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赤いツツジのブーケ
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「最初は怖いと思ってた目とか、長い手足とか、綺麗な指が好き。見た目だけじゃなくて、声も大好き。優しいところも、絵にひたむきなところも、言葉のチョイスが独特なところも好き。どこを好きになったのかなんて、桔平くんと同じで分からないけど。でも今のピアノを聴いて、もっと好きになった。桔平くんの全部が、大好き」
なぜか急に、ちゃんと伝えなきゃいけないような気持ちになって。まくしたてるように、感情のまま喋っていた。
私がいきなり訳の分からないことを言い始めたから、桔平くんは少し面食らった表情をしている。でもすぐに、柔らかい笑みを浮かべた。
「だから言っただろ。愛茉はオレのことが好きだって」
そうだよ。本当は分かってたもん。初めて出会ったあの時から、私は桔平くんのことが好きだったんだって。
でも頭で認めてしまったら、感情の歯止めが利かなくなってしまう気がして。今みたいに、好きで好きで仕方ないって気持ちがあふれてしまうと思ったから。そうなるのが怖かったの。
「でも嬉しいもんだな、そうやって言われるの。ありがとう」
その笑顔も大好きなんだよ。そう言おうと思ったけど、また涙が出てきそうになって言えなかった。桔平くんを好きって思うだけで、胸がいっぱいになってしまう。
「言葉のチョイスが独特なところを好きって言われたのは初めてだわ」
「そうなの?」
「どっちかっつーと、オレは周りから敬遠されてきたからな。何考えてるか分かんなくて、たまに口開くと変なことばっか言うヤツだって」
電子ピアノの上に置いていたお酒を一口飲んで、桔平くんが小さく息をついた。
「オレはオレで人嫌いっつーか。基本的に、ひとりでいるのが好きなんだよね。他人に興味が持てなくて、協調性が一切ねぇから」
「桔平くんって、コミュ力高いと思ったけど」
「高くねぇよ、コミュ障もいいところだわ。愛想笑いなんてできねぇし、会話が成り立たないって、よく言われてたからな。頭のネジが何本もぶっ飛んでるんだと」
私は桔平くんの奇抜さとか独特な言動とか、結構癖になってきたんだけど。
もしかして、周りから腫れ物扱いされていたのかな。人間って自分と違うものを目の当たりにすると、憧れるか怖れて避けるかの、どっちかだもんね。
なぜか急に、ちゃんと伝えなきゃいけないような気持ちになって。まくしたてるように、感情のまま喋っていた。
私がいきなり訳の分からないことを言い始めたから、桔平くんは少し面食らった表情をしている。でもすぐに、柔らかい笑みを浮かべた。
「だから言っただろ。愛茉はオレのことが好きだって」
そうだよ。本当は分かってたもん。初めて出会ったあの時から、私は桔平くんのことが好きだったんだって。
でも頭で認めてしまったら、感情の歯止めが利かなくなってしまう気がして。今みたいに、好きで好きで仕方ないって気持ちがあふれてしまうと思ったから。そうなるのが怖かったの。
「でも嬉しいもんだな、そうやって言われるの。ありがとう」
その笑顔も大好きなんだよ。そう言おうと思ったけど、また涙が出てきそうになって言えなかった。桔平くんを好きって思うだけで、胸がいっぱいになってしまう。
「言葉のチョイスが独特なところを好きって言われたのは初めてだわ」
「そうなの?」
「どっちかっつーと、オレは周りから敬遠されてきたからな。何考えてるか分かんなくて、たまに口開くと変なことばっか言うヤツだって」
電子ピアノの上に置いていたお酒を一口飲んで、桔平くんが小さく息をついた。
「オレはオレで人嫌いっつーか。基本的に、ひとりでいるのが好きなんだよね。他人に興味が持てなくて、協調性が一切ねぇから」
「桔平くんって、コミュ力高いと思ったけど」
「高くねぇよ、コミュ障もいいところだわ。愛想笑いなんてできねぇし、会話が成り立たないって、よく言われてたからな。頭のネジが何本もぶっ飛んでるんだと」
私は桔平くんの奇抜さとか独特な言動とか、結構癖になってきたんだけど。
もしかして、周りから腫れ物扱いされていたのかな。人間って自分と違うものを目の当たりにすると、憧れるか怖れて避けるかの、どっちかだもんね。
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