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窓際のハーデンベルギア
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「じゃあ、駅まで一緒に行くわ。それぐらいはさせてよ」
本当は、もっと一緒にいたい。でも、自分が自分じゃなくなりそうで。感情のブレーキが壊れる前に、浅尾さんから離れなくちゃ。
「愛茉ちゃんは、山手線?」
「うん」
「外回り?」
「うん」
浅尾さんは、どこに住んでるんだろう。住んでる場所だけじゃなくて、まだ浅尾さんのことを何も知らない。
駅までの道がずっと続けばいいのに、あっという間に着いてしまった。
早く離れたい。まだ離れたくない。
心が落ち着かなくて、少し手が震えて。バッグの中からパスケースを出そうとしたら、手帳やお財布を落としてしまった。
「この手帳のメモ欄、書いていい?」
手帳とお財布を拾い上げて、浅尾さんが言った。
「え?う、うん」
書くって、何を?
よく分からないけれど、とりあえず手帳を開いて、ボールペンを浅尾さんに手渡した。
あれ、左手でペン持ってる。確か、お箸は右手で持っていたと思うけど……両利き?ていうか、意外にも字が綺麗だし。
「これ、LINEのID。気が向いたら連絡してよ」
「え……」
そういえば、連絡先を聞いていなかったことに今更気がついた。
って、え?気が向いたら?私から連絡するの?
「あの」
「ほら、もうすぐ電車来るよ」
電光掲示板を見ながら、浅尾さんが言った。
「また今度ね。気を付けて帰んなよ」
優しく微笑む浅尾さんに見送られて、少し後ろ髪を引かれながら改札を通る。
振り返ると浅尾さんはまだ立っていて、軽く手を振ってくれた。
やっぱり、送ってもらえばよかったかな。そんな気持ちを振り切るように、私も手を振り返して、小走りでホームへ向かった。
本当は、もっと一緒にいたい。でも、自分が自分じゃなくなりそうで。感情のブレーキが壊れる前に、浅尾さんから離れなくちゃ。
「愛茉ちゃんは、山手線?」
「うん」
「外回り?」
「うん」
浅尾さんは、どこに住んでるんだろう。住んでる場所だけじゃなくて、まだ浅尾さんのことを何も知らない。
駅までの道がずっと続けばいいのに、あっという間に着いてしまった。
早く離れたい。まだ離れたくない。
心が落ち着かなくて、少し手が震えて。バッグの中からパスケースを出そうとしたら、手帳やお財布を落としてしまった。
「この手帳のメモ欄、書いていい?」
手帳とお財布を拾い上げて、浅尾さんが言った。
「え?う、うん」
書くって、何を?
よく分からないけれど、とりあえず手帳を開いて、ボールペンを浅尾さんに手渡した。
あれ、左手でペン持ってる。確か、お箸は右手で持っていたと思うけど……両利き?ていうか、意外にも字が綺麗だし。
「これ、LINEのID。気が向いたら連絡してよ」
「え……」
そういえば、連絡先を聞いていなかったことに今更気がついた。
って、え?気が向いたら?私から連絡するの?
「あの」
「ほら、もうすぐ電車来るよ」
電光掲示板を見ながら、浅尾さんが言った。
「また今度ね。気を付けて帰んなよ」
優しく微笑む浅尾さんに見送られて、少し後ろ髪を引かれながら改札を通る。
振り返ると浅尾さんはまだ立っていて、軽く手を振ってくれた。
やっぱり、送ってもらえばよかったかな。そんな気持ちを振り切るように、私も手を振り返して、小走りでホームへ向かった。
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