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ゲームでは分からない苦労がそこにある
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飛空艇でサラン王国、王都に降ろしてもらった俺達。そこからすぐに第四の泉を目指した。
なかなかの距離があるので、最初からベネットのおじいさんに頼んでも良かったのだが。
飛竜には第八の泉に向かう時、活躍してもらわなければならない。
親しき仲にも礼儀ありって言葉もあるわけだし。
随分と効率よく進んでいるのだから、何でも頼らずに少しくらい自分達で頑張る事にした。
考えてみれば、トントン拍子に進んでは修行にもならない。
ゲームで言う所のレベル上げせずに、ボス戦に行くようなモノだ。そんなのが許されるヌルゲーでは無い。
はずだったが――――
結局、俺が最もチート的な力を持ってしまっている。
その為、ルカ達にしたら十分にヌルゲー化してるとも思うのだが。
彼女達はそんな事、微塵も思っていないだろう。
というわけで第四の泉の攻略では、あまりでしゃばった事をしなかった。普通に移動時間だけで、三日以上。
泉の攻略には丸1日かかった。
それでも、ルカもベネットも第六を既に攻略しているだけある。かなり戦闘慣れしていたわけだが。
(俺って、もう要らねんじゃね?)
魔法攻撃は剣術と違い範囲攻撃に優れている。
俺が斬りに行くよりも、ドカーンと一発撃った方が早いわけだ。しかも、第四の泉の洞窟は魔物が多い。
俺が群れの中に突っ込む方が邪魔になったりする。
そんなわけで、俺の活躍場面が無いまま終わり。
次なる第五の泉の洞窟へと向かった。
入り口の場所は第四の泉からそんなに遠くはない。
だが、ゲームでは大体が第四の泉が終わった時点でボロボロなのだ。結局、精神力の回復等で一旦戻る者が多かったが。
俺達は余裕だったので直で向かう事にした。
そこは、カルーア渓流と呼ばれ。川に沿って山道を登って行く登山ルートになっている。
終着点に特に洞窟とかは無い。
上流にある滝壺こそが魔力の泉であり。道中の敵も第四の泉の洞窟とさほど変わらない。
いわゆる息抜き的な、ボーナス的な感じなのだが――――
それは実際に身体を動かさない、ゲームでの話だ。
「未だ嘗て無い程に歩きにくいですね。虫も多いし……」
現代女子が言いそうな台詞を口走るベネット。
「そ、そうね。小柄なベネットちゃんには更に厳しそうね。しかも、何でこんな足元ヌルヌルなの?」
「ルカ様は私より重いから、滑りやすそうですね。気を付けてくださいね!」
川沿いの湿った道に女子二人はすっかり愚痴モード。
ベネットの悪意無き暴言に、ルカも気付かない。
それ程、彼女達も余裕が無いようだった。
前世では山ガールとかって言葉も流行っていたが、彼女達にはとてもムリそうだ。
それよりも、このカルーア渓流には特徴がある。
この川を流れる水には、名前通りカルーア……つまり、アルコール成分が混ざっているのだ。
その、妙に甘い香りが虫を始めとして色々寄せ付けている。
カルーアは、この上流にある滝から流れ出している。
養老の滝の話から考えられ、酒の代わりにカルーアリキュール流してやろうぜ!的なノリのチープな設定だ。
もちろんゲームでは、採取アイテムとして『カルーア』が取れる。料理系スキルがあると色々作れるのだ。
そこは自由度の高さを生かした意味のある物だった。
だが――――
実際問題この状況を体験すると、ゲームでは見えなかったある弊害が俺達に影響を与えていた。
「ねぇ。ルシアン?私、何だか頭がボ~っとする」
「大丈夫か?」
「うん……」
確かにルカの体調が悪そうに見える。
熱でもあるように顔が赤く、目が虚ろだった。川の水を飲まない限り、酔う事はないはずだが。
「ルカ様、大丈夫ですか?少しお水飲んだ方が良いのじゃないですか?」
「いや、ベネット。川の水はやめておけ。余計に気分が悪くなると思うぞ」
ベネットが不思議そうな顔をするので、アルコール成分がある事を説明する。
すると『なるほど』と、ベネットが納得していた。
しかし、ルカが突然心配そうに俺に言う。
「私、お酒とか全くダメなんだけど……」
「そうか。まぁ飲まなきゃ大丈夫だよ」
「飲んじゃった……」
「え!?」
ルカはここに辿り来た時。あまりの良い匂いに、思わず試すように川の水を口に含んでしまったようだ。
と、いう事はこれはもう酔ったという可能性が高い。
「ねぇ。ルシアン。もう歩けない……」
「マジか……まぁ、お前くらい担いでも全然余裕だけどな。ほら!おぶってやるから、背中に乗れよ」
俺はルカを背中におぶって山道を登る。
(いきなり人の背中に吐くんじゃねぇだろーな)
一抹の不安を抱えながらも、俺は進む。
重さは気にならない。寧ろ、背中にルカの柔らかい胸の感触が伝わって正直ラッキーだった。
等と思ってると、突然ルカが呟いた。
「私の胸が当たってラッキーとか……そんな事考えてる?」
「な、なに!?そ、そんな事は思ってないが」
「ルシアン様。そんな事考えてたんですか?」
「考えてないって!」
俺は一瞬、自分の考えを読まれているようで焦った。
たまたまだろうが、心臓に悪い。
(俺が下心でルカをおぶってるみたいじゃねーか)
「下心じゃないの?ふーん……まぁ、私は別にいいけどぉ」
「ちょ。お前何言ってるんだよ!」
「る、ルカ様!?」
完全に心を読まれた気がした。
いや、偶然とは思えない。俺は口に出していないのだから。
(マジか?冗談だよな?もし、心が読まれるんだったら、俺のルカへの気持ちまで……いや!考えるな!)
「私への気持ちが何?教えてよ。ねぇ……ルシアン」
ルカは完全に泥酔している。
だが本人の意思があるにしろ、無意識にしろ。心を読まれているのは間違いないと俺は確信した。
(こいつ、こんな厄介な能力持ってるのかよ!)
なかなかの距離があるので、最初からベネットのおじいさんに頼んでも良かったのだが。
飛竜には第八の泉に向かう時、活躍してもらわなければならない。
親しき仲にも礼儀ありって言葉もあるわけだし。
随分と効率よく進んでいるのだから、何でも頼らずに少しくらい自分達で頑張る事にした。
考えてみれば、トントン拍子に進んでは修行にもならない。
ゲームで言う所のレベル上げせずに、ボス戦に行くようなモノだ。そんなのが許されるヌルゲーでは無い。
はずだったが――――
結局、俺が最もチート的な力を持ってしまっている。
その為、ルカ達にしたら十分にヌルゲー化してるとも思うのだが。
彼女達はそんな事、微塵も思っていないだろう。
というわけで第四の泉の攻略では、あまりでしゃばった事をしなかった。普通に移動時間だけで、三日以上。
泉の攻略には丸1日かかった。
それでも、ルカもベネットも第六を既に攻略しているだけある。かなり戦闘慣れしていたわけだが。
(俺って、もう要らねんじゃね?)
魔法攻撃は剣術と違い範囲攻撃に優れている。
俺が斬りに行くよりも、ドカーンと一発撃った方が早いわけだ。しかも、第四の泉の洞窟は魔物が多い。
俺が群れの中に突っ込む方が邪魔になったりする。
そんなわけで、俺の活躍場面が無いまま終わり。
次なる第五の泉の洞窟へと向かった。
入り口の場所は第四の泉からそんなに遠くはない。
だが、ゲームでは大体が第四の泉が終わった時点でボロボロなのだ。結局、精神力の回復等で一旦戻る者が多かったが。
俺達は余裕だったので直で向かう事にした。
そこは、カルーア渓流と呼ばれ。川に沿って山道を登って行く登山ルートになっている。
終着点に特に洞窟とかは無い。
上流にある滝壺こそが魔力の泉であり。道中の敵も第四の泉の洞窟とさほど変わらない。
いわゆる息抜き的な、ボーナス的な感じなのだが――――
それは実際に身体を動かさない、ゲームでの話だ。
「未だ嘗て無い程に歩きにくいですね。虫も多いし……」
現代女子が言いそうな台詞を口走るベネット。
「そ、そうね。小柄なベネットちゃんには更に厳しそうね。しかも、何でこんな足元ヌルヌルなの?」
「ルカ様は私より重いから、滑りやすそうですね。気を付けてくださいね!」
川沿いの湿った道に女子二人はすっかり愚痴モード。
ベネットの悪意無き暴言に、ルカも気付かない。
それ程、彼女達も余裕が無いようだった。
前世では山ガールとかって言葉も流行っていたが、彼女達にはとてもムリそうだ。
それよりも、このカルーア渓流には特徴がある。
この川を流れる水には、名前通りカルーア……つまり、アルコール成分が混ざっているのだ。
その、妙に甘い香りが虫を始めとして色々寄せ付けている。
カルーアは、この上流にある滝から流れ出している。
養老の滝の話から考えられ、酒の代わりにカルーアリキュール流してやろうぜ!的なノリのチープな設定だ。
もちろんゲームでは、採取アイテムとして『カルーア』が取れる。料理系スキルがあると色々作れるのだ。
そこは自由度の高さを生かした意味のある物だった。
だが――――
実際問題この状況を体験すると、ゲームでは見えなかったある弊害が俺達に影響を与えていた。
「ねぇ。ルシアン?私、何だか頭がボ~っとする」
「大丈夫か?」
「うん……」
確かにルカの体調が悪そうに見える。
熱でもあるように顔が赤く、目が虚ろだった。川の水を飲まない限り、酔う事はないはずだが。
「ルカ様、大丈夫ですか?少しお水飲んだ方が良いのじゃないですか?」
「いや、ベネット。川の水はやめておけ。余計に気分が悪くなると思うぞ」
ベネットが不思議そうな顔をするので、アルコール成分がある事を説明する。
すると『なるほど』と、ベネットが納得していた。
しかし、ルカが突然心配そうに俺に言う。
「私、お酒とか全くダメなんだけど……」
「そうか。まぁ飲まなきゃ大丈夫だよ」
「飲んじゃった……」
「え!?」
ルカはここに辿り来た時。あまりの良い匂いに、思わず試すように川の水を口に含んでしまったようだ。
と、いう事はこれはもう酔ったという可能性が高い。
「ねぇ。ルシアン。もう歩けない……」
「マジか……まぁ、お前くらい担いでも全然余裕だけどな。ほら!おぶってやるから、背中に乗れよ」
俺はルカを背中におぶって山道を登る。
(いきなり人の背中に吐くんじゃねぇだろーな)
一抹の不安を抱えながらも、俺は進む。
重さは気にならない。寧ろ、背中にルカの柔らかい胸の感触が伝わって正直ラッキーだった。
等と思ってると、突然ルカが呟いた。
「私の胸が当たってラッキーとか……そんな事考えてる?」
「な、なに!?そ、そんな事は思ってないが」
「ルシアン様。そんな事考えてたんですか?」
「考えてないって!」
俺は一瞬、自分の考えを読まれているようで焦った。
たまたまだろうが、心臓に悪い。
(俺が下心でルカをおぶってるみたいじゃねーか)
「下心じゃないの?ふーん……まぁ、私は別にいいけどぉ」
「ちょ。お前何言ってるんだよ!」
「る、ルカ様!?」
完全に心を読まれた気がした。
いや、偶然とは思えない。俺は口に出していないのだから。
(マジか?冗談だよな?もし、心が読まれるんだったら、俺のルカへの気持ちまで……いや!考えるな!)
「私への気持ちが何?教えてよ。ねぇ……ルシアン」
ルカは完全に泥酔している。
だが本人の意思があるにしろ、無意識にしろ。心を読まれているのは間違いないと俺は確信した。
(こいつ、こんな厄介な能力持ってるのかよ!)
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