影色人生

冬野 冷

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4 友

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 私には友と言える人がおりません。私は常に一人なのです。話しかけられたら返事はしますが、しかし、私から話しかけることはしないのです。

 だって、怖いではないですか。私という人物を拒絶されてしまったら。

 いつのことだったか、私は偶然にも聞いてしまったことがあるのです。人が集まって、私について話していることを。その人たちは皆、私の悪口を言っていたのです。私はそれまで、能天気に日々を過ごしているだけだったのです。その時、私は初めて、私という人物が人から嫌われていることを理解したのです。

 私はその日、柄にもなく、心の底から泣きました。とても、とても苦しくて、どうしようもなかったのです。家族もおりますから、ばれないように、風呂で泣きました。鼻をすする音も、涙のこぼれる音も、微かに漏れ出てしまう声も、すべてシャワーが隠してくれました。
 一晩ぐっすり眠ってしまえば、次の日は普段通りにふるまうことができました。

 どんな人間でも、ただ一人と言える真の友がいるものでしょう。私にはそんな人が誰一人としていないのです。私という人物を本当の意味で友だと言ってくれる人が私にはほしいのですが、私はそんなことがあったので、人と関わることが怖くなってしまったのです。

 あの悪口を聞いてできたこの苦しみと痛みは、今でも忘れることができず、ときどき、夢の中でも見てしまうのです。
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