やる気が出る3つの DADA

祭りの後の祭り⇔邪悪な惑星『DÀ』⇔兄貴の行方

「火星人にまけてたまるかっ」
　倉橋は、自分が『鉄腕アトム』に変貌しつつあることに気付いた。
（後、少しだ）
　目を瞑って、最期の言葉を唱えれば、ヌルヌルした『火星人』たちの血や、軟体動物のような肉片で、校庭は、溢れ返るに違いない。
　良くも悪くも、それが『鉄腕アトム』による『清掃』の仕事だ。

　巨大な『宇宙船』の周囲に群れをなしている『火星人』たち。容姿は、まるで人間離れしていて、何を考えているのかさえ、全く分からなかった。
（え？）
　倉橋は目を見張った。
　クネクネと『火星人』らが動き出したのだ。
　彼らは、何かの儀式のように、クルクルと『宇宙船』の周りをゆっくりと歩き始めた。
　それは、まるで『盆踊り』のような動きだった。
（どういうことだろう？）
　倉橋は首を傾げた。
　こんな想像をする。
　とある邪悪な惑星『DÀ』から地球にやってきた『異星人』たちが、某国の某村の伝統的な『お祭り』に遭遇する。
『△○△▼！』　　
『△○△▼！』　　
　彼らは、宇宙語で感動を表す。
　そして、彼らなりのやり方で、感謝の念を示そうとする。
　つまり、『盆踊り』を教えてもらった代わりに、村人たちに『皆殺し』というお礼をする。
　倉橋は、そんなことを連想した。
　
　それほど、何の脈略も無く『宇宙船』の周囲で『火星人』たちが、『盆踊り』を始めたことは、異様で不釣り合いだったのだ。