ホウセンカ

えむら若奈

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ホワイトカーネーションの便り

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 横になりながら頭の中でゴチャゴチャと考える。そして、枕に寄りかかって本を読んでいる桔平くんをじっと見上げた。

「ん?どうした?」

 桔平くんはいつも、私の視線に気がついてくれる。こういう時は眠れないか何かを言いたい時だっていうことも、知っている。
 
「……今日は、しないのかなって」
「あぁ、昨日の今日だしな。愛茉の体が大丈夫かなって」
「大丈夫……だもん」

 布団で少し顔を隠しながら言うと、桔平くんは読んでいた本を閉じてサイドテーブルへ置いた。

「……それは、誘ってると受け取ってオッケー?」
「お、オッケーです」
「随分、素直になったもんだな」

 リモコンを取って周りの照明を落とすと、桔平くんが私に覆いかぶさった。やっぱりドキドキする。こういう時の、桔平くんの目。

 ……って、しまった。今日は普通のナイトブラだ。全然色気がないやつ。

「あ、あ、あの、今日は可愛い下着じゃなくて」
「そりゃそうだろ。普通に寝る前だったんだし」
「ガッカリしない?」
「どうせ脱がすんで。それに中身は同じだろ」
「な、中身って……」
「やっぱ、でかいよなぁ」

 服の上から胸を触りながら桔平くんが言う。

「……あんまり嬉しくない。太って見えるもん」

 本当は、胸が大きいの嫌なんだよね。可愛いブラが少ないし、なんだかいつも性的な目を向けられているような感じで。
 それでも桔平くんは、好きって言ってくれるんだろうな。

「オレは全部好きだよ。愛茉のコンプレックスも含めて、めちゃくちゃ好き」
 
 ほらね。だから桔平くんから離れられなくなるの。私の全部を許してくれるから。

 桔平くんの髪が降ってきて、シャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。やっぱり、ずっと長いままでいてほしいな。

 大好きな人に愛される悦びは、私をどこまでも満たしてくれる。お母さんのことを思い出してささくれ立っていた心が潤って、桔平くんの色に染められていく。

 好きなことは、麻薬。桔平くんが言っていたっけ。本当にどんどんハマって、抜けられなくなっていく。でも、抜け出せなくていい。ずっとずっと溺れていたい。

 汗と体温が混ざり合うのを感じながら、熱っぽい桔平くんの瞳を見つめていた。
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