やる気が出る3つの DADA

「K・ジャックの落書きノート／私小説集」（２５）

「いいべさ」
　ヒダリンが逆襲してくる。

「何がいいんだよ」
　俺は、問う。
「いや。下手くそなシロウトが、成り行きで、行きずりで、気まぐれで、見切り発車で、小説を書こうと書くまいと……ゴーストライターだろうが、ゴースト小説だろうが、ジャングルジャップだろうが、イエロー・モンキーだろうが……偽物マスク野郎だろうが、えせＤＡＤＡアーティストろうが……いいべさ。関係ないっしょ」

「いいべさ、じゃないだろう！」
　俺は、左手に向かって怒鳴った。
　俺は、左手を道路のアスファルトに。こすりつけている。
　
「死ね、ヒダリン」
「誰が、死ぬかよ。バ～カ。でも、なまら痛いっしょ」　
　ヒダリン。
　
「おまわりさ～ん」　
　通行人が、交番に向かって走り出した。
　警察官と、こっちを見ながら、何かを話している。
　通報されたらしい。
　面倒くさい。

（逃げるに限る）
　俺は、走り出した。
　走りながら、ヒダリンに寄生された左手を、何とかしなくてはならない考え始めている。

　でもさ。
　このバケモノ。なんで、北海道弁使い始めたんだ？　
　なまら、ウザい。意味不明だし。

　いずれにしても、コイツがいると、グロいホラーもコメディにしかなりそうになかった。