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アンスリウムが咲く頃
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桔平くんからの連絡は、案外早く来た。
てっきりデートの予定を決めるまで連絡してこないと思っていたのに、体調は大丈夫かって次の日にメッセージをくれて。必要最小限のやり取り。だけど私のことを気にかけてくれているのが分かって、すごく嬉しかった。
「デートの日程、決まった?」
1週間ほど経ったある日。2限目の授業が終わった後に七海が訊いてきた。私と桔平くんがなかなか付き合わないから、じれったく感じているのかもしれない。
「ううん、まだ。LINEは少しやり取りしてるけど、桔平くん忙しいみたい」
「そっかぁ。でも、やり取りはしてるんだ」
「うん。朝起きた時とか、ちょこっとだけど」
「浅尾さんって、そういうことしなさそうなタイプと思ってたんだけど。こりゃ愛茉に相当ハマったか?」
すると、後ろの席にいた結衣が身を乗り出してきた。
「浅尾さんって、この前の合コンの?」
「そう、一番かっこいいねって言ってた人。愛茉が猛アタック受けてんの」
「べ、別に猛アタックってわけじゃ」
「そうなんだ。でもあの人、相当女遊び激しいみたいよ」
言いながら、結衣は眉根を寄せる。
「すごく綺麗な彼女がいるのに、毎日のように違う女と遊び歩いてたって」
「え、その話のソースはどこよ」
七海が私の様子を気にしながら結衣に言った。彼女がいるのに遊んでたって……本当に?
「和馬くんが言ってた」
「誰よ、和馬」
「合コンの時にいたじゃん。少し地味系男子」
そういえば桔平くんが帰った後で隣に座った人が、そんな名前だったような。ほとんど印象に残っていないけれど。
「あぁ~いたね。結衣、いつの間に仲良くなってたの?」
「LINE交換したから1回お茶したんだけど、その時に聞いたんだ。浅尾さんがすごい遊び人なの、仲間内では有名な話なんだって」
七海は、無言の私にチラチラと視線を送ってくる。なんだか心が凪の状態というか。話があまり頭に入ってこない。
桔平くんがモテそうなことは、最初から感じていたことで。きっと女性経験も多いんだろうなって思ってはいた。
てっきりデートの予定を決めるまで連絡してこないと思っていたのに、体調は大丈夫かって次の日にメッセージをくれて。必要最小限のやり取り。だけど私のことを気にかけてくれているのが分かって、すごく嬉しかった。
「デートの日程、決まった?」
1週間ほど経ったある日。2限目の授業が終わった後に七海が訊いてきた。私と桔平くんがなかなか付き合わないから、じれったく感じているのかもしれない。
「ううん、まだ。LINEは少しやり取りしてるけど、桔平くん忙しいみたい」
「そっかぁ。でも、やり取りはしてるんだ」
「うん。朝起きた時とか、ちょこっとだけど」
「浅尾さんって、そういうことしなさそうなタイプと思ってたんだけど。こりゃ愛茉に相当ハマったか?」
すると、後ろの席にいた結衣が身を乗り出してきた。
「浅尾さんって、この前の合コンの?」
「そう、一番かっこいいねって言ってた人。愛茉が猛アタック受けてんの」
「べ、別に猛アタックってわけじゃ」
「そうなんだ。でもあの人、相当女遊び激しいみたいよ」
言いながら、結衣は眉根を寄せる。
「すごく綺麗な彼女がいるのに、毎日のように違う女と遊び歩いてたって」
「え、その話のソースはどこよ」
七海が私の様子を気にしながら結衣に言った。彼女がいるのに遊んでたって……本当に?
「和馬くんが言ってた」
「誰よ、和馬」
「合コンの時にいたじゃん。少し地味系男子」
そういえば桔平くんが帰った後で隣に座った人が、そんな名前だったような。ほとんど印象に残っていないけれど。
「あぁ~いたね。結衣、いつの間に仲良くなってたの?」
「LINE交換したから1回お茶したんだけど、その時に聞いたんだ。浅尾さんがすごい遊び人なの、仲間内では有名な話なんだって」
七海は、無言の私にチラチラと視線を送ってくる。なんだか心が凪の状態というか。話があまり頭に入ってこない。
桔平くんがモテそうなことは、最初から感じていたことで。きっと女性経験も多いんだろうなって思ってはいた。
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