたリアの背中からとび降りるだけで、準備とは言えないかもしれないが二人は着陸に向けて構えている。
かなりのスピードで飛んだため、リアが地上付近に着く頃にはエターナルシティの姿が見え、目的地は目と鼻の先である。
リアは地面にぶつからぬよう羽で地面に風圧を送りスピードを落としてから地面に足をつけ着陸した。
あともうちょっとだ、ここから歩いて行くぞとルガの声に耳を傾け三人は今まで通ってきた空の真下にある、ここから少し離れた場所から延々と続いている道路の上を歩き、田や畑の風景が見える道を進んでいき、都心に進んでいくにつれて人の割合が多くなっている。
何もない、丘という丘の道が終わり田や畑の中の道を進み、多くの一戸建ての民家が見える頃には三人とも、都会の中にいるような気分だった。
すると、ルガは急に立ち止まったと思えば近くの休憩処に立ち寄りそこで人数分のお菓子を買い、テラスで食べている。
「なんだか、今まで見てきた風景と比べたら新鮮味がありますね」
「そうだな、やっと都会らしさが出てきたって感じだな」
ルガとロスは相変わらず天真爛漫にのんびりと仲良く話し合っている。
「ちょっと!」
そんな二人の様子に呆れたリアは無理矢理でもルガに現状を先に進ませようとした。
「これから、この都市のどこかで待ち合わせをしているんじゃなかったの⁉︎」
「たしかに待ち合わせをするとはいったけど、どこに行けばいいのか分からないから、とりあえずゆっくり休憩してから仲間達がいる場所を探そうと思っててさ」
リアは疑いの目を向けながらも、二人と一緒に菓子を食べる。
「ほんとにー?」
「ほんとほんと、とりあえずあと5分くらいしたら都心に行ってそこら辺で情報収集をしよう」
そういうとルガは一口でお菓子を頬張り、茶をすすってのんびりゆったりとしている。
それから10分後
「凄い!見て、コレ!」
と言いつつ、ほんの数分前まで行っていた言葉がウソかのようにリアは都内の人の多さや建物の数、植物や施設外に設置してある公共の物の面白味に興味を惹かれ、色んな方向に目を向けている。
「さっきまで、散々あんな事を言っておいてここにくると急に自分のことしか考えなくなる…」
ロスは呆れ顔でリアを見ているがその姿を見ている一方でどこか微笑ましい感情がわき立ってくる。
「まぁ、いいじゃねえかよ。そんなことよりせっかくきたんだ、 もうちょっとここら辺を見回って楽しもうぜ」
「そうですね」
と二人はリアの後をついて行き、待ち合わせ場所が見つかるまでの時間を楽しむことにした。
それからというもの、三人は色んなところを回った。大きなショッピングモールや歓楽街そしてアミューズメント施設など、先々を回るたびにリアは初めてのものに興奮して遊び回り、ロスはリアと同じツボにハマらないように自分自身と葛藤している。
一方ルガはというと少しだけ持っている小遣いでリア達を遊ばせ、二人が遊んでいる間に情報収集をする。
「最近、ここらの病院に魔学都市からワープホールで転送されてきた患者のいる病院とかはありませんか?」や「ここら辺に大きな病院とかないですか」などの質問を店のスタッフなどに聞いて回るがなかなかいい反応が返ってこない。
三人はそうしている間に時間は正午を過ぎてしまった。三人は外へ出て、公園のような大広間にいてリアは相変わらず見慣れない景色に喜んでおり、公園で遊んでいる子供達に混じるようにはしゃいでいる。しかし、ルガは物事がなかなかうまくいかず途方に暮れていた。
「大丈夫ですか?」
ロスはルガのフードの影で隠れて見えない顔を覗き込んで言う。
「ああ、大丈夫だ。少し行き詰まってな、なかなかヤスケやユウ達のいるところが分からなくてな」
ハァ…とため息をついてはベンチに腰掛け、後ろにもたれかかって腕を頭の後ろで組んで休憩を取る。
するとまた、唐突にリアはここにきた時に見えたあの大きなタワーに行ってみたい、などと言い出した。一度はルガもロスも断ったがリアは言う事を聞かずわがままを言い続ける。挙げ句の果てにルガは根負けし、少しだけ休んでから向かうと提案した。
リアもそのことに賛成し、少し休憩を取ってから約束通りタワーはの元へ向かった。
目的地までは距離が遠く、残りの小遣いを使い果たして交通機関を利用することにした。
ルガ達は公園の端にある建物に入り、ガラスも壁もなく外の様子がよく見える非常階段のような階段を上がって行き、最上階に着くと自分たちと同じように列車を待っている人や獣人がいる。
しばらくすると列車が宙を、正確には空中に敷かれた半透明な線路のような物の上を走ってくる光景が目に映った。
「すごい!今からあれに乗るの?」
リアはキラキラした目でルガの方を向く。
「ああ、そうだよ。今からあれに乗ってあの大きなタワーのところまで行くんだ」
と聞くと、リアは人が落ちないための柵を手で掴んで列車をじっと見つめる。
「わぁーー!あれ、でもあの速さだったら私が変身して飛んでいく方が早くない?」
リアのこの言葉を聞いてルガとロスはギョッとする。周りの人もチラッと目を向けたりするが、小さい子供の考えることだ。とでも思っているのかすぐに視線を逸らした。
「リア、そういうのはこーゆーところであんまり口にしちゃダメだよ」
ルガは真剣そうな様子でリアに語りかける。
列車が駅に着くと柵が自動的に開きそれと同時に列車のドアも自動で開いた。
リアはその列車に一番に乗り込み、列車内を眺める。
その後、ルガは乗る際にお金を払い三人並んで椅子に座る。
リアは列車内から外を眺めている。列車は意外にも目的地に早くつき、三人は巨大なタワー付近の停車駅で降りた。
その停車駅から階段で下まで降りて外に出るとタワーはそこから歩いて数秒とすぐそばにあった。三人はそのタワーの入り口を目指して歩いていると、ルガは見覚えのある人影を見つけた。
「ルガさん!」
驚き混じりの声で呼んだのはヤスケだった。ヤスケは手を振って自分の居場所をわかりやすく示し、ルガ達が向かってくるのを待った。
ルガ達は小走りでヤスケの元へ向かい、話しかけようとするが…。
「ルガさん、ロスくん。ここまでの長旅お疲れ様です」
「そっちこそ、三人の具合はどうなったんだ?」
ルガはさりげなく言うがヤスケはいつにも増して真剣な表情で話し出す。
「そのことなんですが、三人の具合は良子で今は三人とも無事に回復に向かってきます」
「それは良かった。こっちもいい見上げ話があるんだ」
オレは新しい仲間のことを話そうとしたが、ヤスケの深刻そうな様子とその話に持っていかれリアのことは後回しになった。
「ルガさん!今は一大事なんです、今すぐ病院へきてもらえますか?」
急に大声を出し、ルガに向かって強く喋る。
その後、ルガ達はヤスケに続いてユウやシリュウ達のいる病院へ向かった。
その病院はタワーマンションのような病院で一番上で八十階まである病院で入り口からすぐそこのホール以外は、全てエレベーターのような物で、診察室や各々の病室まで短時間で行けるようになっている。
ルガ達四人は、そのエレベーターのようなものに乗ってユウ達のいる病室まで向かった。
病室に着くとユウは、ベッドから起き上がりいつもと同じような格好をしてイメトレをするなど今にも闘いを待ち望んでいるような様子でいる。
「ユウさん、安静にしていてください」
「怪我はもう治ったよ、それにあんなことがあった後に黙って休んでいられないよ」
と言う調子でユウはヤスケの言うことを聞かずに何かの準備をしている。
「どうしたんだ、それにジョセフはどこ行ったんだ」
何気ないルガの発言でその場がシーンとした。
「ルガさん、この際ですし全て話します。ジョセフさんはあなた方のチームを抜けるようです」
と言う言葉にルガは耳を疑った。はぁ?
どう言うことだ、説明しろ。と言いルガの望み通りすぐにこれまでの経緯が話された。
「実は、ここへ来てすぐに事件は起こりました。今そこで寝ている二人とユウさんの治療が終わってこの病室に運ばれたあと、この病室にはすでに人がいたのです」
「人がいたって、看護師かなんかじゃないのか」
「私も最初はそう思いましたが、服装を見てすぐに違うとゆうことがわかりましたので、私たちを庇ってジョセフさんはその人達に話しかけたのです」
ジョセフは部屋に入るなり、部屋の照明をつける前に人の気配に気がついた。
「誰だ、そんなとこにいるのは」
ジョセフがドアから入り正面奥の窓の前に二人の人が寄りかかっており、その人はしばらくしてから話し始めた。
「別に誰だっていいだろ。結局は知ることになるんだし」
それは女の声でしかも、聞き覚えのあるように感じた。
「どう言う意味だ」
ヤスケはここで部屋の明かりをつけた。
「おっと、灯がついた」
ジョセフとヤスケは正面を見て目を見開いた目の前には見覚えのある女の人とその女の身長の1.5倍のある細身の身長の男の二人が立っている。
「長話はめんどくさいから短く言うね、君は選ばれたってわけよ」
「選ばれた?」
「そうだよ我らコサインズのメンバーに」
「コサインズ⁉︎」
ヤスケは険悪な表情をしてジョセフを庇うように前に出て、いつでも戦闘を始められるような構えをして立っている。
「コサインズが一体何のようですか」
「どうもこうも、最高の人材がいたから勧誘しに来ただけさ」
「へぇ、最高の人材ね…」
「ああ、そうさ元チート、序列6位、武器の使い手フォーリング・ジョセフ」
「手っ取り早い話、私達の仲間に入らないか?」
「それって断れたりは出来るのか?」
「もちろん、ただし今日は私の相棒の機嫌が悪いから、何をするかわからないけどね」
「何する気だ、」
「わからないさ、相棒次第だもの」
と聞いて、ジョセフとヤスケは女の隣にいるはずの男に目を向けるがそこには女以外誰もいない。
二人は咄嗟に後ろを振り向くと、さっきまで真っ正面前にいた男が三人の首や胸元に鎌を立てて、こちらを凝視している。
「汚ねえ奴だ、こんなことしねーと俺を誘えないのか?」
「いいや、別に自分からやっているわけじゃない、今日はただ相棒の機嫌が悪いだけなんだもしかすると素直にこっちの要請にしたがってくれると私の相棒の機嫌も治るかもね」
と女は上機嫌に言ってジョセフに目を合わせる。
「あ、それともう一つ」
「なんだ」
「お前、101戦争の再戦を阻止したくて今のチームに入ったんだよな」
その瞬間、ジョセフは女の表情と言葉にドキッとする。
「なぜ、そんなことを知っているのかって?それは、こっちに来てからのお楽しみさ」
それからジョセフはしばらく黙り込んで難しい顔をした。
「ほら、早くしないと相棒の堪忍袋の尾が切れちゃうよ」
チッ!
するとジョセフはまた目をつむり、自分なりに考えをまとめる。
「ハァ、しょうがねえ」
「ジョセフさん、だめです!」
「なあに、大丈夫だすぐに帰るてくるよ」
すると、今まで口を開かなかった細身の男が喋り出す。
「これで…ミオ様もルシファー様もお喜びになられる」
「まぁ、そおだな」
ジョセフの言動と相棒と思しき男の言葉に女は相槌を打つ。
ミオ様とルシファー様…コイツらの上の奴らのことか、それとルシファー様って…。
「ヤスケ、ルガ達が戻ってきたら伝えといてくれ。俺はこのチームを抜ける」
「まって、ジョセフさ…」
「そんじゃ、いこーぜ」
と言ってヤスケの言葉を阻み、その女は指パッチンをすると空間にワープホールのような穴ができた。初めに隣にいる男が入り、女に誘導されるままにジョセフが入ると最後に女が入っていった。その女は去り際にバイバーイと薄ら笑いを浮かべて手を振って去っていった。
「それが、ジョセフさんを攫っていった時の経緯です」
ヤスケは自分とジョセフの身に起きたことを出来るだけ多く語った。
ジョセフが去って数時間した頃にユウが目を覚まし、ヤスケからことの全てを聞いた。
「そんなことない、ジョセフがここを抜けていったのも何かしらの理由があるに違いない」
ユウはそう言ってジョセフが戻ってこないことを否定する。
「そうだな、ユウの言うことも一理ある。俺たちの今の目的はとにかくコサインズを説得してジョセフを取り戻すことだ」
「そんなこと言ったって相手はコサインズですよ⁉︎説得なんかで引くような相手じゃ…」
「大丈夫だ、気楽にしてろ。だって俺たちだぞ?」
ルガはヤスケの顔を見て言った。するとヤスケの中の何かが吹っ飛び、安心したのか表情の力みが消えた。
「わかりました。ですが討ち入りする際は私も連れていってください」
ヤスケは希望に満ち溢れた表情をしている。
「もちろんだ、絶対にジョセフを取り戻すぞ」
この時、ヤスケの目にはルガとバックにいる三人がお伽話に出てくる頼もしいヒーローのように見えた。
しかし、次の瞬間いきなり、
「それはちょっと無理な相談かな~」
などと言った声が聞こえ、その場にいる全員は声のする方をを見上げるとジョセフを連れ去る際に合った女、そしてもう一人の方は細身で背の高い男とは全く違ったものすごくガタイの良い大柄な男が、幽霊が壁をすり抜けるようにこの室内という空間に侵入してきた。
その二人は、おかしな物でも見るような表情で微笑みかける。
それは、とてもリアルで音は聞こえないものの想像だけでどんな音がするのかがわかる。
夢の内容を細かく説明すると、絶大な恐怖に感情を支配され無力になった女性や怒りと憎しみだけが残り竜化して暴走する男、混乱しつつも冷静さを取り戻し戦おうとするが相手の力に押し負け殺される男に、悲しみに暮れて泣き叫ぶ少女。
誰も彼も見たことのあるような顔であり、少女の姿がなくなった途端に夢から覚めた。
夢から覚めると、ルガが額にてお当てて心配そうにこっちを見ていた。
「大丈夫か?うなされてたけど」
ロスは目覚めた途端、夢の内容はかろうじて覚えているが全員どんな顔をしていたのか綺麗さっぱり忘れた。
竜人族の村を出て2時間、天上の地にてルガと流星群の戦いを夜通し見ていたロスは疲れて眠っておりリアとルガも長時間動きっぱなしで疲れてしまっている。
特にリアの方なんかは今まで動いていた分と今現在大移動している分で余計に疲れている。そんなリアにルガは独自の技で飛行している真っ最中のリアの背中に手を当ててエネルギー供給をしている。
「すごいな、あの村を出てからエターナルシティまであとほんの少し、これであいつらとの待ち合わせの時間に間に合いそうだ」
「アイツらって?」
リアは竜に変身しているため口では喋られずテレパシーで会話をしている。
「ああ、リアにはまだ教えていないけど、俺達にはもう二人仲間がいてな、これから行く予定の都市で待ち合わせをしているんだよ。せっかくなら、次の都市を観光する際にもう二人の仲間達と話すといいよ。二人とも優しい人だから」
「それは、楽しみ」
無邪気さ全開の話し方でリアは話す。あれだけ辛い過去を味わってきたリアをルガは心配していたが、この元気さを見てルガは確信した。ユウやジョセフに合わせても大丈夫だろうと。
「見えた!あれじゃない?」
ルガはリアの言葉を聞き、前方を確かめる。
「そうだ、着いたぞ」
ルガは一言そういい、目の前の光景をじっくりと眺める。
二人の前には巨大きなタワーが堂々と建っている。そのタワーは明らかにリアよりも大きく、大きさを想像して比較してみるとタワーはリアの三倍近くの大きさがある。
しかし、あの塔の三分の一の大きさもあるリアもデカイことは確かだ。
のうのうとタワーを眺めながら飛んでいるリアにルガは、
「そろそろ、変身を解いた方がいいんじゃないのか」
と会う言葉に従い、リアは少しずつ降下し始める。それと同時にルガはロスを起こし、着陸する準備をさせる。着陸の準備といっても地面についたリアの背中からとび降りるだけで、準備とは言えないかもしれないが二人は着陸に向けて構えている。
かなりのスピードで飛んだため、リアが地上付近に着く頃にはエターナルシティの姿が見え、目的地は目と鼻の先である。
リアは地面にぶつからぬよう羽で地面に風圧を送りスピードを落としてから地面に足をつけ着陸した。
あともうちょっとだ、ここから歩いて行くぞとルガの声に耳を傾け三人は今まで通ってきた空の真下にある、ここから少し離れた場所から延々と続いている道路の上を歩き、田や畑の風景が見える道を進んでいき、都心に進んでいくにつれて人の割合が多くなっている。
何もない、丘という丘の道が終わり田や畑の中の道を進み、多くの一戸建ての民家が見える頃には三人とも、都会の中にいるような気分だった。
すると、ルガは急に立ち止まったと思えば近くの休憩処に立ち寄りそこで人数分のお菓子を買い、テラスで食べている。
「なんだか、今まで見てきた風景と比べたら新鮮味がありますね」
「そうだな、やっと都会らしさが出てきたって感じだな」
ルガとロスは相変わらず天真爛漫にのんびりと仲良く話し合っている。
「ちょっと!」
そんな二人の様子に呆れたリアは無理矢理でもルガに現状を先に進ませようとした。
「これから、この都市のどこかで待ち合わせをしているんじゃなかったの⁉︎」
「たしかに待ち合わせをするとはいったけど、どこに行けばいいのか分からないから、とりあえずゆっくり休憩してから仲間達がいる場所を探そうと思っててさ」
リアは疑いの目を向けながらも、二人と一緒に菓子を食べる。
「ほんとにー?」
「ほんとほんと、とりあえずあと5分くらいしたら都心に行ってそこら辺で情報収集をしよう」
そういうとルガは一口でお菓子を頬張り、茶をすすってのんびりゆったりとしている。
それから10分後
「凄い!見て、コレ!」
と言いつつ、ほんの数分前まで行っていた言葉がウソかのようにリアは都内の人の多さや建物の数、植物や施設外に設置してある公共の物の面白味に興味を惹かれ、色んな方向に目を向けている。
「さっきまで、散々あんな事を言っておいてここにくると急に自分のことしか考えなくなる…」
ロスは呆れ顔でリアを見ているがその姿を見ている一方でどこか微笑ましい感情がわき立ってくる。
「まぁ、いいじゃねえかよ。そんなことよりせっかくきたんだ、 もうちょっとここら辺を見回って楽しもうぜ」
「そうですね」
と二人はリアの後をついて行き、待ち合わせ場所が見つかるまでの時間を楽しむことにした。
それからというもの、三人は色んなところを回った。大きなショッピングモールや歓楽街そしてアミューズメント施設など、先々を回るたびにリアは初めてのものに興奮して遊び回り、ロスはリアと同じツボにハマらないように自分自身と葛藤している。
一方ルガはというと少しだけ持っている小遣いでリア達を遊ばせ、二人が遊んでいる間に情報収集をする。
「最近、ここらの病院に魔学都市からワープホールで転送されてきた患者のいる病院とかはありませんか?」や「ここら辺に大きな病院とかないですか」などの質問を店のスタッフなどに聞いて回るがなかなかいい反応が返ってこない。
三人はそうしている間に時間は正午を過ぎてしまった。三人は外へ出て、公園のような大広間にいてリアは相変わらず見慣れない景色に喜んでおり、公園で遊んでいる子供達に混じるようにはしゃいでいる。しかし、ルガは物事がなかなかうまくいかず途方に暮れていた。
「大丈夫ですか?」
ロスはルガのフードの影で隠れて見えない顔を覗き込んで言う。
「ああ、大丈夫だ。少し行き詰まってな、なかなかヤスケやユウ達のいるところが分からなくてな」
ハァ…とため息をついてはベンチに腰掛け、後ろにもたれかかって腕を頭の後ろで組んで休憩を取る。
するとまた、唐突にリアはここにきた時に見えたあの大きなタワーに行ってみたい、などと言い出した。一度はルガもロスも断ったがリアは言う事を聞かずわがままを言い続ける。挙げ句の果てにルガは根負けし、少しだけ休んでから向かうと提案した。
リアもそのことに賛成し、少し休憩を取ってから約束通りタワーはの元へ向かった。
目的地までは距離が遠く、残りの小遣いを使い果たして交通機関を利用することにした。
ルガ達は公園の端にある建物に入り、ガラスも壁もなく外の様子がよく見える非常階段のような階段を上がって行き、最上階に着くと自分たちと同じように列車を待っている人や獣人がいる。
しばらくすると列車が宙を、正確には空中に敷かれた半透明な線路のような物の上を走ってくる光景が目に映った。
「すごい!今からあれに乗るの?」
リアはキラキラした目でルガの方を向く。
「ああ、そうだよ。今からあれに乗ってあの大きなタワーのところまで行くんだ」
と聞くと、リアは人が落ちないための柵を手で掴んで列車をじっと見つめる。
「わぁーー!あれ、でもあの速さだったら私が変身して飛んでいく方が早くない?」
リアのこの言葉を聞いてルガとロスはギョッとする。周りの人もチラッと目を向けたりするが、小さい子供の考えることだ。とでも思っているのかすぐに視線を逸らした。
「リア、そういうのはこーゆーところであんまり口にしちゃダメだよ」
ルガは真剣そうな様子でリアに語りかける。
列車が駅に着くと柵が自動的に開きそれと同時に列車のドアも自動で開いた。
リアはその列車に一番に乗り込み、列車内を眺める。
その後、ルガは乗る際にお金を払い三人並んで椅子に座る。
リアは列車内から外を眺めている。列車は意外にも目的地に早くつき、三人は巨大なタワー付近の停車駅で降りた。
その停車駅から階段で下まで降りて外に出るとタワーはそこから歩いて数秒とすぐそばにあった。三人はそのタワーの入り口を目指して歩いていると、ルガは見覚えのある人影を見つけた。
「ルガさん!」
驚き混じりの声で呼んだのはヤスケだった。ヤスケは手を振って自分の居場所をわかりやすく示し、ルガ達が向かってくるのを待った。
ルガ達は小走りでヤスケの元へ向かい、話しかけようとするが…。
「ルガさん、ロスくん。ここまでの長旅お疲れ様です」
「そっちこそ、三人の具合はどうなったんだ?」
ルガはさりげなく言うがヤスケはいつにも増して真剣な表情で話し出す。
「そのことなんですが、三人の具合は良子で今は三人とも無事に回復に向かってきます」
「それは良かった。こっちもいい見上げ話があるんだ」
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「ルガさん!今は一大事なんです、今すぐ病院へきてもらえますか?」
急に大声を出し、ルガに向かって強く喋る。
その後、ルガ達はヤスケに続いてユウやシリュウ達のいる病院へ向かった。
その病院はタワーマンションのような病院で一番上で八十階まである病院で入り口からすぐそこのホール以外は、全てエレベーターのような物で、診察室や各々の病室まで短時間で行けるようになっている。
ルガ達四人は、そのエレベーターのようなものに乗ってユウ達のいる病室まで向かった。
病室に着くとユウは、ベッドから起き上がりいつもと同じような格好をしてイメトレをするなど今にも闘いを待ち望んでいるような様子でいる。
「ユウさん、安静にしていてください」
「怪我はもう治ったよ、それにあんなことがあった後に黙って休んでいられないよ」
と言う調子でユウはヤスケの言うことを聞かずに何かの準備をしている。
「どうしたんだ、それにジョセフはどこ行ったんだ」
何気ないルガの発言でその場がシーンとした。
「ルガさん、この際ですし全て話します。ジョセフさんはあなた方のチームを抜けるようです」
と言う言葉にルガは耳を疑った。はぁ?
どう言うことだ、説明しろ。と言いルガの望み通りすぐにこれまでの経緯が話された。
「実は、ここへ来てすぐに事件は起こりました。今そこで寝ている二人とユウさんの治療が終わってこの病室に運ばれたあと、この病室にはすでに人がいたのです」
「人がいたって、看護師かなんかじゃないのか」
「私も最初はそう思いましたが、服装を見てすぐに違うとゆうことがわかりましたので、私たちを庇ってジョセフさんはその人達に話しかけたのです」
ジョセフは部屋に入るなり、部屋の照明をつける前に人の気配に気がついた。
「誰だ、そんなとこにいるのは」
ジョセフがドアから入り正面奥の窓の前に二人の人が寄りかかっており、その人はしばらくしてから話し始めた。
「別に誰だっていいだろ。結局は知ることになるんだし」
それは女の声でしかも、聞き覚えのあるように感じた。
「どう言う意味だ」
ヤスケはここで部屋の明かりをつけた。
「おっと、灯がついた」
ジョセフとヤスケは正面を見て目を見開いた目の前には見覚えのある女の人とその女の身長の1.5倍のある細身の身長の男の二人が立っている。
「長話はめんどくさいから短く言うね、君は選ばれたってわけよ」
「選ばれた?」
「そうだよ我らコサインズのメンバーに」
「コサインズ⁉︎」
ヤスケは険悪な表情をしてジョセフを庇うように前に出て、いつでも戦闘を始められるような構えをして立っている。
「コサインズが一体何のようですか」
「どうもこうも、最高の人材がいたから勧誘しに来ただけさ」
「へぇ、最高の人材ね…」
「ああ、そうさ元チート、序列6位、武器の使い手フォーリング・ジョセフ」
「手っ取り早い話、私達の仲間に入らないか?」
「それって断れたりは出来るのか?」
「もちろん、ただし今日は私の相棒の機嫌が悪いから、何をするかわからないけどね」
「何する気だ、」
「わからないさ、相棒次第だもの」
と聞いて、ジョセフとヤスケは女の隣にいるはずの男に目を向けるがそこには女以外誰もいない。
二人は咄嗟に後ろを振り向くと、さっきまで真っ正面前にいた男が三人の首や胸元に鎌を立てて、こちらを凝視している。
「汚ねえ奴だ、こんなことしねーと俺を誘えないのか?」
「いいや、別に自分からやっているわけじゃない、今日はただ相棒の機嫌が悪いだけなんだもしかすると素直にこっちの要請にしたがってくれると私の相棒の機嫌も治るかもね」
と女は上機嫌に言ってジョセフに目を合わせる。
「あ、それともう一つ」
「なんだ」
「お前、101戦争の再戦を阻止したくて今のチームに入ったんだよな」
その瞬間、ジョセフは女の表情と言葉にドキッとする。
「なぜ、そんなことを知っているのかって?それは、こっちに来てからのお楽しみさ」
それからジョセフはしばらく黙り込んで難しい顔をした。
「ほら、早くしないと相棒の堪忍袋の尾が切れちゃうよ」
チッ!
するとジョセフはまた目をつむり、自分なりに考えをまとめる。
「ハァ、しょうがねえ」
「ジョセフさん、だめです!」
「なあに、大丈夫だすぐに帰るてくるよ」
すると、今まで口を開かなかった細身の男が喋り出す。
「これで…ミオ様もルシファー様もお喜びになられる」
「まぁ、そおだな」
ジョセフの言動と相棒と思しき男の言葉に女は相槌を打つ。
ミオ様とルシファー様…コイツらの上の奴らのことか、それとルシファー様って…。
「ヤスケ、ルガ達が戻ってきたら伝えといてくれ。俺はこのチームを抜ける」
「まって、ジョセフさ…」
「そんじゃ、いこーぜ」
と言ってヤスケの言葉を阻み、その女は指パッチンをすると空間にワープホールのような穴ができた。初めに隣にいる男が入り、女に誘導されるままにジョセフが入ると最後に女が入っていった。その女は去り際にバイバーイと薄ら笑いを浮かべて手を振って去っていった。
「それが、ジョセフさんを攫っていった時の経緯です」
ヤスケは自分とジョセフの身に起きたことを出来るだけ多く語った。
ジョセフが去って数時間した頃にユウが目を覚まし、ヤスケからことの全てを聞いた。
「そんなことない、ジョセフがここを抜けていったのも何かしらの理由があるに違いない」
ユウはそう言ってジョセフが戻ってこないことを否定する。
「そうだな、ユウの言うことも一理ある。俺たちの今の目的はとにかくコサインズを説得してジョセフを取り戻すことだ」
「そんなこと言ったって相手はコサインズですよ⁉︎説得なんかで引くような相手じゃ…」
「大丈夫だ、気楽にしてろ。だって俺たちだぞ?」
ルガはヤスケの顔を見て言った。するとヤスケの中の何かが吹っ飛び、安心したのか表情の力みが消えた。
「わかりました。ですが討ち入りする際は私も連れていってください」
ヤスケは希望に満ち溢れた表情をしている。
「もちろんだ、絶対にジョセフを取り戻すぞ」
この時、ヤスケの目にはルガとバックにいる三人がお伽話に出てくる頼もしいヒーローのように見えた。
しかし、次の瞬間いきなり、
「それはちょっと無理な相談かな~」
などと言った声が聞こえ、その場にいる全員は声のする方をを見上げるとジョセフを連れ去る際に合った女、そしてもう一人の方は細身で背の高い男とは全く違ったものすごくガタイの良い大柄な男が、幽霊が壁をすり抜けるようにこの室内という空間に侵入してきた。
その二人は、おかしな物でも見るような表情で微笑みかける。
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学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
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私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
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ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
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※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
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旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
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平凡冒険者のスローライフ
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26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
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フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~
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せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
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