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事実は小説よりも奇なり
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祐二と水野が門扉の前で驚いていると、中から段ボール箱を抱えた男性が二人出てきた。
「すみませんが、帰って貰えますか?息子さんとは会えませんので」
目の前の男は厳つい顔だが、丁寧にそう言うと門扉を開けて中から出てきた二人を外に出す。祐二も水野も圧倒されて道路脇に寄った。
中で何が起こっているのか分からないが、山里も佐伯の様に岬殺害の疑いを掛けられているのだと思った。が、それにしては段ボール箱まで抱えて、中に何が入っているのか気になる。
「これじゃあ会えませんね、どうします?」と水野に訪ねるが、水野はじっと男たちが箱を車に乗せるのを眺めていた。そして、急に厳つい顔の男に近寄ると「あの、中にテディベアのぬいぐるみ、ありましたか?」と訪ねる。
祐二はギョッとして水野の腕を掴もうとしたが間に合わず、男が怪訝な顔でこちらを見るので思わず目を伏せた。
「ちょっと、水野さん…、邪魔になりますから、帰りましょうよ」
祐二が困ってそう言うが、水野は食いつく様に男を見ていた。こうなると、祐二の言葉は水野に届かない。
叱られる事を承知で、仕方なく佇んでいると、男は箱を乗せた二人に向かって「その中にぬいぐるみはあるか?」と聞いた。
「中で主任が確認してました。熊のぬいぐるみですよね」
「ああ、そうだ。分かった、ありがとう」
そう言うと、今度は水野の顔を見る。そして「ぬいぐるみはありますね。失礼ですが、あなた方は彼とどういった関係ですか?」と聞いてきた。祐二は口を閉ざしたまま、水野を見る。
「私たち、ずっと岬さんを探していて、ここの山里さんも手伝ってくれてたんです。何があったんですか?」
勢いづいた水野がそう聞くと、男は仕方ないといった表情で「その岬さんの件に関わっているとみて、これから取り調べをします。あなた方の話も聞かせてもらえますか?」と言ってきた。
祐二は急に胸が重苦しくなる。こんな事になるとは思ってもいなかった。
まさか自分が警察で事情を聞かれる事になるとは…
「いいですけど、山里さんに会わせてもらえますか?私も訊ねたい事があるんです」
水野はそう言って身体を前のめりにした。おろおろとする祐二は、心臓の鼓動が高鳴って具合が悪くなってくる。別に悪い事はしていないが、佐伯の様に変な疑いを掛けられたら困る。仕事に支障が起きても問題だ。
水野の願いを受け入れてくれたのか、男は中に案内してくれると、山里の部屋に向かい、開け放たれた扉の向こうに見える山里を指さす。
「カレと知り合いなんですね?」
「そうです。いいですか、入っても」
「どうぞ」
そう言うと、男は山里の元に歩いて行き、事情を聴いている主任という男に何やら耳打ちをした。
祐二と水野をチラッと見た主任は、山里に向かって「知り合いの人が来てますよ」と言う。
「え?」と、祐二たちの方に視線を寄越した山里だったが、何故か下を向くと瞼を閉じる。
まさか此処に来るとは思っていなかったのだろう。そして、どうしてなのか、急に座っていた椅子から滑り落ちる様に膝を崩すと、床に這いつくばって肩を震わせ始めた。
そこに居た主任も、他の警官も、祐二や水野も驚きを隠せない。いったい山里はどうしたのかと、水野が近寄って行くと「山里さん、何があったんですか?」と背中に手を置くと声を掛けた。
その言葉を聞いた山里は、床に額を擦り着けたまま、消え入るような声で言った。
「岬さんを殺しました......」と。
「すみませんが、帰って貰えますか?息子さんとは会えませんので」
目の前の男は厳つい顔だが、丁寧にそう言うと門扉を開けて中から出てきた二人を外に出す。祐二も水野も圧倒されて道路脇に寄った。
中で何が起こっているのか分からないが、山里も佐伯の様に岬殺害の疑いを掛けられているのだと思った。が、それにしては段ボール箱まで抱えて、中に何が入っているのか気になる。
「これじゃあ会えませんね、どうします?」と水野に訪ねるが、水野はじっと男たちが箱を車に乗せるのを眺めていた。そして、急に厳つい顔の男に近寄ると「あの、中にテディベアのぬいぐるみ、ありましたか?」と訪ねる。
祐二はギョッとして水野の腕を掴もうとしたが間に合わず、男が怪訝な顔でこちらを見るので思わず目を伏せた。
「ちょっと、水野さん…、邪魔になりますから、帰りましょうよ」
祐二が困ってそう言うが、水野は食いつく様に男を見ていた。こうなると、祐二の言葉は水野に届かない。
叱られる事を承知で、仕方なく佇んでいると、男は箱を乗せた二人に向かって「その中にぬいぐるみはあるか?」と聞いた。
「中で主任が確認してました。熊のぬいぐるみですよね」
「ああ、そうだ。分かった、ありがとう」
そう言うと、今度は水野の顔を見る。そして「ぬいぐるみはありますね。失礼ですが、あなた方は彼とどういった関係ですか?」と聞いてきた。祐二は口を閉ざしたまま、水野を見る。
「私たち、ずっと岬さんを探していて、ここの山里さんも手伝ってくれてたんです。何があったんですか?」
勢いづいた水野がそう聞くと、男は仕方ないといった表情で「その岬さんの件に関わっているとみて、これから取り調べをします。あなた方の話も聞かせてもらえますか?」と言ってきた。
祐二は急に胸が重苦しくなる。こんな事になるとは思ってもいなかった。
まさか自分が警察で事情を聞かれる事になるとは…
「いいですけど、山里さんに会わせてもらえますか?私も訊ねたい事があるんです」
水野はそう言って身体を前のめりにした。おろおろとする祐二は、心臓の鼓動が高鳴って具合が悪くなってくる。別に悪い事はしていないが、佐伯の様に変な疑いを掛けられたら困る。仕事に支障が起きても問題だ。
水野の願いを受け入れてくれたのか、男は中に案内してくれると、山里の部屋に向かい、開け放たれた扉の向こうに見える山里を指さす。
「カレと知り合いなんですね?」
「そうです。いいですか、入っても」
「どうぞ」
そう言うと、男は山里の元に歩いて行き、事情を聴いている主任という男に何やら耳打ちをした。
祐二と水野をチラッと見た主任は、山里に向かって「知り合いの人が来てますよ」と言う。
「え?」と、祐二たちの方に視線を寄越した山里だったが、何故か下を向くと瞼を閉じる。
まさか此処に来るとは思っていなかったのだろう。そして、どうしてなのか、急に座っていた椅子から滑り落ちる様に膝を崩すと、床に這いつくばって肩を震わせ始めた。
そこに居た主任も、他の警官も、祐二や水野も驚きを隠せない。いったい山里はどうしたのかと、水野が近寄って行くと「山里さん、何があったんですか?」と背中に手を置くと声を掛けた。
その言葉を聞いた山里は、床に額を擦り着けたまま、消え入るような声で言った。
「岬さんを殺しました......」と。
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