物言わぬ家

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再生

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 一抹の不安を残したまま、祐二たちは寮を後にすると車に乗り込んだ。
後部座席のシートの足元に隠した袋を取り上げると、水野は「山里くんに会いましょう」と言い出す。

「えっ、今からですか?」
 祐二が焦って振り返り、水野に訊ねるが、「だって、もう一つの謎がここにあるじゃない?ビデオテープに何が録画されているのか、みんなも知りたくない?」と口元を上げて言った。

「…..確かに気にはなりますけど、もう遅いし」
「美乃利ちゃんだって、そう長くは東京に居られないでしょ?ここまで来たんだし、ビデオの中身を確認して、何もなければ諦めもつくんじゃない?そうしたら後は警察に任せるしかないと思うの」
 水野の言う事はもっともだと思う。どこかで線引きをしないと、警察に任せるという選択をずるずると引き延ばす事になる。
美乃利も大学を休んで来ているし、山里には申し訳ないが手伝ってもらうしかないと、祐二も納得した。

「山里さんもカメラの事を気にしてたし、丁度良かったかも」
 佐伯がそう言うと、美乃利は携帯を取り出して山里に連絡をする。


***
  前に待ち合わせした場所に向かうと、少し不機嫌な顔つきで山里は待っていた。
呼び出した時間が遅かったせいもあるが、カメラの再生を山里の家で見せて欲しいと頼んだ事も原因のひとつ。

「うち、家族も居るんですけど」と、祐二と美乃利の顔を見ながら呟く。
「ごめんなさい。迷惑なのは分かってるけど、一刻も早く観たかったの。これで何もつかめなかったら後は警察に任せます」

  そう言われると、山里も断れなくて。
「まぁ、分かりました。じゃあ案内します」と言うと先にたって歩き出す。


  山里の車に美乃利と祐二と水野が乗り込んで、佐伯はレンタカーで後に着いて行く。7~8分走った所に山里の自宅はあった。閑静な住宅地で、周りは立派な家が建ち並んでいる。

「高級住宅ばっかりじゃない?」と、駐車場で車から降りた水野が辺りを見回して言うと、「古い家ばかりですよ。ウチだって祖父が建てた家ですから」と言った。

 佐伯も山里の隣に車を停めると降りてくる。「いいな~、こういう所に住みたい」と言いながら祐二たちに合流すると、山里に案内されて家の中に入って行った。

    家族は、既に部屋に行った後らしく、家の中は静かだった。
2階の山里の部屋に通されて、持ってきたカメラを充電してもらう間に、美乃利が菅沼と話した事を山里に告げる。

  驚きを隠せないが、山里もあの家を最後に岬と連絡が途絶えている事を不思議がった。そして、もし警察が本格的に捜査を始めたら、自分が一番に疑われると、そう感じていた。

「この中に失踪の原因が見つかる事を祈りますよ。でないと、オレの立場が悪くなる」
  固唾を呑んでカメラを見つめる山里たち。充電が回復したところで、それをパソコンに繋ぐと、再生する事にした。
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