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ルコウソウの育て方
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テスト期間が終わったら、いよいよ夏休み。桔平くんと一緒に過ごす時間も増えるはず。そう思って、一生懸命勉強を頑張った。
だからテストが終わった日の解放感は格別で。その足で、七海と渋谷へ遊びに行った。
「大学生になっても、この解放感は変わんないよねー」
フルーツパフェをつつきながら、七海が満面の笑みで言った。
渋谷でコスメや洋服を買って、可愛いカフェでスイーツを食べる。これぞ東京の女子大生ライフよね。小樽にいた頃の私からは、全然想像できない生活。桔平くんっていう彼氏がいることも、いまだに夢みたいだし。
「愛茉はいいな、ラブラブな夏休みで。でも9日は忘れないでね」
「うん、ありがとう」
9日の昼間は、七海が誕生日のお祝いをしてくれるんだって。結衣とか葵とか、あと数人の女子大友達を呼んでいるみたい。誕生日当日は桔平くんと過ごすだろうからって、わざわざ前日にセッティングしてくれたのが、すごく嬉しかった。
「結局、浅尾さんとはどこも行かないわけ?」
「うん。夕ご飯は食べに行くけど、家で過ごすよ」
「せっかくの誕生日なんだから、旅行とか行けば良かったのに。そしたら、いつもと違う雰囲気で初エッチに持ち込めるじゃん。まだしてないんでしょ?」
「う、うん……」
「付き合って1ヶ月半経つのにねぇ。浅尾さんって、愛茉のことめちゃくちゃ大事なんだろうね。家にお泊りしても手を出してこないなんてさ」
桔平くんが「周りに何言われても気にするな」って釘を刺したのは、こういうことを想定していたからなんだろうな。私の性格を、よく理解しているような気がする。
七海に悪気がないのは分かっているけれど、桔平くんに我慢をさせていることを遠回しに責められているような気持ちになってしまう。
いろいろと不安になって、付き合ってからどのぐらいで初めてエッチをするものなのか、ネットで調べたりもした。大体2週間から1ヶ月以内っていうのが大半で。やっぱり私は、待たせすぎなのかもしれない。
こんな風に周りと比べてしまうのが、自分の悪いところだって分かっている。だけど、どうしても気になってしまう。もったいぶる女は飽きられるかな。いやいや、桔平くんに限ってそれはない。絶対ないはず。
別に、したくないわけじゃない。ただ覚悟が決まらないだけ。それに、今更自分から「したい」って言えなくて。でも私が言わない限りは、きっと桔平くんはいつまでも待ってくれるんだろうし。
だからテストが終わった日の解放感は格別で。その足で、七海と渋谷へ遊びに行った。
「大学生になっても、この解放感は変わんないよねー」
フルーツパフェをつつきながら、七海が満面の笑みで言った。
渋谷でコスメや洋服を買って、可愛いカフェでスイーツを食べる。これぞ東京の女子大生ライフよね。小樽にいた頃の私からは、全然想像できない生活。桔平くんっていう彼氏がいることも、いまだに夢みたいだし。
「愛茉はいいな、ラブラブな夏休みで。でも9日は忘れないでね」
「うん、ありがとう」
9日の昼間は、七海が誕生日のお祝いをしてくれるんだって。結衣とか葵とか、あと数人の女子大友達を呼んでいるみたい。誕生日当日は桔平くんと過ごすだろうからって、わざわざ前日にセッティングしてくれたのが、すごく嬉しかった。
「結局、浅尾さんとはどこも行かないわけ?」
「うん。夕ご飯は食べに行くけど、家で過ごすよ」
「せっかくの誕生日なんだから、旅行とか行けば良かったのに。そしたら、いつもと違う雰囲気で初エッチに持ち込めるじゃん。まだしてないんでしょ?」
「う、うん……」
「付き合って1ヶ月半経つのにねぇ。浅尾さんって、愛茉のことめちゃくちゃ大事なんだろうね。家にお泊りしても手を出してこないなんてさ」
桔平くんが「周りに何言われても気にするな」って釘を刺したのは、こういうことを想定していたからなんだろうな。私の性格を、よく理解しているような気がする。
七海に悪気がないのは分かっているけれど、桔平くんに我慢をさせていることを遠回しに責められているような気持ちになってしまう。
いろいろと不安になって、付き合ってからどのぐらいで初めてエッチをするものなのか、ネットで調べたりもした。大体2週間から1ヶ月以内っていうのが大半で。やっぱり私は、待たせすぎなのかもしれない。
こんな風に周りと比べてしまうのが、自分の悪いところだって分かっている。だけど、どうしても気になってしまう。もったいぶる女は飽きられるかな。いやいや、桔平くんに限ってそれはない。絶対ないはず。
別に、したくないわけじゃない。ただ覚悟が決まらないだけ。それに、今更自分から「したい」って言えなくて。でも私が言わない限りは、きっと桔平くんはいつまでも待ってくれるんだろうし。
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