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ありのままでいい...ぜ。
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アイツと同じクラスで良かった...なんて思える日が来るとは。
菊地の自宅へ電話を入れると、丁度電話口に出たのが優香で。俺は直ぐにアタルの事を聞いた。
「入院中ってホントか?」
焦る俺に、「何なの、今頃...ずっと知らん顔してたクセに。」と言われてショックだった。
「それは...」
知らん顔って、俺はアタルに連絡出来なかったんだ。怪我した事も知らなかったし、でも、そんな事を優香に話す訳にもいかず、黙って非難されるしかない。
「あんた達、上手くいってないの?」
「…え。」
突然そんな事を言われて、返答に困った。
それは友人としてだろうか!?それとも....
「付き合ってるんでしょ!?水沢からは、そう聞いてるけど。」
「…ぁ、はい。」
「なに?はいって...ウケるんだけど…」
菊地に言われて思わず敬語で返事をしてた。自分でも可笑しくなって笑いそうになるが、今はアタルの事を聞かなくちゃ。
「あ、それで様態は?」
受話器の向こうの菊地の声に聴き入ると、ゆっくりした口調で「全治二ヶ月。頭打って一瞬記憶が飛んだらしい。右腕の骨折ってボルト入り。」と言う。
「今は?言葉を話せる?」
「話せるよ!自分で携帯に掛けなよ。水沢、松井の電話を待ってるって言ってたよ!」
菊地に言われて、カラダの力が抜ける。
命には別状なさそうで、取り敢えず安心した。
それにしても菊地に俺たちの事を話したんだろうか!?急に恥ずかしくなって、電話を切ろうとする。と、菊地が話し出した。
「水沢がホモだっていうの、あんた知らなかったでしょ?」
「…ウソ、、、」
俺は心臓がキュンと跳ねるのを感じた。
「女の子にモテてたけど、アレは友達でしかないから。キスも出来ないんだよ、水沢。」
菊地の声が少しだけ小さくなる。家のどこに電話があるのか知らないけど、家族もいるんだろう。小さい声で、でも、ハッキリと言った。
「そんな事...どうしてお前が知ってる?」
アタルが俺を好きになったのは、アイツがホモだから?でも、女の子とも付き合ってた。絵美ちゃんを取ったのに?
「高校一年の時学校はバイト禁止だったけど、あたし遠くの本屋でバイトしてたの。そこに水沢が本を買いに来て。」
菊地がそう言った瞬間、俺の頭に浮かんだのは、東京でアタルが買っていたビーエル漫画。
あれ、きっと昔から買ってたんだ。だからあんなに直ぐ手に取れる。
「ビーエル?」と聞くと「うん、...あれ?知ってた?」と驚いた菊地。
「あたしの顔見てビックリしてたけど、なんだか開き直って、オレ、ホモだから、なんて自分で言ったんだよ!」
菊地は少しだけ笑う様に言ったが、すぐさま真剣な口調になると、「その時、松井の事が好きなんだって告白した。...何であたしに言ったのか分かんないけど。」
「…そうか、…そうだったのか。」
俺が勝手にモテる奴だと勘違いしていただけ!?アタルはずっと俺だけを見ていてくれたんだ。
「あたし、明日東京に帰るんだけど、良かったら松井も水沢のトコ行く?」
「…え、明日?」
「まあ、ひとりで病院行けるんならいいけどさ。」
そういわれると不安になった。前にアタルのアパートへ行った時も迷ったし…
「じゃあ、俺コンビニのバイトが朝までだから、終ったら一緒に行っていい?」
「いいけど、大丈夫なの?」
「うん、電車に乗ったらちょっとは寝られるだろ。」
自分の心配よりも、今はアタルの顔が見たくて。俺は菊地に連れて行って貰うことにした。
ちゃんとアタルの顔を見て、アタルの言葉で全てを聞こう。変な勘ぐりはやめて、ありのままのアイツと向き合いたいと思った。
菊地の自宅へ電話を入れると、丁度電話口に出たのが優香で。俺は直ぐにアタルの事を聞いた。
「入院中ってホントか?」
焦る俺に、「何なの、今頃...ずっと知らん顔してたクセに。」と言われてショックだった。
「それは...」
知らん顔って、俺はアタルに連絡出来なかったんだ。怪我した事も知らなかったし、でも、そんな事を優香に話す訳にもいかず、黙って非難されるしかない。
「あんた達、上手くいってないの?」
「…え。」
突然そんな事を言われて、返答に困った。
それは友人としてだろうか!?それとも....
「付き合ってるんでしょ!?水沢からは、そう聞いてるけど。」
「…ぁ、はい。」
「なに?はいって...ウケるんだけど…」
菊地に言われて思わず敬語で返事をしてた。自分でも可笑しくなって笑いそうになるが、今はアタルの事を聞かなくちゃ。
「あ、それで様態は?」
受話器の向こうの菊地の声に聴き入ると、ゆっくりした口調で「全治二ヶ月。頭打って一瞬記憶が飛んだらしい。右腕の骨折ってボルト入り。」と言う。
「今は?言葉を話せる?」
「話せるよ!自分で携帯に掛けなよ。水沢、松井の電話を待ってるって言ってたよ!」
菊地に言われて、カラダの力が抜ける。
命には別状なさそうで、取り敢えず安心した。
それにしても菊地に俺たちの事を話したんだろうか!?急に恥ずかしくなって、電話を切ろうとする。と、菊地が話し出した。
「水沢がホモだっていうの、あんた知らなかったでしょ?」
「…ウソ、、、」
俺は心臓がキュンと跳ねるのを感じた。
「女の子にモテてたけど、アレは友達でしかないから。キスも出来ないんだよ、水沢。」
菊地の声が少しだけ小さくなる。家のどこに電話があるのか知らないけど、家族もいるんだろう。小さい声で、でも、ハッキリと言った。
「そんな事...どうしてお前が知ってる?」
アタルが俺を好きになったのは、アイツがホモだから?でも、女の子とも付き合ってた。絵美ちゃんを取ったのに?
「高校一年の時学校はバイト禁止だったけど、あたし遠くの本屋でバイトしてたの。そこに水沢が本を買いに来て。」
菊地がそう言った瞬間、俺の頭に浮かんだのは、東京でアタルが買っていたビーエル漫画。
あれ、きっと昔から買ってたんだ。だからあんなに直ぐ手に取れる。
「ビーエル?」と聞くと「うん、...あれ?知ってた?」と驚いた菊地。
「あたしの顔見てビックリしてたけど、なんだか開き直って、オレ、ホモだから、なんて自分で言ったんだよ!」
菊地は少しだけ笑う様に言ったが、すぐさま真剣な口調になると、「その時、松井の事が好きなんだって告白した。...何であたしに言ったのか分かんないけど。」
「…そうか、…そうだったのか。」
俺が勝手にモテる奴だと勘違いしていただけ!?アタルはずっと俺だけを見ていてくれたんだ。
「あたし、明日東京に帰るんだけど、良かったら松井も水沢のトコ行く?」
「…え、明日?」
「まあ、ひとりで病院行けるんならいいけどさ。」
そういわれると不安になった。前にアタルのアパートへ行った時も迷ったし…
「じゃあ、俺コンビニのバイトが朝までだから、終ったら一緒に行っていい?」
「いいけど、大丈夫なの?」
「うん、電車に乗ったらちょっとは寝られるだろ。」
自分の心配よりも、今はアタルの顔が見たくて。俺は菊地に連れて行って貰うことにした。
ちゃんとアタルの顔を見て、アタルの言葉で全てを聞こう。変な勘ぐりはやめて、ありのままのアイツと向き合いたいと思った。
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