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~宣言解除後の日常(48)~
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「第二波ですって」
女が話しかけてきた。
女の目は、ニコニコしている。女の性格は、さほど悪くなさそうだ。
「第二波襲来の可能性があるんですって」
女が続ける。
「本当ですか?」
「ええ。さっき、TVでニュースキャスターが言ってましたから」
「へえ」
倉橋が答える。
(遂に、第二波か)
倉橋が、身震いする。
倉橋はウイルスも心配だったが、【便意】の第ニ波も来てしまったようだ―――こうなったら、さっさと、あの質問の答えを女から引き出すしかない。
すぐに、
「仮に、【ある世界】が、こことは別の場所に存在しているとします」
倉橋が切り出す。
「‥‥‥【ある世界】」
「そして、その【ある世界】で、同じように【ウイルス】によるパンデミックが起こっているとします」
「ええ」
「―――その世界で、蔓延している【ウイルス】の名前って、なんだと思いますか? 当ててみてください」
倉橋は聞いた。
倉橋の想定する答えは、一つしかなかった。
女の引くキャリーバッグのタイヤの音が、廊下に響いている―――マスクに隠れた女の表情は、ここから分からない。
そのうち
「ダチュラ」女は、ぽつりと言った。
女が話しかけてきた。
女の目は、ニコニコしている。女の性格は、さほど悪くなさそうだ。
「第二波襲来の可能性があるんですって」
女が続ける。
「本当ですか?」
「ええ。さっき、TVでニュースキャスターが言ってましたから」
「へえ」
倉橋が答える。
(遂に、第二波か)
倉橋が、身震いする。
倉橋はウイルスも心配だったが、【便意】の第ニ波も来てしまったようだ―――こうなったら、さっさと、あの質問の答えを女から引き出すしかない。
すぐに、
「仮に、【ある世界】が、こことは別の場所に存在しているとします」
倉橋が切り出す。
「‥‥‥【ある世界】」
「そして、その【ある世界】で、同じように【ウイルス】によるパンデミックが起こっているとします」
「ええ」
「―――その世界で、蔓延している【ウイルス】の名前って、なんだと思いますか? 当ててみてください」
倉橋は聞いた。
倉橋の想定する答えは、一つしかなかった。
女の引くキャリーバッグのタイヤの音が、廊下に響いている―――マスクに隠れた女の表情は、ここから分からない。
そのうち
「ダチュラ」女は、ぽつりと言った。
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