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後編
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夜まで続いた部活はようやく終了し、家へと帰った。
家に着くと、風呂に入りご飯を食べて今日の疲れを癒す。それでも気分は落ち込んだままで、ご飯もあまり味がしなかった。
今日は早く寝たほうがいいかもしれない。味のしないご飯をなんとか食べ終わったあと、寝るために二階の自分の部屋へと向かった。
電気をつけ、ベッドに寝転んだとき、コンコンと窓が叩かれた。その音を聞いて、上半身だけ起き上がる。
カーテンを閉めているから姿は見えないが、ベランダから来る人物なんて一人しかいない。何年も続く、俺達の合図。
だけど俺はそれを無視した。もう、俺の部屋に入れる気はない。すると、ソイツは痺れを切らしたのか、苛立ちながら話しかけてきた。
「剛、開けて」
「別れるって言っただろ。俺はもうお前とセックスはしない」
「……なんで」
「俺とお前の為だ。普通の友達同士に戻ろう」
真一が息を飲んだのが分かる。俺は何も言葉をかけなかった。お互いに黙り、その場が静寂に包まれる。
いいんだ、これで。こうした方がお互いの為なんだから。
もうだいぶ沈黙が続いている。真一は部屋に戻ったのかもしれない。緊張を解き、ベッドに寝転んだ。
その時。
ガシャアアアンと大きな音を立てて。
窓のガラスが、割れた。
「……は」
割られた窓から勢いよく風が吹く。カーテンが靡き、割った人物の姿を表した。
「許さないよ」
そこには妙に座った目で俺を見る真一がいた。その左手は血が滴っている。
「お前っちょっ、馬鹿野郎!!」
何やらかすか分からなかったけれど、まさか窓ガラスを割って侵入するなんて!
真一は割れた窓から手を入れて、鍵を開け入ってきた。急いで起き上がり、真一に駆け寄る。
「何やってんだ!早く手当てをしないと!!」
「剛」
なんだ?と顔を上げ返事をしようとしたら、いきなりベッドに突き飛ばされた。腹に馬乗りされ、身動きが出来なくなる。
「何しやがる!」
「心配しているなら、舐めて」
ずいっと血が滴る手を差し出してくる。有無を言わせない顔だ。舐めないと、きっと手当てもさせてくれない。
おずおずと舌をだし、ちろっと舐めた。
うっ、血特有の鉄の味。人の血を舐めるなんて、初めてだ。何とも言えない気持ちになった。
「あはぁ!剛が舐めている、俺の血をっ!」
ヤバいコイツ。何かが振り切れてやがる。
真一は嬉々として俺に傷口を押し付けてくる。口の中は血だらけになってしまった。
「もっと舐めて。ねぇ、俺の遺伝子取り込んで」
「むぐっ……ぅ!」
はあはあと荒い息をして俺を見るその目は異常だ。このままでは、きっと取り返しのつかないことをされる。
早く、正気に戻さないと。そう思うのに真一が俺の腹に座っているせいで動けない。
どうすれば。途方に暮れていたその時、ドスドスと大きな音を立てて希望の人物がやってきた。
この音は…!よかった気づいてくれた!
一縷の望みをかけてドアに視線を向ける。その人物は勢いよく俺の部屋のドアを開けた。
「剛!何してんの!?」
「母ちゃん!!」
希望の人物。それは俺の母ちゃんだ。
窓が割られ、馬乗りされ俺の顔は血だらけだ。いくら適当な母ちゃんだってこの異様さには気づくはず。
なのに。
「あらあら痴話喧嘩?全くもー、自分達で修理しなさいよ。あ、今日私夜勤だから戸締まりよろしくね」
「母ちゃん!たすけ……」
「ありがとうございます。お義母さん」
あのクソババア!!
自分の息子が襲われているんだぞ!何も思わないのか!!
クソババアはドアを閉め、またドスドスと音を立てて下へと降りていった。
しかも、今日は夜勤だと?父さんは出張で弟は友達の家に泊まりに行くと言っていた。じゃあ、今日この家には、俺一人。
それは助けがこないということだ。
「剛の家族は買収済みだよ」
嘘だろ。
じゃあコイツはこの状況になるよう、俺達家族を動かしたってことで。
「さあ、今から出産しようね?」
そう笑う奴の顔は酷く歪んでいた。
「ん、……はあ美味しいなあ、剛のおっぱい。もうすぐここからミルクがでるようになるからね?」
「ならねぇよ、ぁっ」
「こんなに敏感になって、部活の時とかでも感じちゃうよねぇ?だから絆創膏してるんだ?」
「なんで知ってんだお前!」
ああクソ!クソ!!最悪だ!
結局俺は真一に組敷かれている。逃げようとしたらケガしている左手で捕まれ、それ以上動けなくなってしまう。
「はあ……もっと喘いでいいんだよ?剛の可愛い声聞きたいな?」
「っ……嫌だ、んっ!」
さっきから奴はシャツをたくしあげ、乳首を執拗に舐めている。ベロベロ舐めて、時には甘噛みして。
やめろ。こんなところで感じたくないのに。
「そっか、そっか。じゃあ別のミルクを絞り取ろうかなぁ?そしたら可愛い鳴き声聞けるよね?」
「は、何を……あっ!!」
いつの間にか奴は俺の半ズボンからちんこを取り出していた。それをぐしゅぐしゅと上下に擦られる。しかも、ケガをしている左手で。
「馬鹿、やめろ!んっ、傷口からっ……はぁ、雑菌入るだろ!!」
「剛の菌なら喜んで受け入れるよ?あれ、いつもより早いなぁ?もしかして血に興奮しているの?」
そんな変態なわけないだろが!
そう弁解したいのに、俺のちんこは立派に立ち上がってしまっている。嘘だ、違う。ああクソ、なんでこんな事になってんだ!
「血管が浮き出てきて…早くびゅくびゅく射精したいんだよねぇ?」
「ちがっ、違うっ……!」
「嘘つき」
「ああぁっ!!」
ずるぅっと勢いよく裏筋を擦られ、俺は達してしまう。奴の手の中に。それを見たくなくて、目を反らした。
「ね、剛見て?すごい色」
けれど真一のその声を聞いて思わずそちらを見てしまう。
奴の左手は自分の血と俺の精液が混じりあって、思わず目をそらしたくなる状況になっていた。白と赤が混ざってグロテスク以外の何ものでもない。
しかし、あろうことか奴はそれを舐めとった。
「んっ……はあ、美味しいよぉ……」
「だからお前っ!!」
急いで起き上がり、それを止める。こんなもの舐めたらどうなるか分からない。ベッドサイドにあるティッシュを使い、それを拭き取った。
「積極的で嬉しいな。でも、もっと別のことで積極的になってほしいけど」
「俺が悪かった!もう別れるなんて言わないから!もうやめてくれ!!」
俺が別れるって言ったからこんなことになっているのだったら、嘘でもなんでもついて、それを撤回しないと。これ以上はヤバい。
けれど、真一は俺の言葉を一笑に付し、そして再び押し倒される。
「止めないよ?だって剛は今日ママになるんだから。俺達家族になんの」
「だから無理だって言ってるだろ……」
「大丈夫。生む子供はこっちで用意するから!」
その手に握られていたのは小さい卵形のもの。
もうコイツに何言っても無理だと気付いた。
「んっ、やめろっ!マジで……!」
「そんな事言って、剛のおまんこはないはもっともっとってひくついているよ?」
「ケツの穴だ馬鹿!」
ぐちゅぐちゅうるさい。
卵形の何かを入れる為、俺の後ろの穴はこれ以上ないほど広げられていた。
「ここだよね?剛の良い所」
「……っあ!」
しかもコイツ俺の良い所を的確についてくるもんだから、また俺の一物は立派に勃ち上がってしまう。
やめろ、そこを押すな。気が狂いそうになるから。
「ああ、もう中でこんなに反応して。立派なメスだよ。俺だけの」
「んあっ……やめろ、ふっ!」
「まだ減らず口は止まらないようだね?」
すうっと真一の目が鋭くなる。その視線の鋭さにビクリと震えてしまった。
「あ、わる……」
「じゃあそろそろママになってもらおうかな。大分広がったしね」
それを聞いて一気に青ざめる。あんなん入れて出なくなったらどうするんだ。これだけは許してはいけない。
「やめろ!!止めてくれ!!」
「もう、暴れないで。卵入らないでしょ?」
必死に暴れる俺を怪我をした左手で押さえつける。その左手は再び血が滴り始めていて、それを見て俺は動きを止めてしまう。
クソ、コイツ確信犯だな。
そうこうしているうちに卵が、俺の穴に押し付けられる。
「お前マジで止めろ!頼むから!!」
「ざーんねんでした!」
「うあっ!!」
俺の懇願も虚しく、無慈悲に卵を一気に俺の中へ入れられてしまった。けれどまだ出入口の近くにある。少し力めば、出るかもしれない。腹に力を入れたその時。
「もっと、奥に入れないとね!!」
「うぐぅっ!?」
容赦なく奴のちんこを挿入され、押された卵が一気に最奥へとかけ上がる。ヤバい、こんな所までっ……!
卵が奥を刺激する。やめてくれ、そこは弱いんだ。
「やめっ……はぁっんあっ!!」
「どう?卵に犯されてる気は?とっても気持ち良さそうだねぇ、剛の子宮口ぐちぐちされて気持ちいいんだよねぇ?」
だから俺に子宮なんてないっつってんだろが!!
けれど俺はみっともなく喘ぐことしかできない。結腸をぐりぐりと開かれ快楽の波が押し寄せる。
「あはっ!剛のおまんこきゅうきゅうに締め付けてくるよ!大好きって言ってるよ?」
「おれっ、おまえ……んあ!なんかっ、あぁ!好きじゃない!!」
「なんでそんな事いうの!!」
「ひいっ!!」
「なんでなんでなんで!!」
俺を責めるように、奴のちんこが抜き差しされる。卵がごりごりと結腸を押し開く。言い訳すら言えないほど追い詰められる。
「あっああっ、んっ、うぁああっ!!」
「別れるなんて認めない許さない許さない絶対許さない!!!」
真一がピストンのスピードを速める。こいつ、出すつもりか!?やめろ、中に卵があるんだぞ!!
「やめっ……あ、っやめろ!!」
「黙れ!!」
叱るように、俺のちんこの先端をぐりぃっと押し潰される。駄目だ我慢できない!!
ビュルルと真一の手の中に出してしまう。同時にぎゅっと後ろを締め付けてしまったせいで、真一も射精してしまった。
熱い精液が卵を更に奥へと押し上げる。
本当に出しやがったっアイツ!
全力で真一を殴りたい。けれど無理矢理抱かれた体はびくびくと痙攣するばかりで動かない。
本当、もう、なんでこんなことに。体力戻ったら一発殴ってやる。
しかし、ポタポタと熱い雫が腹の上に落ちてきて思わず固まってしまった。ぐずっと鼻も啜るような音も聞こえる。
俺はおそるおそる真一の顔を覗き込んだ。
「真一……?」
「なんで……そんな事言うの…?本当に嫌いになったの?」
顔を上げた真一はポロポロと涙を流していた。その涙を見て胸が締め付けられる。怒りは段々と静まっていった。
「なんで別れるなんて言ったの?ねぇ、なんで?なんで俺のこと嫌いになった?嫌なところがあれば直すから……理由を教えてよ……!」
そうだ、俺は理由を言ってなかった。そりゃ理由聞かずにいきなり別れるなんて言われたらショック受けるはずだ。
自分で自己完結して、真一の気持ちを全く考えていなかった。
「俺は嫌だよ……別れたくないよ……」
でも、別れないと。
俺と別れて、良い大学に行って、彼女、作って…その子と、結婚して。
それが最良の幸せだと思うんだよ。俺はお前に幸せになってほしいから。
「何か言ってよ、ねえ、なんで?」
だから真一が納得するような、嘘を考えて、俺を嫌いになってくれないと。
けれど、何も思いつかない。真一が悲しんでいる姿をみると、嘘なんかつけないんだ。
「つよしぃ……」
ああもう、泣くな馬鹿。悪かった。俺が悪かったから。
そんなに泣いて、辛い思いをさせてしまうくらいだったら、全て話すよ。
「……先生に、言われたんだ。俺がお前の人生を縛っているって」
「は?何それ殺すけど」
そんな真顔で言うなやめろ。
真一はガバッと顔を上げ食い入るように俺を見てくる。
つか、お前涙はどこにいったんだよ。
「先生は悪くない。俺も思ってたんだ。お前の人生縛ってるって。だってお前俺と同じ学校行きたいからってレベル下げただろ?」
「それは……」
「俺は、俺のせいでお前の可能性を潰したくないんだ。お前には最良の未来を掴んでほしい。だから、別れる」
これが、俺の気持ちだ。
こんな身勝手な理由、きっと真一は怒るだろう。責めるだろう。だから、怒られるのを待っていた。
けれど、真一は逆に目をキラキラと輝かせて俺を見ていた。ふわっと頬に左手を添えられる。
「……ありがとう、剛。俺の為だったんだね」
「だからな、俺なんか忘れて、良い大学に――」
「剛はそれでいいの?良い大学行って、俺が女子と付き合ってもいいの?」
「それはっ……」
「結婚して、家庭を持ってもいいの?」
「っ……」
「俺はもう、剛の側にいなくなるんだよ?」
頭が真っ白になる。
想像していたつもりだった。でも、真一本人から言われるとより現実みが増して、その情景をはっきりと映し出す。
知らない女性が真一の隣にいて、子供達がいて、俺は遠くからそれを眺めている…
「っいやだ!」
気付いたら叫んでいた。
真一がニィと口角を上げる。
「いやだってどういうこと?ねぇ?」
ああ、やべぇ、気づいちまった。
恥ずかしすぎて、顔を背ける。でも、真一は許さないとばかりに顔の向きを戻し、目線を合わせる。
その蕩けたように甘い目で見られると、ぞくぞくする。
変態で、めちゃくちゃ言葉攻めしてきて、性格もひん曲がっているコイツだけど、隣にいないなんて想像もできない。
くそ、認めたくなかったのに。
俺は真一のことが大好きなんだ。
「お前が好きなんだよ……くそが……」
「ホラね、俺達は離れられないんだよ」
顔を傾けられ、キスをする。唇を合わせるだけのキスなのに、今までのどのキスよりも甘く響いた。
ずちゅっと腰を動かされる。そうだった、真一の一物を咥えたままだったんだ。まるで一つだったもの分かれるような感覚に耐えられなくて、締め付けてしまう。
「ふふ、ぎゅっと締め付けて、そんなに離れたくないのかな?」
「っるさい……」
「下のお口は正直なのに、上のお口は正直じゃないなあ?じゃあ正直にしないとね!」
「うぁっ!!」
限界まで引き出したものを、一気に突っ込まれる。奥にある卵が更に奥へとめり込む。
「……あっ!ふっ、っん!」
「ちょっと正直になったね?でもまだまだだなぁ。もっとよがり狂ってよ!!」
前立腺を擦りながら結腸へ。今までにない激しい動きに、目の前がチカチカする。駄目だ、喘ぐことしかできない。
「あっ!ぅっあぁっ!!はっ……あっ!!」
「ああ!可愛い!可愛いよ!!剛っ!俺のお嫁さんだからね!だから孕めよ!いいな!?」
ぐちゃぐちゃパンパン、厭らしい音が響く。
もうこの空間に酔いそうだ。腰を振るスピードが速くなる。こいつ、また出すつもりだな!?やめろ、これ以上出されたら……!!
「剛っ俺のザーメン受け止めろ!」
「やめっ……んあぁぁぁっ!!」
熱い精液が一気に流れ込む。その圧とさっきの出した精液に押されて卵が更に奥へと行ってしまった。ぐにぃっと奥を押さえつけられ、その刺激で俺も達してしまう。パタタと精液が腹の上に落ちた。
「あは、メスイキしたね?前触ってないのに。もう、女の子だね?」
「……うるせぇ、黙れ変態。」
真一はゆっくりとちんこを出す。その時わざと前立腺を擦っていきやがった。
達したあとの体にはきつい刺激が再び襲う。最後までしつこい奴だ。
「さ、剛。今から出産しようね?」
「……は?何言ってるんだ?」
とうとう頭が沸いたのかと思った。出産なんて出来るわけないのに。
けれどこれだよ、と卵がある場所を押されると嫌でも気づいてしまう。
「出産させるって言ってたでしょ?ホラ、力んで」
「まて、まて、いや、出さないといけないけれど!」
こんなすぐ、いきなりなんて俺の心が追い付かない。
真一はそんなのお構い無しに腹を押してくる。少しずつ卵が動いているような気がした。
「ひっひっふー」
「押すな馬鹿っ……!」
力めば力むほど、俺の穴から真一の精液が垂れ流れてくる。もうやだ、恥ずかしくて死にそうだ。
「ひっひっふー」
「ん、あ……」
大分降りてきた。あとちょっと力めば、出る。なのに真一は指を突っ込んで止めてしまった。
「馬鹿!何しやがる!!」
「もう二度と別れるなんて言わないように。ねぇ、二度と言わないよね?」
「言わない!言わないから!!」
だから卵を掴んで前立腺をぐりぐり押すな!
やめろ、また変な気持ちになる!
「よし、じゃあいいよ。俺達な子供を産んで?」
「あっあああっ!!」
排泄にも似たような感覚。しわを広げコロンと卵は落ちていった。真一はそれを食い入るように見ている。もう恥ずかしすぎて死にそうだ。
つか、真一のちんこまた元気になっていないか?コイツなんでここまで変態なんだ。
「産まれたね、俺達の子供。大切にしようね?」
「もうどうにでもしろよ……」
ものすごく深いため息をついて、またはあはあと興奮している真一を受け入れた。
*
ピピピと鳥のさえずりが聞こえる。朝かと気づいて目を開けると、部屋は大惨事になっていた。
ガラスは割れ、床も壁も血だらけ、ベッドは血に加え精液らしきカピカピしたものが大量にこびりついている。
殺人現場か?ここは。
あまりにもな惨状に呆然としていたが、真一が抱きついてきたおかげで大事な事を思い出した。
そうだ真一の手!怪我してたはずだ!
急いで起き上がり、真一を無理矢理剥がして怪我した左手を見る。
血はもう出ていないようだったが、左手全体が血まみれのまま固まっている。
こんな状態でアイツ昨日やってたのか。思ったよりの重症っぷりにさあっと青くなってしまう。
この傷口から菌が入って、変な病気にかかってしまったらどうするんだ。急いで手当てしないと、消毒液…より先に洗った方がいいか?
「俺のことでそんな表情ころころ変えているのかな?それだったら嬉しいな」
「真一!起きたのか!」
なら手を洗うぞ!と風呂場まで行こうとしたのだが、待ってと引き留められる。
手には昨日の卵。それをパカッと割り、中身を見せてきた。
というか、その中に何か入っていたのかよ!
「なんだ、それ。黒い粒?」
「花の種だよ。これを俺達で育てよう。いつまでも、一緒に」
俺達では子供ができないからね、と真一は苦笑する。
分かってんなら、昨日みたいなことは止めろよと言ってやりたかったが、少し寂しそうに言うもんだからその言葉を飲み込む。
「花言葉は、永遠の愛。花は咲いてからのお楽しみ」
「……俺で、いいのか」
「言っておくけれど、俺の最良の未来は剛がいないと成り立たないからね?」
昨日の俺が言ったことの意趣返しのように言われて、今度は俺が苦笑してしまった。真一の前に座り、その種を受け取る。
「じゃあ、育てよう。永遠の愛を」
「ありがとう……剛」
キスしようとする顔をバチンと右手で阻止した。それよりも大事なことがあるだろう。
「ホラ、立て。風呂場へ行くぞ」
「ええ~今いい感じだったじゃん……」
無理やり立たせ一緒に風呂場へと向かう。真一はぶーぶー文句を言っていた。
仕方ない、あまり言いたくないが風呂場へ行かせるためにとっておきのことを言ってやろう。
本当に仕方ないが。
「お前が大事だって言ってんだ。だから早く治せ」
「っ剛!!俺も世界で一番大好きだよ!!」
「抱きつくな!傷に触るだろが!!」
じゃれあいながら風呂場へと向かう。
きっと、俺たちはもう離れないだろう。
*
あれから俺の部屋はリフォームが必要だということで使えなくなってしまった。だから、今は真一の部屋で寝泊まりしている。
ベランダにはあの日受け取った種を植えたプランターがあり、それを弄くっていると後ろから声をかけられた。
「また見てるの?」
「いつ何が起こるかわからんだろ」
俺は暇なとき、このプランターを観察するようになった。あの種からこんなちっちゃい芽が出てくると愛おしく感じる。
「あ、そろそろ間引きしなきゃね」
「ま、間引き!?」
か、可哀想だろ!こんなに一生懸命咲いているのに!?
思わず真一から花達を庇ってしまった。
「いや、間引きしないと全て枯れるからね。これは仕方ないことなんだよ」
「……そうか」
でもせっかく一生懸命育っているのに、摘み取るのは心が痛む。間引きした芽を別のプランターで育てられないだろうか?
うんうん唸っていると後ろから抱きつかれた。
「剛がこの花を大切にしてくれて嬉しい」
「俺達の花、なんだろ?」
そうだよと真一は嬉しそうにクスクスと笑う。それに釣られて俺も笑ってしまった。
「剛、俺T大受けるよ」
「おまっ!あの最高峰の!?」
突然の宣言にビビってしまう。
真一なら簡単に受かるだろう。変態だけど、勉強は出来る奴だから。
ということは、俺に合わせないで学校を選んだってことだ。それも俺なんか太刀打ちできない場所ような最高峰の学校を。
真一の決心をとても嬉しく思う。
でも、そうなると俺と真一はとうとう進路が別れることになるな。自分がお願いしたことなのに、同じ学校もこれで終わりかと考えると、少し寂しくなる。なんやかんや真一と同じ学校は楽しかったから。
その俺の気持ちを汲み取るように、笑いながら真一は話しかけてきた。
「近くにはM大がある。そこは、スポーツ推薦もある」
「……!」
依然学力は高い所だが、スポーツ推薦ならなんとか行けるかもしれない。
「だからね、剛はM大行きなよ。高校卒業したら一緒に住もう?」
「……仕方ないな。」
予想だにせず、俺の進路も決まってしまった。
でも、そこは俺も前から気になっていたところだ。多分、真一はそれも考えて、提案してくれている。その気遣いを嬉しく思った。
よし、真一も進学先を決めたんだ。俺も、頑張らなければ。楽しい大学生活を迎えるために。
「そうなったら勉強手伝え。今から始めるぞ!受験勉強!」
「問題を間違えたら罰ゲームね。間違い一回につきフェラ一回」
「罰重すぎだろ!それ!!まあ、覚悟もって出来るかもな……しゃあねぇ、やってやるよ」
種から発芽した芽たちは見守るように、ゆらゆらと揺れている。
今からどんな花が育つか、楽しみだ。
家に着くと、風呂に入りご飯を食べて今日の疲れを癒す。それでも気分は落ち込んだままで、ご飯もあまり味がしなかった。
今日は早く寝たほうがいいかもしれない。味のしないご飯をなんとか食べ終わったあと、寝るために二階の自分の部屋へと向かった。
電気をつけ、ベッドに寝転んだとき、コンコンと窓が叩かれた。その音を聞いて、上半身だけ起き上がる。
カーテンを閉めているから姿は見えないが、ベランダから来る人物なんて一人しかいない。何年も続く、俺達の合図。
だけど俺はそれを無視した。もう、俺の部屋に入れる気はない。すると、ソイツは痺れを切らしたのか、苛立ちながら話しかけてきた。
「剛、開けて」
「別れるって言っただろ。俺はもうお前とセックスはしない」
「……なんで」
「俺とお前の為だ。普通の友達同士に戻ろう」
真一が息を飲んだのが分かる。俺は何も言葉をかけなかった。お互いに黙り、その場が静寂に包まれる。
いいんだ、これで。こうした方がお互いの為なんだから。
もうだいぶ沈黙が続いている。真一は部屋に戻ったのかもしれない。緊張を解き、ベッドに寝転んだ。
その時。
ガシャアアアンと大きな音を立てて。
窓のガラスが、割れた。
「……は」
割られた窓から勢いよく風が吹く。カーテンが靡き、割った人物の姿を表した。
「許さないよ」
そこには妙に座った目で俺を見る真一がいた。その左手は血が滴っている。
「お前っちょっ、馬鹿野郎!!」
何やらかすか分からなかったけれど、まさか窓ガラスを割って侵入するなんて!
真一は割れた窓から手を入れて、鍵を開け入ってきた。急いで起き上がり、真一に駆け寄る。
「何やってんだ!早く手当てをしないと!!」
「剛」
なんだ?と顔を上げ返事をしようとしたら、いきなりベッドに突き飛ばされた。腹に馬乗りされ、身動きが出来なくなる。
「何しやがる!」
「心配しているなら、舐めて」
ずいっと血が滴る手を差し出してくる。有無を言わせない顔だ。舐めないと、きっと手当てもさせてくれない。
おずおずと舌をだし、ちろっと舐めた。
うっ、血特有の鉄の味。人の血を舐めるなんて、初めてだ。何とも言えない気持ちになった。
「あはぁ!剛が舐めている、俺の血をっ!」
ヤバいコイツ。何かが振り切れてやがる。
真一は嬉々として俺に傷口を押し付けてくる。口の中は血だらけになってしまった。
「もっと舐めて。ねぇ、俺の遺伝子取り込んで」
「むぐっ……ぅ!」
はあはあと荒い息をして俺を見るその目は異常だ。このままでは、きっと取り返しのつかないことをされる。
早く、正気に戻さないと。そう思うのに真一が俺の腹に座っているせいで動けない。
どうすれば。途方に暮れていたその時、ドスドスと大きな音を立てて希望の人物がやってきた。
この音は…!よかった気づいてくれた!
一縷の望みをかけてドアに視線を向ける。その人物は勢いよく俺の部屋のドアを開けた。
「剛!何してんの!?」
「母ちゃん!!」
希望の人物。それは俺の母ちゃんだ。
窓が割られ、馬乗りされ俺の顔は血だらけだ。いくら適当な母ちゃんだってこの異様さには気づくはず。
なのに。
「あらあら痴話喧嘩?全くもー、自分達で修理しなさいよ。あ、今日私夜勤だから戸締まりよろしくね」
「母ちゃん!たすけ……」
「ありがとうございます。お義母さん」
あのクソババア!!
自分の息子が襲われているんだぞ!何も思わないのか!!
クソババアはドアを閉め、またドスドスと音を立てて下へと降りていった。
しかも、今日は夜勤だと?父さんは出張で弟は友達の家に泊まりに行くと言っていた。じゃあ、今日この家には、俺一人。
それは助けがこないということだ。
「剛の家族は買収済みだよ」
嘘だろ。
じゃあコイツはこの状況になるよう、俺達家族を動かしたってことで。
「さあ、今から出産しようね?」
そう笑う奴の顔は酷く歪んでいた。
「ん、……はあ美味しいなあ、剛のおっぱい。もうすぐここからミルクがでるようになるからね?」
「ならねぇよ、ぁっ」
「こんなに敏感になって、部活の時とかでも感じちゃうよねぇ?だから絆創膏してるんだ?」
「なんで知ってんだお前!」
ああクソ!クソ!!最悪だ!
結局俺は真一に組敷かれている。逃げようとしたらケガしている左手で捕まれ、それ以上動けなくなってしまう。
「はあ……もっと喘いでいいんだよ?剛の可愛い声聞きたいな?」
「っ……嫌だ、んっ!」
さっきから奴はシャツをたくしあげ、乳首を執拗に舐めている。ベロベロ舐めて、時には甘噛みして。
やめろ。こんなところで感じたくないのに。
「そっか、そっか。じゃあ別のミルクを絞り取ろうかなぁ?そしたら可愛い鳴き声聞けるよね?」
「は、何を……あっ!!」
いつの間にか奴は俺の半ズボンからちんこを取り出していた。それをぐしゅぐしゅと上下に擦られる。しかも、ケガをしている左手で。
「馬鹿、やめろ!んっ、傷口からっ……はぁ、雑菌入るだろ!!」
「剛の菌なら喜んで受け入れるよ?あれ、いつもより早いなぁ?もしかして血に興奮しているの?」
そんな変態なわけないだろが!
そう弁解したいのに、俺のちんこは立派に立ち上がってしまっている。嘘だ、違う。ああクソ、なんでこんな事になってんだ!
「血管が浮き出てきて…早くびゅくびゅく射精したいんだよねぇ?」
「ちがっ、違うっ……!」
「嘘つき」
「ああぁっ!!」
ずるぅっと勢いよく裏筋を擦られ、俺は達してしまう。奴の手の中に。それを見たくなくて、目を反らした。
「ね、剛見て?すごい色」
けれど真一のその声を聞いて思わずそちらを見てしまう。
奴の左手は自分の血と俺の精液が混じりあって、思わず目をそらしたくなる状況になっていた。白と赤が混ざってグロテスク以外の何ものでもない。
しかし、あろうことか奴はそれを舐めとった。
「んっ……はあ、美味しいよぉ……」
「だからお前っ!!」
急いで起き上がり、それを止める。こんなもの舐めたらどうなるか分からない。ベッドサイドにあるティッシュを使い、それを拭き取った。
「積極的で嬉しいな。でも、もっと別のことで積極的になってほしいけど」
「俺が悪かった!もう別れるなんて言わないから!もうやめてくれ!!」
俺が別れるって言ったからこんなことになっているのだったら、嘘でもなんでもついて、それを撤回しないと。これ以上はヤバい。
けれど、真一は俺の言葉を一笑に付し、そして再び押し倒される。
「止めないよ?だって剛は今日ママになるんだから。俺達家族になんの」
「だから無理だって言ってるだろ……」
「大丈夫。生む子供はこっちで用意するから!」
その手に握られていたのは小さい卵形のもの。
もうコイツに何言っても無理だと気付いた。
「んっ、やめろっ!マジで……!」
「そんな事言って、剛のおまんこはないはもっともっとってひくついているよ?」
「ケツの穴だ馬鹿!」
ぐちゅぐちゅうるさい。
卵形の何かを入れる為、俺の後ろの穴はこれ以上ないほど広げられていた。
「ここだよね?剛の良い所」
「……っあ!」
しかもコイツ俺の良い所を的確についてくるもんだから、また俺の一物は立派に勃ち上がってしまう。
やめろ、そこを押すな。気が狂いそうになるから。
「ああ、もう中でこんなに反応して。立派なメスだよ。俺だけの」
「んあっ……やめろ、ふっ!」
「まだ減らず口は止まらないようだね?」
すうっと真一の目が鋭くなる。その視線の鋭さにビクリと震えてしまった。
「あ、わる……」
「じゃあそろそろママになってもらおうかな。大分広がったしね」
それを聞いて一気に青ざめる。あんなん入れて出なくなったらどうするんだ。これだけは許してはいけない。
「やめろ!!止めてくれ!!」
「もう、暴れないで。卵入らないでしょ?」
必死に暴れる俺を怪我をした左手で押さえつける。その左手は再び血が滴り始めていて、それを見て俺は動きを止めてしまう。
クソ、コイツ確信犯だな。
そうこうしているうちに卵が、俺の穴に押し付けられる。
「お前マジで止めろ!頼むから!!」
「ざーんねんでした!」
「うあっ!!」
俺の懇願も虚しく、無慈悲に卵を一気に俺の中へ入れられてしまった。けれどまだ出入口の近くにある。少し力めば、出るかもしれない。腹に力を入れたその時。
「もっと、奥に入れないとね!!」
「うぐぅっ!?」
容赦なく奴のちんこを挿入され、押された卵が一気に最奥へとかけ上がる。ヤバい、こんな所までっ……!
卵が奥を刺激する。やめてくれ、そこは弱いんだ。
「やめっ……はぁっんあっ!!」
「どう?卵に犯されてる気は?とっても気持ち良さそうだねぇ、剛の子宮口ぐちぐちされて気持ちいいんだよねぇ?」
だから俺に子宮なんてないっつってんだろが!!
けれど俺はみっともなく喘ぐことしかできない。結腸をぐりぐりと開かれ快楽の波が押し寄せる。
「あはっ!剛のおまんこきゅうきゅうに締め付けてくるよ!大好きって言ってるよ?」
「おれっ、おまえ……んあ!なんかっ、あぁ!好きじゃない!!」
「なんでそんな事いうの!!」
「ひいっ!!」
「なんでなんでなんで!!」
俺を責めるように、奴のちんこが抜き差しされる。卵がごりごりと結腸を押し開く。言い訳すら言えないほど追い詰められる。
「あっああっ、んっ、うぁああっ!!」
「別れるなんて認めない許さない許さない絶対許さない!!!」
真一がピストンのスピードを速める。こいつ、出すつもりか!?やめろ、中に卵があるんだぞ!!
「やめっ……あ、っやめろ!!」
「黙れ!!」
叱るように、俺のちんこの先端をぐりぃっと押し潰される。駄目だ我慢できない!!
ビュルルと真一の手の中に出してしまう。同時にぎゅっと後ろを締め付けてしまったせいで、真一も射精してしまった。
熱い精液が卵を更に奥へと押し上げる。
本当に出しやがったっアイツ!
全力で真一を殴りたい。けれど無理矢理抱かれた体はびくびくと痙攣するばかりで動かない。
本当、もう、なんでこんなことに。体力戻ったら一発殴ってやる。
しかし、ポタポタと熱い雫が腹の上に落ちてきて思わず固まってしまった。ぐずっと鼻も啜るような音も聞こえる。
俺はおそるおそる真一の顔を覗き込んだ。
「真一……?」
「なんで……そんな事言うの…?本当に嫌いになったの?」
顔を上げた真一はポロポロと涙を流していた。その涙を見て胸が締め付けられる。怒りは段々と静まっていった。
「なんで別れるなんて言ったの?ねぇ、なんで?なんで俺のこと嫌いになった?嫌なところがあれば直すから……理由を教えてよ……!」
そうだ、俺は理由を言ってなかった。そりゃ理由聞かずにいきなり別れるなんて言われたらショック受けるはずだ。
自分で自己完結して、真一の気持ちを全く考えていなかった。
「俺は嫌だよ……別れたくないよ……」
でも、別れないと。
俺と別れて、良い大学に行って、彼女、作って…その子と、結婚して。
それが最良の幸せだと思うんだよ。俺はお前に幸せになってほしいから。
「何か言ってよ、ねえ、なんで?」
だから真一が納得するような、嘘を考えて、俺を嫌いになってくれないと。
けれど、何も思いつかない。真一が悲しんでいる姿をみると、嘘なんかつけないんだ。
「つよしぃ……」
ああもう、泣くな馬鹿。悪かった。俺が悪かったから。
そんなに泣いて、辛い思いをさせてしまうくらいだったら、全て話すよ。
「……先生に、言われたんだ。俺がお前の人生を縛っているって」
「は?何それ殺すけど」
そんな真顔で言うなやめろ。
真一はガバッと顔を上げ食い入るように俺を見てくる。
つか、お前涙はどこにいったんだよ。
「先生は悪くない。俺も思ってたんだ。お前の人生縛ってるって。だってお前俺と同じ学校行きたいからってレベル下げただろ?」
「それは……」
「俺は、俺のせいでお前の可能性を潰したくないんだ。お前には最良の未来を掴んでほしい。だから、別れる」
これが、俺の気持ちだ。
こんな身勝手な理由、きっと真一は怒るだろう。責めるだろう。だから、怒られるのを待っていた。
けれど、真一は逆に目をキラキラと輝かせて俺を見ていた。ふわっと頬に左手を添えられる。
「……ありがとう、剛。俺の為だったんだね」
「だからな、俺なんか忘れて、良い大学に――」
「剛はそれでいいの?良い大学行って、俺が女子と付き合ってもいいの?」
「それはっ……」
「結婚して、家庭を持ってもいいの?」
「っ……」
「俺はもう、剛の側にいなくなるんだよ?」
頭が真っ白になる。
想像していたつもりだった。でも、真一本人から言われるとより現実みが増して、その情景をはっきりと映し出す。
知らない女性が真一の隣にいて、子供達がいて、俺は遠くからそれを眺めている…
「っいやだ!」
気付いたら叫んでいた。
真一がニィと口角を上げる。
「いやだってどういうこと?ねぇ?」
ああ、やべぇ、気づいちまった。
恥ずかしすぎて、顔を背ける。でも、真一は許さないとばかりに顔の向きを戻し、目線を合わせる。
その蕩けたように甘い目で見られると、ぞくぞくする。
変態で、めちゃくちゃ言葉攻めしてきて、性格もひん曲がっているコイツだけど、隣にいないなんて想像もできない。
くそ、認めたくなかったのに。
俺は真一のことが大好きなんだ。
「お前が好きなんだよ……くそが……」
「ホラね、俺達は離れられないんだよ」
顔を傾けられ、キスをする。唇を合わせるだけのキスなのに、今までのどのキスよりも甘く響いた。
ずちゅっと腰を動かされる。そうだった、真一の一物を咥えたままだったんだ。まるで一つだったもの分かれるような感覚に耐えられなくて、締め付けてしまう。
「ふふ、ぎゅっと締め付けて、そんなに離れたくないのかな?」
「っるさい……」
「下のお口は正直なのに、上のお口は正直じゃないなあ?じゃあ正直にしないとね!」
「うぁっ!!」
限界まで引き出したものを、一気に突っ込まれる。奥にある卵が更に奥へとめり込む。
「……あっ!ふっ、っん!」
「ちょっと正直になったね?でもまだまだだなぁ。もっとよがり狂ってよ!!」
前立腺を擦りながら結腸へ。今までにない激しい動きに、目の前がチカチカする。駄目だ、喘ぐことしかできない。
「あっ!ぅっあぁっ!!はっ……あっ!!」
「ああ!可愛い!可愛いよ!!剛っ!俺のお嫁さんだからね!だから孕めよ!いいな!?」
ぐちゃぐちゃパンパン、厭らしい音が響く。
もうこの空間に酔いそうだ。腰を振るスピードが速くなる。こいつ、また出すつもりだな!?やめろ、これ以上出されたら……!!
「剛っ俺のザーメン受け止めろ!」
「やめっ……んあぁぁぁっ!!」
熱い精液が一気に流れ込む。その圧とさっきの出した精液に押されて卵が更に奥へと行ってしまった。ぐにぃっと奥を押さえつけられ、その刺激で俺も達してしまう。パタタと精液が腹の上に落ちた。
「あは、メスイキしたね?前触ってないのに。もう、女の子だね?」
「……うるせぇ、黙れ変態。」
真一はゆっくりとちんこを出す。その時わざと前立腺を擦っていきやがった。
達したあとの体にはきつい刺激が再び襲う。最後までしつこい奴だ。
「さ、剛。今から出産しようね?」
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けれどこれだよ、と卵がある場所を押されると嫌でも気づいてしまう。
「出産させるって言ってたでしょ?ホラ、力んで」
「まて、まて、いや、出さないといけないけれど!」
こんなすぐ、いきなりなんて俺の心が追い付かない。
真一はそんなのお構い無しに腹を押してくる。少しずつ卵が動いているような気がした。
「ひっひっふー」
「押すな馬鹿っ……!」
力めば力むほど、俺の穴から真一の精液が垂れ流れてくる。もうやだ、恥ずかしくて死にそうだ。
「ひっひっふー」
「ん、あ……」
大分降りてきた。あとちょっと力めば、出る。なのに真一は指を突っ込んで止めてしまった。
「馬鹿!何しやがる!!」
「もう二度と別れるなんて言わないように。ねぇ、二度と言わないよね?」
「言わない!言わないから!!」
だから卵を掴んで前立腺をぐりぐり押すな!
やめろ、また変な気持ちになる!
「よし、じゃあいいよ。俺達な子供を産んで?」
「あっあああっ!!」
排泄にも似たような感覚。しわを広げコロンと卵は落ちていった。真一はそれを食い入るように見ている。もう恥ずかしすぎて死にそうだ。
つか、真一のちんこまた元気になっていないか?コイツなんでここまで変態なんだ。
「産まれたね、俺達の子供。大切にしようね?」
「もうどうにでもしろよ……」
ものすごく深いため息をついて、またはあはあと興奮している真一を受け入れた。
*
ピピピと鳥のさえずりが聞こえる。朝かと気づいて目を開けると、部屋は大惨事になっていた。
ガラスは割れ、床も壁も血だらけ、ベッドは血に加え精液らしきカピカピしたものが大量にこびりついている。
殺人現場か?ここは。
あまりにもな惨状に呆然としていたが、真一が抱きついてきたおかげで大事な事を思い出した。
そうだ真一の手!怪我してたはずだ!
急いで起き上がり、真一を無理矢理剥がして怪我した左手を見る。
血はもう出ていないようだったが、左手全体が血まみれのまま固まっている。
こんな状態でアイツ昨日やってたのか。思ったよりの重症っぷりにさあっと青くなってしまう。
この傷口から菌が入って、変な病気にかかってしまったらどうするんだ。急いで手当てしないと、消毒液…より先に洗った方がいいか?
「俺のことでそんな表情ころころ変えているのかな?それだったら嬉しいな」
「真一!起きたのか!」
なら手を洗うぞ!と風呂場まで行こうとしたのだが、待ってと引き留められる。
手には昨日の卵。それをパカッと割り、中身を見せてきた。
というか、その中に何か入っていたのかよ!
「なんだ、それ。黒い粒?」
「花の種だよ。これを俺達で育てよう。いつまでも、一緒に」
俺達では子供ができないからね、と真一は苦笑する。
分かってんなら、昨日みたいなことは止めろよと言ってやりたかったが、少し寂しそうに言うもんだからその言葉を飲み込む。
「花言葉は、永遠の愛。花は咲いてからのお楽しみ」
「……俺で、いいのか」
「言っておくけれど、俺の最良の未来は剛がいないと成り立たないからね?」
昨日の俺が言ったことの意趣返しのように言われて、今度は俺が苦笑してしまった。真一の前に座り、その種を受け取る。
「じゃあ、育てよう。永遠の愛を」
「ありがとう……剛」
キスしようとする顔をバチンと右手で阻止した。それよりも大事なことがあるだろう。
「ホラ、立て。風呂場へ行くぞ」
「ええ~今いい感じだったじゃん……」
無理やり立たせ一緒に風呂場へと向かう。真一はぶーぶー文句を言っていた。
仕方ない、あまり言いたくないが風呂場へ行かせるためにとっておきのことを言ってやろう。
本当に仕方ないが。
「お前が大事だって言ってんだ。だから早く治せ」
「っ剛!!俺も世界で一番大好きだよ!!」
「抱きつくな!傷に触るだろが!!」
じゃれあいながら風呂場へと向かう。
きっと、俺たちはもう離れないだろう。
*
あれから俺の部屋はリフォームが必要だということで使えなくなってしまった。だから、今は真一の部屋で寝泊まりしている。
ベランダにはあの日受け取った種を植えたプランターがあり、それを弄くっていると後ろから声をかけられた。
「また見てるの?」
「いつ何が起こるかわからんだろ」
俺は暇なとき、このプランターを観察するようになった。あの種からこんなちっちゃい芽が出てくると愛おしく感じる。
「あ、そろそろ間引きしなきゃね」
「ま、間引き!?」
か、可哀想だろ!こんなに一生懸命咲いているのに!?
思わず真一から花達を庇ってしまった。
「いや、間引きしないと全て枯れるからね。これは仕方ないことなんだよ」
「……そうか」
でもせっかく一生懸命育っているのに、摘み取るのは心が痛む。間引きした芽を別のプランターで育てられないだろうか?
うんうん唸っていると後ろから抱きつかれた。
「剛がこの花を大切にしてくれて嬉しい」
「俺達の花、なんだろ?」
そうだよと真一は嬉しそうにクスクスと笑う。それに釣られて俺も笑ってしまった。
「剛、俺T大受けるよ」
「おまっ!あの最高峰の!?」
突然の宣言にビビってしまう。
真一なら簡単に受かるだろう。変態だけど、勉強は出来る奴だから。
ということは、俺に合わせないで学校を選んだってことだ。それも俺なんか太刀打ちできない場所ような最高峰の学校を。
真一の決心をとても嬉しく思う。
でも、そうなると俺と真一はとうとう進路が別れることになるな。自分がお願いしたことなのに、同じ学校もこれで終わりかと考えると、少し寂しくなる。なんやかんや真一と同じ学校は楽しかったから。
その俺の気持ちを汲み取るように、笑いながら真一は話しかけてきた。
「近くにはM大がある。そこは、スポーツ推薦もある」
「……!」
依然学力は高い所だが、スポーツ推薦ならなんとか行けるかもしれない。
「だからね、剛はM大行きなよ。高校卒業したら一緒に住もう?」
「……仕方ないな。」
予想だにせず、俺の進路も決まってしまった。
でも、そこは俺も前から気になっていたところだ。多分、真一はそれも考えて、提案してくれている。その気遣いを嬉しく思った。
よし、真一も進学先を決めたんだ。俺も、頑張らなければ。楽しい大学生活を迎えるために。
「そうなったら勉強手伝え。今から始めるぞ!受験勉強!」
「問題を間違えたら罰ゲームね。間違い一回につきフェラ一回」
「罰重すぎだろ!それ!!まあ、覚悟もって出来るかもな……しゃあねぇ、やってやるよ」
種から発芽した芽たちは見守るように、ゆらゆらと揺れている。
今からどんな花が育つか、楽しみだ。
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