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その後
翌八月4
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料理を食べ終わった俺たちはホテルを後にし、そして本来の目的である――俺の実家へ、向かうことにした。
「遥、ちょっとよっていいか?」
「え、あ、うん」
声を掛けられ、足を止める。正人が寄りたいと言った場所は区役所だった。
一体何の用事だろう?
理由を聞く暇もなく、正人はスタスタと区役所へ入っていった。仕方がないので、外で待つ。
数分後、正人は区役所から出てきた。
「一体何の用だったんだ?」
「いや、まあ、ちょっと」
正人が俺に対して言葉を濁すのは珍しいことだったが、深く聞かないでおくことにした。
せっかく政子さんとのわだかまりもなくなって心地良い気分になっている正人に、余計な詮索をして気が沈むようなことをしたくなかったから。
俺達はたわいもない話をしながら、電車に乗るために駅へ向かった。
電車が大きな音を立てて、止まる。ドアが開き、俺達は古びた駅に降り立った。各駅列車でしか止まらないこの駅は、利用する人もあまりおらず駅員もいない無人駅だ。
けれど、俺には見慣れた駅。高校の時ずっと利用していた駅だ。
――懐かしい。十年前ぐらい前のことのはずなのに、なぜかものすごく懐かしさを感じた。
「改札はこっちだ」
キョロキョロしている正人に声をかけ、先に進む。
駅から出ると、駅前商店街があった。ここに住んでいた頃から廃れかけていた商店街は、今はほぼシャッター街になっている。その様子を見て、少しへこんだ。
人もまばら、廃れた町。ここが、俺が育った場所だった。
「……なんというか、その……活気がないな」
「まあ、ここもお年寄りばかりだからなあ。商店街も継ぐ人がいなくて、閉まってるし」
俺達が住んでいる村もお年寄りばかりだが、こことは違い活気がある。外に出るのが大好きなじいちゃんばあちゃんはよく外で井戸端会議をしたり、カラオケ大会を開いたりしている。
それに比べ、ここは隣人同士の繋がりがあまりないのだろう。立ち話している人はほぼおらず、すれ違う人々は他の人など気にせず家路についていた。
そんな故郷の様子を見て、やはり悲しくなる。その思いを頭から追いやるように、足を踏み出した。
「さあ、俺の実家に行こう」
「ああ」
商店街の中を通りながら、実家に向かう。ここの商店街を通った方が早いからだ。
ここに駄菓子屋があったんだとか、ここの肉屋さんにいつもコロッケ奢ってもらったとか、商店街を紹介しながら歩く。昔のことを話すのが楽しくて、たくさん正人に話してしまった。正人はたまに相づちを打ったり、聞き返したりしてくれる。それがとても嬉しかった。
商店街を抜け、住宅街に入りしばらくすると、俺の実家が見えてきた。少し蔦がからまりつつある、古びた平屋の一戸建て。
「ここか」
「ああ。悪いな、古くて」
「いや、生活感があって良いと思う」
生活感か、ものは言いようだな……俺はオンボロの家としか思えないけど。正人の気遣いに苦笑した。
鍵を開け、横開きの戸を開く。前回訪れたのは退職手続きの為にこちらへ戻った時だ。それ以来ここには来ていない。だからほぼ一年間、この家は使われていなかったことになる。
玄関から中に入ると、目の前は埃だらけだった。それに変な臭いもする。人が住まなくなると家は劣化するとはよく言ったもんで、約一年間で確実に老朽化は進んでいた。
「これは……ちょっとヤバいな」
「掃除しようか。遥、道具はあるか?」
この状況を見かねた正人が提案をしてくれ、二人で家を掃除することにした。
窓を全開にし、掃除道具を取り出す。
「ガスだけ止めてて、電気と水道は止めていないんだ。だからブレーカーを入れると電気つくと思う。」
「分かった」
正人がブレーカーを入れると、家の中がパッと明るくなる。良かった、ちゃんとつくみたいだ。
水道と電気の基本料金を考えると、誰も住まないのに止めないのはもったいないとも思った。けれど、それまで止めてしまうとこの家が完全に死んでしまうような気がして出来なかった。
蛇口を捻ると水もちゃんと出てきて安心する。まだ家としての機能は保っているようだ。
「さて、じゃあ掃除するか!」
バケツに水を入れ、雑巾やほうきを使い、俺達は一斉に掃除を始めた。
リビング、洗面台、台所……それぞれ掃除していくたびに、ここに住んでいた時のことを思い出し目を細める。
ばあちゃんも、ここで料理していたな。そのレシピを俺が習って、作るようになって……いつの日かの光景が目に浮かぶ。
あまり眺めると感傷に浸りそうだったら、慌てて思考を切り替えて、もくもくと掃除を再開した。
「そういえば、正人どこに行ったんだ?」
確か玄関辺りを掃除していたはずだったが……玄関に行っても姿が見えない。
――まさか!
焦りながら玄関近くの部屋の開けると、思った通り正人はその部屋――俺の部屋にいた。社会人になると同時に一人暮らしを始めたので、大学の時まで使っていた。
どうやら部屋を詮索しらしい。正人が手に持っているものを見て俺は絶句した。
「お前っ何やってんだ!」
「遥、こんなのが好みだったんだな」
正人は俺が隠していたエロ本やエロDVDを持っていた。恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
そんな初めて家に来た彼女みたいなことをしないでほしいんだけどな!!
「どこでそれ見つけた!?返せよ!」
「禁断の教師と生徒、禁断のナースと患者……へぇーふーん……あ、警察官モノもあるじゃないか」
「やめろおおおお!!」
もう顔から火が出そうだった。
そうだよ、一時期職業系にハマっていたんだよ。眠っていた記憶が最低の形で露になってしまった。
「そうか、コスプレが好きなのか……俺が制服着ていた時の方が反応いいしな」
「んなわけないだろ!はい、これで終わり!」
無理矢理奪い取りエロ本達をベッドの下に滑り込ませた。一番奥の壁に当たった音がする。これでもう容易にはとれないだろう。
本当にこれどこで見つけたんだ!?俺も忘れていたものばっかだぞ!
「ここはいいから!もうでてけ!!」
「遥待ってくれ、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
散々いじり倒して何聞くんだよと思ったが、クローゼットの中を指差されて止まる。
そこには緑のブレザーと黄土色のズボン――俺の高校の制服が入っていた。
「あれはどこの学校の制服だ?」
「……柳第一高校。ここから一番近い高校だよ。ここから二、三駅先にある。」
知らないな、と正人は首をかしげていた。それもそうだ。あんまり偏差値が高くないのだから。だから大学は良いところにと相当頑張ったんだ。
「正人は?」
「明瞭高校だ」
「うぇっあの最難関の!?だっ大学は!?」
「帝東大」
「……すごいなお前」
帝東大学って言ったら国内最高峰だぞ。キャリアになれなかった、じゃなくて、ならなかったと言ってた時点で、多分頭がいいのかなとは思っていたけど……予想の上を行っていた。
そんな知能持っているなら俺のエロ本もって茶化さないでほしい。
「遥は?」
「文政大。お前と比べると全然だ。……ってか、何で今こんなこと初めて知ってんだよ」
友達なら普通に知っているようなこと、体まで合わせているのに知らないだなんて。おかしくて笑えてきた。
「俺、正嗣に言われたこと、めっちゃショックだったんだからな」
「言われたこと?」
「正人について何も知らないということ」
軽口で返したやったが、それでもやっぱり傷ついている。恋人なのに従兄弟の方が正人のことよく知っているだなんて、情けなさすぎる。
「……それは悪かった。遥には全て教えるよ。どこから話す?」
「んーどんな学生時代だったとか。あ、でも掃除しながらな」
それぞれ放置していた掃除道具を持って、再び掃除を始める。
俺は玄関に繋がる廊下、正人は玄関を掃除始めた。
「学生時代か……そんなにいいものじゃなかったな。行く学校も部活も決められていたし」
「えっ!?そんなことも決められてたの!?」
「ああ。キャリアになるために、父から全てを決められていた」
「政子さん何も言わなかったのかよ?」
「母さんのいないところで言われていたからな。前にも言っただろ、俺はほとんど一人だったって」
「お前……よくグレなかったな……」
「いや、グレてるよ。キャリアにはならなかったしな」
「ノンキャリアの警察官になることは、全くグレてなくない?」
むしろグレていた少年が改心してなるような職業じゃないか?
廊下の埃を掃きながら思う。
「俺の周りにはそう言ってくれる人がいなかったから。なろうと思えばなれるのに、なんでならないんだと責められていたし」
「正人……」
「学生時代はあまり好きじゃない。だから遥に言わなかったんだ」
「そうだったのか……なんか悪いな、聞いてしまって」
「遥が謝ることじゃないだろ。それに全て話すって言ったしな」
あまり良い思い出がないのに、話してくれたことをとても嬉しく思う。
塵取りでゴミを集めて、ゴミ袋の中に入れていると、正人から聞き返された。
「遥は?どんな学生時代だったんだ?」
「うーん取り立てて何も……楽しかったイメージはあるけど部活には入らなかったし」
「どうして?」
「バイトと家事かな。じいちゃんばあちゃんの年金に頼るわけにもいかなくて」
「……遥は偉いな」
「その、唐突に誉めるのやめてくれないか」
こっちがどういう返事したらいいか困ってしまう。
ふわふわした気持ちを誤魔化すように拭き掃除を始めた。
「そうだ、正人は何の部活に入っていたんだよ?」
「剣道だ。一応、柔道も習わされたが剣道の方が続いた」
「うわーめっちゃ正人っぽい」
「部活は少しだけ楽しかったかな。全国まで行ったし」
「全国!?いつ!?」
「高校だ」
レ、レベルが違う……!
俺が楽しくわいわいやってた時に、ストイックに練習していたのか。なんだか申し訳なくなる。
「なんかごめん」
「なんで遥が謝る必要がある?」
「いや俺高校めっちゃ遊んでたし……」
「どこで遊んだんだ?」
「それはーー」
それから沢山、正人が今まで歩んだ人生を聞いた。
俺とはまた違う、大変な人生だ。そんな中で、側にいる人物を俺に決めてくれて……嬉しかった。
「ありがとう正人!だいぶ綺麗になったよ」
「綺麗になってよかったな」
日もだいぶ傾いてきたころ、掃除は終わった。埃もなくなり、異臭もしなくなった。
きれいになった家を見て満足する。古いけれど、ちゃんと住める家に戻ってよかった。
「正人、ちょっと来てくれ。」
本来訪れて一番最初にするべきことだと思うが、家の汚さに掃除を優先させてしまった。今回の旅行はこれが目的だったのに。掃除が終わったのならば、本来の目的を果たさないといけない。
正人を仏間に呼んで――仏壇に開いた。
「ちゃんと挨拶しないとな」
「……遥」
「ああ、両親と祖父母だ」
そこには、両親の写真と祖父母の写真、そして全員の位牌があった。
仏具の鐘を鳴らし、手を合わせて祈る。
一分ぐらいそうしていたあと、顔をあげて写真を見た。
「右側が遥の両親か?」
「うん。少ししか覚えてないけれど……」
「遥はお母さん似なんだな」
写真には、三歳位の俺を挟んで、幸せそうに写る夫婦がいた。確かに顔はお母さん似で、髪色はお父さん似だ。
「で、こっちがじいちゃんばあちゃん」
「とても嬉しそうなだな」
「ああ、これは俺の入行式の写真だな。二人ともすごく喜んでくれた」
懐かしい。この日は盛大に祝ってくれたっけ。
ばあちゃんが豪華な食事を用意してくれて、じいちゃんから会社勤めの極意を教わった。
「俺が働き始めて安心したのか、じいちゃんは入行して一年後に脳梗塞で亡くなった。そこからだんだん、ばあちゃんが全てのことを忘れだして……亡くなる前には俺のことなんて完全に忘れてた」
「……そうだったのか」
「ばあちゃんの症状が重くなりだしたあたりから、付き合っていた彼女と疎遠になっていったな……ばあちゃんの介護をしないといけなくて、彼女とデートなんて全くしていなかった」
「遥……」
「ばあちゃんが亡くなって寂しくて、でも彼女とは疎遠になっているから甘えられなくて、仕事に没頭した。やっと寂しさに慣れて、俺の人生これからだって思ったら上司に身代わりになって左遷されてさあ……あのときはショックより怒りが来ていたな。何がなんでも戻ってやるって」
あの時の自分を思い出して苦笑する。ド田舎に飛ばされて、めちゃくちゃ荒れていたなあ。
「……都会に戻らなかったこと、後悔してないか?」
「政子さんにも言っただろ?正人がいないと困るって。正人がいなくなったら、今度はきっと寂しさで潰れてしまう」
後ろからぎゅっと抱きしめられる。その温度がとても心地よくて、寄りかかった。
「……遥、前言っていただろう?父親の詳細が分からないって」
「……ああ、そうだけど」
「親族に失踪している人や行方不明の人がいないか、正嗣に調べてもらった。名字が一緒だから、まさかの可能性もあるかもしれないって」
「本当か!?」
勢いよく後ろを振り向く。体ごと正人の正面を向いたから抱きしめてくれた腕を振りほどいてしまった。
ごめん、まだ血縁がいるかもしれないという可能性に興奮しているんだ。それが正人の親族だと、とても嬉しい。
「……悪い、いなかったんだ。そういう人は……」
「そう、か……」
そんな奇跡があるわけがないか……でも、期待してそれが外れた時はやっぱり悲しい。
俯いて、正人の続きの言葉を聞く。
「でもな、やっぱり血よりも何よりも俺は遥が大事だ。俺を孤独から救って、母さんとの仲も取り持ってくれた……遥が大事で愛おしい」
「正人……」
「それでも、血縁がいないことが気になるのならば俺が遥の居場所になろう」
そうして渡されるものは、綺麗に四つに折られたの紙。広げると、パートナーシップ宣誓書と書かれていた。
「これ……」
「そっちでは法的な効力がないから、必要となればこっちも。こっちは警察に勤めているうちは難しいだろうから……少し待ってもらうことになるけれど」
再び渡された紙には、養子縁組届と書かれていた。これは本当に俺の家族になってくれるということの証。
駄目だ、涙が溢れてくる。
もう一人だと嘆かなくていいのだ。
「俺で、いいのか」
「遥以外嫌だ」
「子供は産めないぞ」
「家族に憧れていたけれど子供がほしい訳じゃない。それより愛する人と一緒にいたい」
嬉しくて、嬉しくて涙が止まらない。
その涙を正人は拭ってくれた。
「じゃあ、一つだけ、条件がある」
「何だ?」
「俺より先に死ぬな。もう見送るのは嫌なんだ……俺を看取って」
「ああ、最後のその時まで一緒にいよう」
正人がいるかぎり、俺はもう一人にならない。
お父さん、お母さん、じいちゃん、ばあちゃん。俺今とても幸せだよ。
目を閉じ、降りてくる唇を待った――
澄んだ綺麗な青空、小川のせせらぎ。
そして見渡す限りの山、山、山。
この小さな村が俺の住む場所だ。
俺はもうここから逃げられない。逃げることができない。
「正人、いってきます!」
「いってらっしゃい、遥」
この幸せな檻の中で一生過ごすのだろう。
この、逃げられない檻のなかで。
「遥、ちょっとよっていいか?」
「え、あ、うん」
声を掛けられ、足を止める。正人が寄りたいと言った場所は区役所だった。
一体何の用事だろう?
理由を聞く暇もなく、正人はスタスタと区役所へ入っていった。仕方がないので、外で待つ。
数分後、正人は区役所から出てきた。
「一体何の用だったんだ?」
「いや、まあ、ちょっと」
正人が俺に対して言葉を濁すのは珍しいことだったが、深く聞かないでおくことにした。
せっかく政子さんとのわだかまりもなくなって心地良い気分になっている正人に、余計な詮索をして気が沈むようなことをしたくなかったから。
俺達はたわいもない話をしながら、電車に乗るために駅へ向かった。
電車が大きな音を立てて、止まる。ドアが開き、俺達は古びた駅に降り立った。各駅列車でしか止まらないこの駅は、利用する人もあまりおらず駅員もいない無人駅だ。
けれど、俺には見慣れた駅。高校の時ずっと利用していた駅だ。
――懐かしい。十年前ぐらい前のことのはずなのに、なぜかものすごく懐かしさを感じた。
「改札はこっちだ」
キョロキョロしている正人に声をかけ、先に進む。
駅から出ると、駅前商店街があった。ここに住んでいた頃から廃れかけていた商店街は、今はほぼシャッター街になっている。その様子を見て、少しへこんだ。
人もまばら、廃れた町。ここが、俺が育った場所だった。
「……なんというか、その……活気がないな」
「まあ、ここもお年寄りばかりだからなあ。商店街も継ぐ人がいなくて、閉まってるし」
俺達が住んでいる村もお年寄りばかりだが、こことは違い活気がある。外に出るのが大好きなじいちゃんばあちゃんはよく外で井戸端会議をしたり、カラオケ大会を開いたりしている。
それに比べ、ここは隣人同士の繋がりがあまりないのだろう。立ち話している人はほぼおらず、すれ違う人々は他の人など気にせず家路についていた。
そんな故郷の様子を見て、やはり悲しくなる。その思いを頭から追いやるように、足を踏み出した。
「さあ、俺の実家に行こう」
「ああ」
商店街の中を通りながら、実家に向かう。ここの商店街を通った方が早いからだ。
ここに駄菓子屋があったんだとか、ここの肉屋さんにいつもコロッケ奢ってもらったとか、商店街を紹介しながら歩く。昔のことを話すのが楽しくて、たくさん正人に話してしまった。正人はたまに相づちを打ったり、聞き返したりしてくれる。それがとても嬉しかった。
商店街を抜け、住宅街に入りしばらくすると、俺の実家が見えてきた。少し蔦がからまりつつある、古びた平屋の一戸建て。
「ここか」
「ああ。悪いな、古くて」
「いや、生活感があって良いと思う」
生活感か、ものは言いようだな……俺はオンボロの家としか思えないけど。正人の気遣いに苦笑した。
鍵を開け、横開きの戸を開く。前回訪れたのは退職手続きの為にこちらへ戻った時だ。それ以来ここには来ていない。だからほぼ一年間、この家は使われていなかったことになる。
玄関から中に入ると、目の前は埃だらけだった。それに変な臭いもする。人が住まなくなると家は劣化するとはよく言ったもんで、約一年間で確実に老朽化は進んでいた。
「これは……ちょっとヤバいな」
「掃除しようか。遥、道具はあるか?」
この状況を見かねた正人が提案をしてくれ、二人で家を掃除することにした。
窓を全開にし、掃除道具を取り出す。
「ガスだけ止めてて、電気と水道は止めていないんだ。だからブレーカーを入れると電気つくと思う。」
「分かった」
正人がブレーカーを入れると、家の中がパッと明るくなる。良かった、ちゃんとつくみたいだ。
水道と電気の基本料金を考えると、誰も住まないのに止めないのはもったいないとも思った。けれど、それまで止めてしまうとこの家が完全に死んでしまうような気がして出来なかった。
蛇口を捻ると水もちゃんと出てきて安心する。まだ家としての機能は保っているようだ。
「さて、じゃあ掃除するか!」
バケツに水を入れ、雑巾やほうきを使い、俺達は一斉に掃除を始めた。
リビング、洗面台、台所……それぞれ掃除していくたびに、ここに住んでいた時のことを思い出し目を細める。
ばあちゃんも、ここで料理していたな。そのレシピを俺が習って、作るようになって……いつの日かの光景が目に浮かぶ。
あまり眺めると感傷に浸りそうだったら、慌てて思考を切り替えて、もくもくと掃除を再開した。
「そういえば、正人どこに行ったんだ?」
確か玄関辺りを掃除していたはずだったが……玄関に行っても姿が見えない。
――まさか!
焦りながら玄関近くの部屋の開けると、思った通り正人はその部屋――俺の部屋にいた。社会人になると同時に一人暮らしを始めたので、大学の時まで使っていた。
どうやら部屋を詮索しらしい。正人が手に持っているものを見て俺は絶句した。
「お前っ何やってんだ!」
「遥、こんなのが好みだったんだな」
正人は俺が隠していたエロ本やエロDVDを持っていた。恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
そんな初めて家に来た彼女みたいなことをしないでほしいんだけどな!!
「どこでそれ見つけた!?返せよ!」
「禁断の教師と生徒、禁断のナースと患者……へぇーふーん……あ、警察官モノもあるじゃないか」
「やめろおおおお!!」
もう顔から火が出そうだった。
そうだよ、一時期職業系にハマっていたんだよ。眠っていた記憶が最低の形で露になってしまった。
「そうか、コスプレが好きなのか……俺が制服着ていた時の方が反応いいしな」
「んなわけないだろ!はい、これで終わり!」
無理矢理奪い取りエロ本達をベッドの下に滑り込ませた。一番奥の壁に当たった音がする。これでもう容易にはとれないだろう。
本当にこれどこで見つけたんだ!?俺も忘れていたものばっかだぞ!
「ここはいいから!もうでてけ!!」
「遥待ってくれ、ちょっと聞きたいことがあるんだ」
散々いじり倒して何聞くんだよと思ったが、クローゼットの中を指差されて止まる。
そこには緑のブレザーと黄土色のズボン――俺の高校の制服が入っていた。
「あれはどこの学校の制服だ?」
「……柳第一高校。ここから一番近い高校だよ。ここから二、三駅先にある。」
知らないな、と正人は首をかしげていた。それもそうだ。あんまり偏差値が高くないのだから。だから大学は良いところにと相当頑張ったんだ。
「正人は?」
「明瞭高校だ」
「うぇっあの最難関の!?だっ大学は!?」
「帝東大」
「……すごいなお前」
帝東大学って言ったら国内最高峰だぞ。キャリアになれなかった、じゃなくて、ならなかったと言ってた時点で、多分頭がいいのかなとは思っていたけど……予想の上を行っていた。
そんな知能持っているなら俺のエロ本もって茶化さないでほしい。
「遥は?」
「文政大。お前と比べると全然だ。……ってか、何で今こんなこと初めて知ってんだよ」
友達なら普通に知っているようなこと、体まで合わせているのに知らないだなんて。おかしくて笑えてきた。
「俺、正嗣に言われたこと、めっちゃショックだったんだからな」
「言われたこと?」
「正人について何も知らないということ」
軽口で返したやったが、それでもやっぱり傷ついている。恋人なのに従兄弟の方が正人のことよく知っているだなんて、情けなさすぎる。
「……それは悪かった。遥には全て教えるよ。どこから話す?」
「んーどんな学生時代だったとか。あ、でも掃除しながらな」
それぞれ放置していた掃除道具を持って、再び掃除を始める。
俺は玄関に繋がる廊下、正人は玄関を掃除始めた。
「学生時代か……そんなにいいものじゃなかったな。行く学校も部活も決められていたし」
「えっ!?そんなことも決められてたの!?」
「ああ。キャリアになるために、父から全てを決められていた」
「政子さん何も言わなかったのかよ?」
「母さんのいないところで言われていたからな。前にも言っただろ、俺はほとんど一人だったって」
「お前……よくグレなかったな……」
「いや、グレてるよ。キャリアにはならなかったしな」
「ノンキャリアの警察官になることは、全くグレてなくない?」
むしろグレていた少年が改心してなるような職業じゃないか?
廊下の埃を掃きながら思う。
「俺の周りにはそう言ってくれる人がいなかったから。なろうと思えばなれるのに、なんでならないんだと責められていたし」
「正人……」
「学生時代はあまり好きじゃない。だから遥に言わなかったんだ」
「そうだったのか……なんか悪いな、聞いてしまって」
「遥が謝ることじゃないだろ。それに全て話すって言ったしな」
あまり良い思い出がないのに、話してくれたことをとても嬉しく思う。
塵取りでゴミを集めて、ゴミ袋の中に入れていると、正人から聞き返された。
「遥は?どんな学生時代だったんだ?」
「うーん取り立てて何も……楽しかったイメージはあるけど部活には入らなかったし」
「どうして?」
「バイトと家事かな。じいちゃんばあちゃんの年金に頼るわけにもいかなくて」
「……遥は偉いな」
「その、唐突に誉めるのやめてくれないか」
こっちがどういう返事したらいいか困ってしまう。
ふわふわした気持ちを誤魔化すように拭き掃除を始めた。
「そうだ、正人は何の部活に入っていたんだよ?」
「剣道だ。一応、柔道も習わされたが剣道の方が続いた」
「うわーめっちゃ正人っぽい」
「部活は少しだけ楽しかったかな。全国まで行ったし」
「全国!?いつ!?」
「高校だ」
レ、レベルが違う……!
俺が楽しくわいわいやってた時に、ストイックに練習していたのか。なんだか申し訳なくなる。
「なんかごめん」
「なんで遥が謝る必要がある?」
「いや俺高校めっちゃ遊んでたし……」
「どこで遊んだんだ?」
「それはーー」
それから沢山、正人が今まで歩んだ人生を聞いた。
俺とはまた違う、大変な人生だ。そんな中で、側にいる人物を俺に決めてくれて……嬉しかった。
「ありがとう正人!だいぶ綺麗になったよ」
「綺麗になってよかったな」
日もだいぶ傾いてきたころ、掃除は終わった。埃もなくなり、異臭もしなくなった。
きれいになった家を見て満足する。古いけれど、ちゃんと住める家に戻ってよかった。
「正人、ちょっと来てくれ。」
本来訪れて一番最初にするべきことだと思うが、家の汚さに掃除を優先させてしまった。今回の旅行はこれが目的だったのに。掃除が終わったのならば、本来の目的を果たさないといけない。
正人を仏間に呼んで――仏壇に開いた。
「ちゃんと挨拶しないとな」
「……遥」
「ああ、両親と祖父母だ」
そこには、両親の写真と祖父母の写真、そして全員の位牌があった。
仏具の鐘を鳴らし、手を合わせて祈る。
一分ぐらいそうしていたあと、顔をあげて写真を見た。
「右側が遥の両親か?」
「うん。少ししか覚えてないけれど……」
「遥はお母さん似なんだな」
写真には、三歳位の俺を挟んで、幸せそうに写る夫婦がいた。確かに顔はお母さん似で、髪色はお父さん似だ。
「で、こっちがじいちゃんばあちゃん」
「とても嬉しそうなだな」
「ああ、これは俺の入行式の写真だな。二人ともすごく喜んでくれた」
懐かしい。この日は盛大に祝ってくれたっけ。
ばあちゃんが豪華な食事を用意してくれて、じいちゃんから会社勤めの極意を教わった。
「俺が働き始めて安心したのか、じいちゃんは入行して一年後に脳梗塞で亡くなった。そこからだんだん、ばあちゃんが全てのことを忘れだして……亡くなる前には俺のことなんて完全に忘れてた」
「……そうだったのか」
「ばあちゃんの症状が重くなりだしたあたりから、付き合っていた彼女と疎遠になっていったな……ばあちゃんの介護をしないといけなくて、彼女とデートなんて全くしていなかった」
「遥……」
「ばあちゃんが亡くなって寂しくて、でも彼女とは疎遠になっているから甘えられなくて、仕事に没頭した。やっと寂しさに慣れて、俺の人生これからだって思ったら上司に身代わりになって左遷されてさあ……あのときはショックより怒りが来ていたな。何がなんでも戻ってやるって」
あの時の自分を思い出して苦笑する。ド田舎に飛ばされて、めちゃくちゃ荒れていたなあ。
「……都会に戻らなかったこと、後悔してないか?」
「政子さんにも言っただろ?正人がいないと困るって。正人がいなくなったら、今度はきっと寂しさで潰れてしまう」
後ろからぎゅっと抱きしめられる。その温度がとても心地よくて、寄りかかった。
「……遥、前言っていただろう?父親の詳細が分からないって」
「……ああ、そうだけど」
「親族に失踪している人や行方不明の人がいないか、正嗣に調べてもらった。名字が一緒だから、まさかの可能性もあるかもしれないって」
「本当か!?」
勢いよく後ろを振り向く。体ごと正人の正面を向いたから抱きしめてくれた腕を振りほどいてしまった。
ごめん、まだ血縁がいるかもしれないという可能性に興奮しているんだ。それが正人の親族だと、とても嬉しい。
「……悪い、いなかったんだ。そういう人は……」
「そう、か……」
そんな奇跡があるわけがないか……でも、期待してそれが外れた時はやっぱり悲しい。
俯いて、正人の続きの言葉を聞く。
「でもな、やっぱり血よりも何よりも俺は遥が大事だ。俺を孤独から救って、母さんとの仲も取り持ってくれた……遥が大事で愛おしい」
「正人……」
「それでも、血縁がいないことが気になるのならば俺が遥の居場所になろう」
そうして渡されるものは、綺麗に四つに折られたの紙。広げると、パートナーシップ宣誓書と書かれていた。
「これ……」
「そっちでは法的な効力がないから、必要となればこっちも。こっちは警察に勤めているうちは難しいだろうから……少し待ってもらうことになるけれど」
再び渡された紙には、養子縁組届と書かれていた。これは本当に俺の家族になってくれるということの証。
駄目だ、涙が溢れてくる。
もう一人だと嘆かなくていいのだ。
「俺で、いいのか」
「遥以外嫌だ」
「子供は産めないぞ」
「家族に憧れていたけれど子供がほしい訳じゃない。それより愛する人と一緒にいたい」
嬉しくて、嬉しくて涙が止まらない。
その涙を正人は拭ってくれた。
「じゃあ、一つだけ、条件がある」
「何だ?」
「俺より先に死ぬな。もう見送るのは嫌なんだ……俺を看取って」
「ああ、最後のその時まで一緒にいよう」
正人がいるかぎり、俺はもう一人にならない。
お父さん、お母さん、じいちゃん、ばあちゃん。俺今とても幸せだよ。
目を閉じ、降りてくる唇を待った――
澄んだ綺麗な青空、小川のせせらぎ。
そして見渡す限りの山、山、山。
この小さな村が俺の住む場所だ。
俺はもうここから逃げられない。逃げることができない。
「正人、いってきます!」
「いってらっしゃい、遥」
この幸せな檻の中で一生過ごすのだろう。
この、逃げられない檻のなかで。
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前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
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花香る人
佐治尚実
BL
平凡な高校生のユイトは、なぜか美形ハイスペックの同学年のカイと親友であった。
いつも自分のことを気に掛けてくれるカイは、とても美しく優しい。
自分のような取り柄もない人間はカイに不釣り合いだ、とユイトは内心悩んでいた。
ある高校二年の冬、二人は図書館で過ごしていた。毎日カイが聞いてくる問いに、ユイトはその日初めて嘘を吐いた。
もしも親友が主人公に思いを寄せてたら
ユイト 平凡、大人しい
カイ 美形、変態、裏表激しい
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
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片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
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Original drug
佐治尚実
BL
ある薬を愛しい恋人の翔祐に服用させた医薬品会社に勤める一条は、この日を数年間も待ち望んでいた。
翔祐(しょうすけ) 一条との家に軟禁されている 平凡 一条の恋人 敬語
一条(いちじょう) 医薬品会社の執行役員
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
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隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
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ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
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完結お疲れ様です…!!!最初から最後まで楽しんで読ませていただきました…!!
彼らの未来が幸福に溢れんことを✨
ウハーーーーッほんとにこのお話に出会えて良かった……
完結おめでとうございます🎊
ハッピーエンドで良かったです😄
末長くお幸せに😊
めっっっっっっっっっっちゃ好きです。バリ好きです。大好物です。
漫画の方も読ませていただきました。徹底したヤンデレっぷり、大好きです。
遥が正人の服を着たときの描写や、遥の心情もしっかりと書かれていて、楽しくドッキドキしながら読めました。もう撃ち抜かれる心が無いほどに遥と正人がてぇてぇです